キリスト教一千年史:地域とテーマで読む(上)

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560084571

作品紹介・あらすじ

発展と多様性の歴史
 本書は1世紀のナザレのイエスから西暦1000年ごろまでのキリスト教世界を、章ごとに人物、地域、重要な概念をテーマとして、広大な地域・長大な時間軸をわかりやすくまとめたものである。
 教会の中心的な信仰の定式化、独特な慣行の発展、最も長続きしている制度の確立は、最初の5世紀間に起こった。さらなる500年でこの宗教は、はるか遠方まで到達する一方で、かなりの地域がイスラームの支配下に入るという激動も経験した。
 教会の歴史は単なる一宗教共同体の歴史ではなく、古代世界のさまざまな文化を作り替えた。アルメニア文字のように、聖職者が生み出した文字が現在まで使われている言語もある。教会は各地で隣り合う王国間のパワーバランスによって揺れ動き、また民族の独自性に寄り添い異なる形で発展していった。よく知られる正教会よりも東にはシリア語圏の教会が存在し、アジアへの伝道に大きな役割を果たした。初期のキリスト教美術はどんなものだったか、現存するシステムはどのように成立していったか。波瀾の歴史を語る36章!

感想・レビュー・書評

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  • 主に古代キリスト教を専門とする著者による,1世紀のナザレのイエスから西暦1000年ごろまでのキリスト教世界をまとめた本。内容自体は世界史の知識の延長線上で読むことができ,そこでは見過ごしてきた出来事やものを知ることができる。

  • トピックによって違うけど、大体紀元後500年くらいまでのキリスト教発展の流れをまとめてある。
    基本的に福音書の記述等に批判的な態度はとらずに記述してあるので本当に一般向けという感じだけど、わかりやすくて勉強になる。人物名を覚えるのが大変!

  • この上巻はアウグスティヌスまで。キリスト教成立以来のほぼ500年の歴史が詳細に語られる。イエス・キリストとその直後の直弟子たちの時代の解釈は聖書に忠実で福音的。しかし、これまでの常識を多く覆させられる刺激的な本で、大変勉強になった。1世紀のキリスト教会においてはイースターが確立していなかった。これらがカレンダーを含めて、宗教的な意味づけをもたせながら確立していく過程の議論、新約聖書27巻の成立も長い間の慣例で確立していったということが、詳しく正に神の導きなのかと思う。キリスト教会への全般的な最初の迫害はAD250年1月に始まるということもこれまでの常識外。従ってカタコンベの意味合いも、墓における死者との合同礼拝の意味があり、必ずしも迫害を恐れての地下礼拝ではなかったということにも、長年の誤解・謎がやっと分った気がする。ニカイア公会議などで信条の確立していく過程もオリゲネス、アンブロシウス、アリウス、アタナシウス、ペラギウスらの人物の紹介とともに分りやすい。当時の帝国内でのユダヤ人の繁栄も想像もしなかった歴史である。
    「修道士に置いて祈りとは詩編の数節の朗誦を意味していた。思考や言葉に委ねると、祈りは表面的なものに留まってしまう。詩編は修道士たちの舌をほぐし、彼らに心という書物を読み、神との対話に没入するための言葉を与えた。」(P172)との文章が登場する。深い言葉であり、参考にしたい言葉だと思った。

  • イエスの誕生と死から千年間の歴史を、ヨーロッパからインドや中国まで、かつてない地理的な広がりのなかで、わかりやすく語る。

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著者プロフィール

1936年生まれ、シカゴ大学でPh.D.を取得。ヴァージニア大学名誉教授。元アメリカ宗教学会会長、現北米教父学会会長。邦訳は他に『ローマ人が見たキリスト教』(ヨルダン社、1987年)、『古代キリスト教思想の精神』(教文館、2014年)。

「2016年 『キリスト教一千年史(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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