- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784562041664
感想・レビュー・書評
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初マイケル・イネス。全体としての雰囲気は悪くないとして、訳がこなれてないにも程がある。原文が難解なのかもしれないが、如何にもぎこちない訳し方でひょっとして原文読んだ方がましなんじゃ⁇と思っていたら巻末の解説に同様のことがあって納得した。ミステリとしては、はっきりお粗末です。
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約10年ぶりにアプルビイ物の『盗まれたフェルメール』(論創社)が出版されたので、積読状態だった本作を読みました。
イネスは『ハムレット復讐せよ』(国書刊行会)→『ある詩人への挽歌』と出版順に興味深く読ませていただいたのですが、その次の『ストップ・プレス』(国書刊行会)で頭がクラクラになるほどのイネス恐怖症に陥ったので、その次がなかなか読めませんでした。しかしながら、昨年出たノン・シリーズの傑作『ソニア・ウェイワードの帰還』で恐怖症が払拭され、面白く読めましたので、遅ればせながら本作に手を出した次第です。
前置きはこのくらいにして、本作は皆さんが仰るように、冒頭にいわゆる登場人物表の記載がないのですが、これはこの物語の語り部(=作者)が18頁で、「ここで家系図を出さないことをお許し願いたい。散文にこだわるのは作家の本能…」と、このページで主な登場人物を紹介しているので、読者はこのページを参照しながら、読み進めることになります。
それもあって前半はやや読みにくいのですが、それぞれの登場人物から複数の推理が提示されるに従ってテンポが良くなり、後半は一気に読むことができました。結末は少々呆気ないですが、満足の一冊でした。
久しぶりにアプルビイ物を読んだので、「アプルビイって、こんなキャラクターだったっけ?」という違和感はありましたが。(上述3冊と短編を少ししか読んでいなかった。)
出版順にアプルビイ物を読んでいるので、次回は『アララテのアプルビイ』を読むつもりですが、これは解説にもあるように(『ストップ・プレス』と同じ)ファースなので、少々心配です。 -
食事に招かれたアプルビイ警部が屋敷に着いたとき、その家の主が撃たれた。
犯人は? 動機は? 取り違え殺人未遂?
誰もが怪しい中、「わたし」はアプルビイと共に捜査に乗り出す。
難解というより、その周りを激しく飾り立ててあるので、肝心の主筋を見失わないようにするのが大変。
キャラクタの会話がまったく関係ない方面に展開しなおかつ興味深いのは、さすが英文学の研究者が書いたミステリと言うべきか。
ラストに続く推理合戦は面白かったけど、真相はどうみてもバカミスだよなぁ。どうやらその辺がこの作者の持ち味らしいのだけど、ちょっと脱力。