アーモンドの木 (白水Uブックス)

  • 白水社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560072417

作品紹介・あらすじ

子供の想像力や幻想の世界を繊細なタッチで描いたW・デ・ラ・メアの短篇小説を、エドワード・ゴーリーの挿絵とともに贈る傑作選。

感想・レビュー・書評

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  • 祝新訳

    『アリスの教母さま』『アーモンドの樹』『まぼろしの顔』ウォルター・デ・ラ・メア - 読書感想文(関田涙)
    https://sekitanamida.hatenablog.jp/entry/walterdelamare

    U241 アーモンドの木 - 白水社
    https://www.hakusuisha.co.jp/book/b609126.html

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      アーモンドの樹
      ウォルター・デ・ラ・メア作品集2
      東洋書林
      http://www.toyoshorin.co.jp/detail.php?i...
      アーモンドの樹
      ウォルター・デ・ラ・メア作品集2
      東洋書林
      http://www.toyoshorin.co.jp/detail.php?isbn=978887218307
      2023/01/18
  • 短編集だけど部分的に連作。挿絵はエドワード・ゴーリー。

    表題作は、「わたし」の古い友人で「伯爵」と呼ばれている人物が、自分の生い立ちを語る話。どうやら浮気をしているらしき父親は家庭を顧みず、そんな夫に依存している母は常に情緒不安定、幼い伯爵は両親に振り回されつつ、どうやら父の浮気相手らしい女性には好意を抱く。しかしバレンタインの夜、父は帰宅せず…。少年時代の残酷な思い出を淡々と語るその語り口になんともいえない味わいがあり良い。「伯爵の求婚」では、この伯爵が「わたし」の初老の叔母さんにプロポーズするも…という話で、誰も幸せになれないのが辛い。余談だけれど「伯爵」のニックネームに津原泰水の幽明志怪シリーズを思い出した。

    心を病んでいるご近所の女性の思い出「ミス・デュヴィーン」、友人シートンの強烈なキャラの伯母さんがめっちゃ怖い「シートンの伯母さん」、古い聖堂の管理人のもとを訪れた謎の男(たぶん幽霊?)の「旅人と寄留者」など、直接的な怖いことが起こるわけではなく、ぼかされる部分も多いのだけどそこはかとなくホラー味がある。

    ラストの「ルーシー」は、祖父の遺産で大きな屋敷で暮らす、未婚のまま老いた三姉妹のお話で、ルーシーは三女のイマジナリーフレンドの名前。末っ子とはいえすでに初老の女性が、妙に精神的に幼いことの奇妙な違和感がずっとあり、それでいてノスタルジックなような、でもちょっとホラーなような、ひとことで表現できない空気がいい。


    ※収録
    アーモンドの木/伯爵の求婚/ミス・デュヴィーン/シートンの伯母さん/旅人と寄留者/クルー/ルーシー

  • 遠い記憶の中から立ち昇ってくる、大人が貝になる出来事。その正体を、子どもはしかし皮膚で感じ取っている。

  • 幻想的な短編集。どれもこれもひそかな不安感が漂う読み心地です。エドワード・ゴーリーの挿絵も素敵です。
    「シートンの伯母さん」と「旅人と寄留者」は読んだ覚えがあるかな。怪奇めいた雰囲気の作品だけれど、これといった怪奇なものは出てこないんですよね実は。でもなんだか不気味で恐ろしいような印象がありました。
    お気に入りは「ルーシー」。没落した家の三姉妹、しかし没落した家の中にこそ幸せを見つけてしまう三女。そして謎めいた「ルーシー」の存在。これもまた怪奇小説と言えるのかもしれませんが、しかしあまり恐ろしい気はしませんでした。幸せな物語ではないはずなのだけれど、穏やかな読み心地です。

  • 特におもしろいのは「シートンの伯母さん」
    そわそわと興奮しながらのホラー風味
    この人たちはみんな大丈夫なのか?生きてるのか?それとも全員亡霊か?と思わされる
    が、結末でまたもや読者は放り出されてしまう
    デ ラ メアの短編集

  • 「子供の目に映った世界、想像力と幻想の世界を繊細なタッチで描き、世界中の読者に愛されてきた英国の作家・詩人ウォルター・デ・ラ・メアの珠玉の短篇を、エドワード・ゴーリーの仄かな恐怖と寂寥を湛えた挿絵とともに収録した傑作選。]

    アーモンドの木 7−51
    伯爵の求婚 53−75
    ミス・デュヴィーン 77−103
    シートンの伯母さん 105−160
    旅人と寄留者 161−203
    クルー 205−248
    ルーシー 249−288

  • 読了はしたものの、この本を十分に味わえた実感が未だにない。
    巻末の解説にはデ・ラ・メア作品の視座の低さ、高みからの俯瞰が皆無であることを特徴に上げているが、その一方でどの人物に対しても読み手に感情移入させないように―少なくとも自分には感じられた。加えて登場人物……特に女性(表題作の母親、「伯爵の求婚」の叔母、「シートンの伯母さん」の伯母等)の言葉がどうにも理解し難いのだけれど、女性に聞いてみると「よくわかる」とのことだったので、この辺りのことも含めて男女でデ・ラ・メア作品への印象が変わったりするんだろうか。

    何れにせよこの“朦朧法”……作品像が何とも掴み難いということとは即ち、様々な解釈や感想を生む余地や余白であり、それが魅力の一つであるということだけは今回理解できた―ような気がする。

  • 最初難しかったが、読み進めるうちにわかってきた。私にもルーシーが出てくるのかな。

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著者プロフィール

1873-1956年。イギリスの小説家・詩人・児童文学作家。ケント州チャールトンに生まれる。セント・ポール大聖堂の聖歌隊学校を中退後、アメリカの石油会社のロンドン支社で働きながら創作に励んだ。第一詩集『幼年の歌』(1902)、長篇小説『ヘンリー・ブロッケン』(04)で注目を集め、1908年、職を辞して作家生活に入る。長篇『ムルガーのはるかな旅』(10)、『死者の誘い』(10)、『侏儒の回想録』(21。ジェイムズ・テイト・ブラック文学賞)、短篇集『謎』(23)、『魔女の箒』(25)、『子供のための物語集』(47。カーネギー賞)、詩集『耳をすます者たち』(12)、『孔雀のパイ』(13)など多くの著作がある。

「2022年 『アーモンドの木』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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