ヒョンナムオッパへ:韓国フェミニズム小説集

  • 白水社
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560096819

作品紹介・あらすじ

『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者による表題作ほか、ミステリーやSFなど多彩な形で表現された7名の若手実力派女性作家の短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 韓国の女性作家達による、フェミニズム短編集。
    「82年生まれ、キム・ジヨン」が日本でもベストセラーとなった、チョ・ナムジュさんをはじめとする7人の作家が、現在の韓国のリアルを描くものからノワール、SF、ミステリーと多岐にわたるジャンルでフェミニズムをテーマに置いている。

    個人的には、日本で初めて紹介されたというキム・イソルさんの「更年」が、世代的にもドンピシャで、読みながらヒリヒリする感じがあった。

    「私の持ち分はこれからどんどん減っていくだろう。
    ほかのアイドルが、もっと大勢の友だちが、いつかは異性が、私の持ち分を蹴散らしていくだろう。
    そして私にはただ、ご飯を作って洗濯をしてくれる人としての必要性しか残らないだろう。
    子どもの世界での私の居場所は、そうやって消えていくのだろう。」

    いやー、本当これですよ!今の自分。
    大した収入にはならないけれど、仕事という家庭とは別の場所があることに救われているな、と実感しています。
    キム・イソルさんの他の作品も紹介されないかなぁ。

    2021.5.29

    • ロニコさん
      地球っこさん、早々に返信コメントをありがとうございます。

      kuma0504さんは、私もフォローさせて頂いておりますが(「←させて頂く」の使...
      地球っこさん、早々に返信コメントをありがとうございます。

      kuma0504さんは、私もフォローさせて頂いておりますが(「←させて頂く」の使い方に悩むこの頃)、勉強になるレビューばかりで、本を読まずして新しい知識を得ている感じです!いつもありがたく読ませて頂いております。

      私がおすすめする地政学の本は、私でも読める簡単なモノばかりです。

      マンガでわかる地政学 武楽清 池田書店

      いちばんやさしい地政学の本 沢辺有司
      彩図社→2020年版で、アメリカはまだトランプです。

      恐怖の地政学 ティム・マーシャル さくら舎

      今読んでいるのが、「恐怖の地政学」なのですが、外国の人から見たアジアの地政学を知りたいと思って借りてみました。ボリュームは上の2つよりありますが、なかなか面白いです。

      私の本棚を「地政学」で検索するとヒットしますので、宜しければ見てみて下さい^_^

      韓国ドラマは歴史物が好きなのですが、次はトッケビを見たいな〜と思っています。
      長くなりましたが、これからも地球っこさんの本棚のラインナップを楽しみにしております。
      2021/05/30
    • 地球っこさん
      ロニコさん、しつこくてすみません。

      地政学の本、ありがとうございます!
      地政学は3類なんですね。てっきり2類だと思って、ロニコさんの...
      ロニコさん、しつこくてすみません。

      地政学の本、ありがとうございます!
      地政学は3類なんですね。てっきり2類だと思って、ロニコさんの本棚をごそごそしてました 笑

      まずはロニコさんのレビューから「マンガでわかる地政学」を読んでみようと思います。

      きゃっ、「トッケビ」ですか!?
      わたしは大好きすぎてレビューがかけません 笑
      でもそろそろ書けそうかなぁ。そうなったらまた観なくちゃなぁ。そしてまたどきどきして書けなくなるかもなぁ 笑

      わたしはロニコさんの「太陽を抱く月」のレビューから、Netflixで観はじめました。
      今はまだ子役の回のところなのですが、ヨヌ可愛いですね。
      ボギョンの子役キムソヒョンさんは、「トッケビ」で美しく成長された姿をみせてくれます。
      なかでも今いちばん好きな登場人物は、陽明君とソルです。
      これからどうなるんだろう。
      わたしのなかでは、なーんか未来が不安な予感のふたりなんですよね。

      長々と失礼しました。
      2021/05/30
    • ロニコさん
      こちらこそ、嬉しくてまたまた返信してしまいます、ごめんなさい。

      そうなんです!
      地政学は390の国防・軍事カテゴリーなんですよねー。一時期...
      こちらこそ、嬉しくてまたまた返信してしまいます、ごめんなさい。

