年月日 (白水Uブックス)

著者 :
  • 白水社
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本棚登録 : 61
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (150ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560072387

作品紹介・あらすじ

受け継がれる命の物語。魯迅文学賞受賞作品

千年に一度の大日照りの年。一本のトウモロコシの苗を守るため、村に残った老人と盲目の犬は、わずかな食料をネズミと奪い合い、水を求めてオオカミに立ち向かう。命をつなぐため、老人が選んだ驚くべき最後の手段とは?

ノーベル文学賞の次期候補と目される、現代中国の巨匠が描く、《神話の世界》。
本書は中国で、第二回魯迅文学賞、第八回『小説月報』百花賞、第四回上海優秀小説賞を受賞。数多くの外国語に翻訳され、フランスでは学生のための推薦図書にも選定。

「わしの来世がもし獣なら、わしはおまえに生まれ変わる。おまえの来世がもし人間なら、わしの子どもに生まれ変わるんだ。一生平安に暮らそうじゃないか。先じいがそこまで話すと盲犬の目が潤んだ。先じいは盲犬の目をふいてやり、また一杯のきれいな水を汲んで盲犬の前に置いた。飲むんだ。たっぷりとな。これからわしが水を汲みに行くときは、おまえがトウモロコシを守るんだ。」(本文より)

山深い農村が千年に一度の大日照りに襲われた。村人たちは干ばつから逃れるため、村を捨てて出ていく。73歳の「先じい」は、自分の畑に一本だけ芽を出したトウモロコシを守るため、村に残る決意をする。一緒に残ったのは、目のつぶれた一匹の犬「メナシ」。メナシは雨乞いの生贄として縛り上げられ、太陽の光にさらされ、目が見えなくなってしまったのだ。
わずかなトウモロコシの粒をめぐり、ネズミとの争奪戦の日々が続く。やがて井戸も枯れ果て、水を求めて谷間に赴くと、池でオオカミの群れと出くわし、にらみ合う……。
もはやこれまでか……先じいが最後に選んだ驚くべき手段とは?
ネズミやオオカミとの生存競争、先じいとメナシとの心温まるやりとりを中心に、物語は起伏に富む。意外な結末を迎えるが、受け継がれる命に希望が見出され、安らかな余韻を残す。作家は村上春樹に続いてアジアで二人目となる、フランツ・カフカ賞を受賞し、ノーベル文学賞の次期候補と目される中国の巨匠。本書は魯迅文学賞をはじめ、中国国内で多数の栄誉に輝いている。また数多くの外国語に翻訳され、フランスでは学生のための推薦図書に選定されている。

感想・レビュー・書評

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  • 『年月日』(白水社) - 著者:閻連科 翻訳:谷川 毅 - 谷川 毅による後書き | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
    https://allreviews.jp/review/5760

    U238 年月日 - 白水社
    https://www.hakusuisha.co.jp/book/b597049.html

  • 山深い農村が千年に一度の日照りに襲われ村人たちが村を捨てて逃げていく中、73歳の「先じい」は目の見えない犬1匹と共に一本だけ芽を出したトウモロコシを守るためにたった1人村に残り、日照りや飢餓、ネズミやオオカミと戦っていき、最後には‥

    ただおじいさんと犬が日々生き抜いていく、それだけのストーリーなのに、胸に響き、圧倒的に引き込まれ、いっきに読み終えてしまいました。
    帯のコメントで
    「洗練の正反対にある生き方がもたらす感動は、地球サイズ、いや宇宙レベルといっていいほど大きいし、深い」
    とあるのですが、まさにその通りの深い深い感動がありました。

    著者は、中国河南省の貧しい農村で生まれ、飢えと孤独の中で幼少期を過ごした、と紹介にあります。
    その生い立ちがあるからこそのリアルな農民の姿が深く心に響きました。

  • 今年読んだ本で一番の衝撃を受けたっていえる。
    手垢がついたような、くだくだしいいいまわしのおされなほんはくそくらえというまでに。

    とあるサイトで知ったこの作家、少し、暫く読み浸りたい。
    中国の、ほぼ私と同じ世代の方、習近平と同対峙しているんだろう。
    中国は時にとてつもない題材、人物、そして表現スタイルを提供する。

    何がどうと言えない孤の中身、一読しかない。
    詰らない私がコメントするなど、滅相もない。

  • 22冊目

    反体制な発禁本を多数発表している一方でフランツ・カフカ賞も受賞している中国の作家を初読みです。

    日照り続きの見捨てられた村で72歳の老人は全盲の犬と共に一本だけ残ったトウモロコシの苗を守ろうと奮闘。過酷な自然と対峙し、自分の生命を削りながら別の命を繋ごうとする様に、大地と共に生きる農民の気概を感じます。

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著者プロフィール

1958年中国河南省生まれ。80年代から小説を発表。2003年『愉楽』で老舎文学賞受賞。その後、本書を含め多数の作品が発禁扱いとなる。14年フランツ・カフカ賞受賞。ノーベル賞の有力候補と目されている。

「2022年 『太陽が死んだ日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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