ヒトラーの裁判官フライスラー

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560095393

作品紹介・あらすじ

独裁者に仕えた「血の裁判官」の実相に迫る!
 ローラント・フライスラーは、ナチス政権下で政治犯罪を扱う国家最高審「人民法廷」で長官を務め、無数の死刑判決(ほとんどが見せしめ裁判)を下した、悪名高き人物だ。本書は、新史料や司法関連文書に基づいて、独裁者に仕えた「血の裁判官」フライスラーの実相に迫り、ヒトラー体制下と戦後ドイツの司法界の闇を暴く、戦慄の書だ。
 歴史的な裁判として、ナチス抵抗運動の青年グループ「白バラ」の被告人たち、1944年7月20日の「ヒトラー暗殺未遂事件」の被告人たちに、死刑判決を下し、即時執行……という顛末を再現する。時には被告人のベルトやネクタイを取り上げ、容赦なく貶め、感情的な大声で罵倒したというフライスラーは、1945年2月、人民法廷の中庭を横切っていた際、ベルリン空襲の爆弾の破片が直撃し、急死する。
 本書は、ナチス・ドイツにおいて司法の独立性が奪われ、政治の道具になっていく経緯とその恐るべき帰結を鮮烈に描き出し、現代にも問いかける意味は重い。著者はドイツの高名なジャーナリスト。著者特別寄稿「記憶と忘却について 日本語版読者の皆さまへ」と、「死刑判決文」・史料多数を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 憲法よりも法律を選んだ国民、望まれる以上に忠実な裁判官。
    それよりも、些細な一言で隣人を死刑台に送った人たちが怖かった。その時、何を感じたんだろうか。戦後、そのことをどう振り返ったのだろうか。

    たとえ時代の常識から外れることになっても、普通でなくても、人を傷つけないという選択をできるようでいたい。

  • 289.3||Or

  • ワルキューレ関連の本だかTVだかで裁判の当日に裁判官が空襲で死んじゃって被告が終戦まで生き延びたって話は知ってて、ちょっと裁判官のことが気にはなってたんで読んでみた。
    こわい。身内の間での軽口が密告されて即死刑。それはもちろんこわいんだけど、それって特殊な国の特殊な時代の話なのかな?ヒトラーもこういう世の中にする、って言って選挙勝ったわけじゃないんだよね。選挙に勝ってから全権委任法を押し通し、ユダヤ人、ジプシー、ロシア人、共産主義者、社会主義者、民主主義者、教会関係者、個別に少しずつ国家から削り落としていく。自分は関係ないと目を背けていたら、自分が削られる立場になった時も他人には目をそらされ助けてもらえない。
    こわい。他人事じゃないよね。実行しなくても準備するだけで罪に問われる法が通った以上、準備しなくても考えただけで罪に問われる時代はすぐそこかも。そんなこと考えながら読んだらとてつもなくこわい。

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著者プロフィール

1950年生まれ。ドイツで最も著名なノンフィクション作家の一人。植字工としての修業を積んだあと、オッフェンバハ造形大学にてグラフィックデザインを学ぶ。その後はジャーナリストとして活動、雑誌「ジャーナル・フランクフルト」の編集者となり、後に編集長を務める。ヒトラーとナチスドイツおよび戦後ドイツの過去との取り組みを検証するものを中心に、20冊を超える書籍で知られる。本書は彼の代表作であり、ドイツ語圏だけでなく英米での評価も高く、これまで世界14の言語で翻訳出版されている。フランクフルトを拠点に活動。

「2022年 『ヒトラー爆殺未遂事件1939』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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