      そうなんです!
      地政学は390の国防・軍事カテゴリーなんですよねー。一時期流行った孫子の兵法なんかもここに分類されていたりします。
      地政学から分かるその国のあり様が、文化や文学にも反映されているのだろうなぁと思います。

      トッケビ、ハマりそうですねぇ…
      是非、レビューをお願いします!
      太陽を抱く月も、見始めると時が経つのを忘れてしまいますよね〜。

      ではでは、何度も失礼致しましたm(_ _)m
      2021/05/30
  • キムジヨンの著者チョ ナムジュの
    「ヒョンナムオッパ」他
    韓国の女性作家たちによる「フェミニズム小説集」。

    「ヒョンナムオッパ」「あなたの平和」「更年」
    「すべてを元の位置へ」は 
    娘として 妻として 母として
    多くの女性に共感を呼ぶ作品であり
    「異邦人」はハードボイルドサスペンス
    「ハルピュイアと祭りの夜」
    は近未来ダークファンタジー
    「火星の子」はSFだ。

    このようにさまざまな切り口で
    女性としてこの世に生きることを
    じっくり見つめる一冊に仕上がっている。

    作品としては
    「ヒョンナムオッパ」が最もわかりやすく
    「更年」が最も優れていたと思うが
    個人的に一番ショッキングな映像的作品
    「ハルピュイアと祭りの夜」に惹かれる。

    映像的といっても実写化は難しいほど
    凄惨なダークファンタジーだが
    「この感じ」はよく理解できる。

    「この感じ」が理解できてしまうほど
    私の心の底にも溜まっているものがある
    ということに気づかされた。

  • フェミニズム は、わたしを自由にさせる、フェミニズム小説は、わたしを不自由にもさせる そのあわいでいかに、らくに息を吸って、吐いて、いきていくことができるか。
    生きづらさから生まれた物語を読むのはつらいしエネルギーが必要だけれど、自分がより楽に…とも違う、こう、息がしやすくなるように、その糧にもなる、と思う。思いたい.
    いちばんしっくりきたというか共感したのは、チェ・ジョンファさんが作家ノートで書かれていたこと・フェミニズムを知り、以前よりずっと自由になった反面、自分の中から滲み出る女性嫌悪という矛盾に不自由さを感じているということ まず一番に解放されること、しかしそれがいっとうむずかしい
    選択肢の、道の多さたるや 過激な、表面からは覗き見ることが難しい真髄、隠された意図を苦心してひとつずつ、探していきたい 読めて良かった。

  • 『82年生まれキム・ジヨン』のヒットを機に編まれた、韓国女性作家たちによるフェミニズムをテーマとする短編集。最初の数本は「キムジヨン」系の家父長制家族をテーマにしたものだが、後半になるとぐっとバリエーションが広がって楽しめる。
    チェ・ジョンファの「すべてを元の位置へ」は、暴力的に進むソウルの再開発を背景に、廃墟ビルの中に蠢く亡霊のような生の気配と、女性調査員の手に生じる発疹が重なりあう。ク・ビョンモの「ハルピュイアと祭りの夜」は、拷問死を遂げたギリシアの女性数学者ヒュバティアを題材とし、「コルセット」文化や性暴力を激しく攻撃するラディカルフェミニズムの潮流上にあるようだがひねりをきかせてある。
    最後のキム・ソンジュン「火星の子」はこのままSFアンソロジーに載っていてもおかしくない、種を超えたシスターフッドの物語。やっぱりこういうのが好きだな。

  • 気になりながらも、なかなか手をつけられなかった、韓国フェミニズム文学。まずはアンソロジーから。
    ストレートでリアルな物語も、抽象的だったりSFめいていたりする物語も、どれも面白い。韓国で起こったことをきちんと知ってから読めば、印象が変わりそうなものもあるし、フェミニズムのその先に視線がありそうなものもある。学びと面白みが両立してる。

