三月の5日間[リクリエイテッド版]

著者 :
  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560094143

作品紹介・あらすじ

分断された時代の〈リアル〉とたたかうための寓話集
 イラク戦争開戦前夜、六本木のライブハウスで出会った男女二人が、反戦デモの喧しい三月末の渋谷で、ラブホに4泊5日して戦争をやり過ごす。そして、二人から話を聞かされた者らは、入れ替わり立ち代わりそれらの出来事を語ってゆく――チェルフィッチュの代表作「三月の5日間」が、新たなる時代の若者のために生まれ変わった! あざやかなフレーズは色あせることなく、あの画期的な文体もよりユニバーサルに更新されて(オリジナル版は男五人・女二人、リクリエイテッド版は男二人・女五人で演じられる)。
 表題作のほか、カフェにひとり座る女というありふれた都市の光景が周囲を脅かしうる場へと一転する「あなたが彼女にしてあげられることは何もない」、震災後にたしかに存在した微かな希望の行方を幽霊が執拗に問い続ける「部屋に流れる時間の旅」、日米韓をめぐるいびつな関係が野球を通じて浮かび上がる「God Bless Baseball」を同時収録。
 分断された時代を生きるなかで遭遇する〈リアル〉の脅威に一人ひとりが抗ってゆくために、「わからないんだとしたら、想像しよう」と真摯に呼びかける、アレゴリックな戯曲集。

感想・レビュー・書評

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  • やっぱり舞台で観た作品はさくさくと。しかし不思議と岡田氏の作品は観なくても読める。まさに本当に個人的で自己的な想像のもとで。

  • イラク戦争が始まったときに、渋谷のラブホテルで5日間過ごす、というところだけずっと知っていた戯曲。
    世の中で起きた出来事と自分の生活との関連に興味があって、この戯曲のことを思い出して手に取ってみた。
    読んでみて、なんというか、そうか、というか。
    戦争のことをどうのこうのと描こうとしてるんじゃないんだなというか、それがあって、遠く離れた日本にいる私たちにとってそれが何なのかというか。
    そして、それって何かという、形をとれていない現実なんだなっていう。
    なんかそんなことを思った。(心なしか喋り方がうつっている気がする…)
    同じ本の中には3.11を反映した物語もあって。
    あの日は本当にたくさんの方が亡くなって、身近な死者を得た?生者がたくさん出た日だった。
    生と死の境目が曖昧だっていうことに、こういう表現の仕方があり、そしてこれが生きるものへの支えになる物語のような気もした。

    読み終わったあと、気になってオンラインで三月の5日間を観た。
    面白かった。自分に馴染んでくるというか。

    全体的に私との距離の取られ方?がとても好きな本だった。

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著者プロフィール

1973年、神奈川県生まれ、熊本県在住。演劇作家、小説家、チェルフィッチュ主宰。2005年『三月の5日間』で第49回岸田國士戯曲賞を受賞。主宰する演劇カンパニー、チェルフィッチュでは2007年に同作で海外進出を果たして以降、世界90都市以上で上演。海外での評価も高く、2016年よりドイツを始め欧州の劇場レパートリー作品の作・ 演出を複数回務める。近年は能の現代語訳、歌舞伎演目の脚本・演出など活動の幅を広げ、歌劇『夕鶴』(2021)で初めてオペラの演出を手がけた。2023年には作曲家藤倉大とのコラボレーションによる音楽劇、チェルフィッチュ×藤倉大withクラングフォルム・ウィーン『リビングルームのメタモルフォーシス』をウィーンにて初演。小説家としては2007年にはデビュー小説集『わたしたちに許された特別な時間の終わり』(新潮社)を発表し、2022年『ブロッコリーレボリューション』(新潮社)で第35回三島由紀夫賞、第64回熊日文学賞を受賞。

「2023年 『軽やかな耳の冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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