    「オッパ」って、韓国のドラマや、アイドルのファンダム周りでよく耳にするけど、その言葉一つとっても、こんな背景があるんだ〜と知ると、もっといろいろ知りたくなる。知りたいことは、尽きないなあ。

  • 表題作が痛快でほんとに心地よい。作家ノートの「私は「みんなで幸せに暮らしました」というような結末を信じはしませんが、また、それは絶対に不可能なことでもないと思っています。」という文章も最高。

  • フェミニズムを題材にして、気鋭の女性作家たちが短編を持ち寄った、韓国の小説集。察するに日本より型にはまった社会であろうに、問題意識はあくまで鋭く深い。同じ題材で日本だったらこういくかと唸らせられるほど、多様な描き方にもっと韓国文学を読みたくなった。

  • 「82年生まれキムジオン」からの流れで、同書の作者も参加しているこちらのフェミニズム短編集を手に取った。

    前半は、「82年」同様の現代韓国で男尊女卑に苦しむ女性がテーマ。表題のヒョンナムオッパは、主人公の女性を支配的に操作する恋人。以前韓国ドラマでカップルが男性名義で携帯電話を共同契約する(別れた後、女性は携帯の機種変に四苦八苦するという)場面があってびっくりしたのだが、男性の支配下にいることを恋愛感情だと勘違いする怖さを改めて感じた。それはDVにつながる発想だよなあ…

    他にも、前半には疲れた母親像とそれを冷淡に見つめる娘、しきたりにこだわって息子の嫁に自分が押し付けられたことと同じことをさせようとする母親像なども描かれ、この辺りは日本と似ていて息苦しい。

    後半は、男女を入れ替えたハードボイルド小説、非現実的な世界で男性に踏み躙られる女性像を描いたもの、火星に飛ばされるクローンの女性など、フェミニズム小説といっても幅広いことを感じさせる作品揃い。中でも面白かったのが、女装大会に参加した男性達が、脱げないヒール靴、動きにくいワンピース、落ちないメイクをされて弓矢で追われるという話「ハルピュイアと祭りの夜」。なぜ彼らが殺されるのか…その理由が明らかになるときに思わずスカッとした気分を味わってしまった。

  • すごくリアルなものからSFまで、色々なジャンルの短編集。日本と似てるけど違う国で、同じように悩んでいる女性たちに共感。

  • 「ヒョンナムオッパへ」を含む短編集。
    この最初の「ヒョンナムオッパへ」が面白くて最高でした笑

    韓国と日本では恋人との付き合い方が違うんだろうなと思いました。
    やはりかなりの男尊女卑なお国なのだろうかと。

    彼の言いなりになってきた女性が、プロポーズを断る手紙がストーリー。
    もう、いろいろ面白くてニヤニヤしました。

    最後に、バッキャローで終わるのですが、ほんとそれ。

    なんて男だと思う。
    彼女はあんたの装飾品か何かかと。
    口は出すけどお金も手も貸さない男。

    彼女に捨てられた彼の行く末が楽しみでもあります。

    やはり女性を怒らせると恐い!

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著者プロフィール

チョ・ナムジュ:1978年ソウル生まれ、梨花女子大学社会学科を卒業。放送作家を経て、長編小説「耳をすませば」で文学トンネ小説賞に入賞して文壇デビュー。2016年『コマネチのために』でファンサンボル青年文学賞受賞。『82年生まれ、キム・ジヨン』で第41回今日の作家賞を受賞(2017年8月)。大ベストセラーとなる。2018年『彼女の名前は』、2019年『サハマンション』、2020年『ミカンの味』、2021年『私たちが記したもの』、2022年『ソヨンドン物語』刊行。邦訳は、『82年生まれ、キム・ジヨン』(斎藤真理子訳、ちくま文庫)、『彼女の名前は』『私たちが記したもの』(小山内園子、すんみ訳)、『サハマンション』(斎藤真理子訳)いずれも筑摩書房刊。『ミカンの味』(矢島暁子訳、朝日新聞出版)。『ソヨンドン物語』(古川綾子訳、筑摩書房)が近刊予定。



「2024年 『耳をすませば』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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