少女たちの羅針盤

著者 :
  • 原書房
3.53
  • (9)
  • (47)
  • (45)
  • (4)
  • (2)
本棚登録 : 244
感想 : 59
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562045020

作品紹介・あらすじ

女子高校生四人組の演劇ユニット「羅針盤」。ストーリーとコンクールでその名を知らしめたが、メンバーの突然の死によって活動を停止する。それから四年の月日を経て、-復讐は始まる。島田荘司選第1回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作受賞作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 新進女優の舞利亜(まりあ)は、主演するホラー映画の撮影現場で監督から
    伝説の女子高生劇団「羅針盤」の元メンバーではないかと指摘される。
    舞利亜は否定するが、自分が「羅針盤」に関わっていたことは誰も知らないはずの過去だった。
    撮影が進む中、舞利亜は書きかえられた台本が自分だけに届かず、新しいストーリーは主役が過去に殺人を犯したことを示唆するものに替わっていることを知る。さらに控室には、舞利亜自身の殺人の過去を暴こうとするメッセージが…。
    そう、顔と胸を整形し別人となった舞利亜だが、実際に過去に殺人を犯していた。しかもそれは誰も知らない完全犯罪のハズだったのに…。
    舞利亜はとことん追い詰められ、
    そして、舞台となった女子高生による伝説の演劇ユニット「羅針盤」の真実が語られていく。
    胸焦がす青春ミステリーの傑作!

    島田荘司氏が絶賛した
    「第1回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」優秀作受賞作品。


    いやぁ~、かなり前に映画を先に観て、ある程度のストーリーは知っていたけど、
    面白くて途中で止められず
    僕にしては珍しく三日間で読了。


    物語は先に書いたあらすじにあるように
    まずは現代パートから。

    新進女優の舞利亜がホラー映画の撮影のために
    崖の上に建つ、うらぶれた洋館に到着したところから始まります。
    配られたシナリオには
    舞利亜の誰も知らないハズの四年前の殺人を告発する内容が…。
    そして次々とばらまかれる脅迫文。!
    その上、舞利亜の最も隠したい過去、
    高校演劇ユニット「羅針盤」に関わっていたことを監督が知っていたのです。
    顔を整形してバレないハズなのに…。
    そして羅針盤は
    メンバーの一人が死亡して消滅してしまったことも。

    現在パートと4年前の過去パートを交互に描がいていくんですが、
    この過去パートがとにかく秀逸な青春ストーリーとなっていて、
    どんどん引き込まれていきます。

    言いたいことを溜めておけない性格のためいつも誰かと衝突してしまう、
    名門私立校・橘学院高等部一年の
    楠田瑠美(くすだ・るみ)。

    自分の性に違和感を抱えリストカットを重ねる、
    170センチの長身の橘学院高等部一年、
    バタこと、北畠梨里子(きたばたけ・りりこ)。

    タレントの広瀬なつめを姉に持つがゆえにいじめられた過去を持つ、
    誰よりも背が低く天然キャラの
    橘学院高等部一年
    来栖(くるす)かなめ。

    他校の演劇部だったが
    卓越した演技力が買われ「羅針盤」メンバーとなる
    16歳の江嶋 蘭(えじま・らん)。

    この4人が立ち上げた女子高生ユニット「羅針盤」。
    駅前でのストリートライブ、
    演劇部顧問からの中傷、
    見えない悪意からの執拗な嫌がらせ、
    羅針盤の舞台デビューとなるフェスティバルへの参加など、
    なんのバックアップもコネもない女子高生劇団が
    少しずつ人気を獲得していく様を
    メンバー間の嫉妬や確執、
    少しの百合要素を織り混ぜながら巧みに描いていきます。
    (思春期だからこその痛みや焦燥感が胸を打ちます)

    そんな青春のきらめきと平行して描かれていく現在パートの不気味さ。

    送られてこなかった台本、
    部屋に散らばる脅迫状、
    人が出入りするあかずの間。
    疑心暗鬼になり、演技に集中できなくなる舞利亜。

    この小説の一番の面白さは
    過去パートを読み進める中で
    羅針盤のメンバーを裏切ったのはいったい誰か?
    いったい誰が殺人を犯したのか?
    (舞利亜とはいったい誰なのか?)

    そしてこんなにも仲良しの4人なのに、
    誰が殺されなければならなかったのか?
    そして舞利亜に復讐を企み
    洋館に誘い出したのはいったい誰なのか?

    を推理し妄想しながら読むことにあります。
    真相が知りたくて、
    ページを捲る指が止まらなくなること必至です。
    (真相が分かる頃には誰もが羅針盤のメンバーの魅力にハマっているので、殺されるメンバーを知ることが本当にツラい…特に被害者は僕がお気に入りのメンバーだったのでかなりショックでした)

    それにしても女性同士の嫉妬や妬みって
    本当にコワいわ~(汗)( >_<)


    ミステリー部分の舞台設定や構造、トリックなどははっきり言って弱いし
    新鮮でもないし
    ミステリーに慣れてる人ならオチも読めるんですが、
    青春小説としての「羅針盤」の話が抜群に面白いし、
    中盤から一気に引っ張っていってラストまで読ませる筆力は
    デビュー作とは思えないぐらいのポテンシャルを感じさせてくれたし、
    羅針盤メンバーが登場する続編があるらしいので
    そちらも近々読んでみたいと思います。

    演劇や舞台が好きな人、
    少し切ないミステリー要素のある青春小説に目がない人、
    ちょっとだけ百合百合しい少女小説が読みたい人なら
    ハマるかもです(笑)

    なお、成海璃子、忽那汐里、森田彩華、草刈麻有が「羅針盤」のメンバーを演じ、
    広島県福山市を舞台にした映画版も
    低予算のわりには(笑)
    主要キャストがみな上手かったし
    なかなかの良作なので併せてオススメします。


    ★映画「少女たちの羅針盤」予告編↓
    https://www.youtube.com/watch?v=rKETfewKgyY&feature=youtube_gdata_player

  • 犯人が誰なのか気になって話にどんどん引き込まれました。
    面白かった!そして犯人に驚かされる。

    とても読みやすいミステリーで、ミステリー苦手な人でも読めると思います。

  • 女子高生4人で立ち上げた「羅針盤」という小劇団。そんな中、一人の女子高生が殺された。4年後、犯人の女子高生は売れない女優となっていた。現在と4年前と交互にお話が進んでいく。誰が殺されて、誰が犯人なのか。高校生の青春物語でもありながら、鬱々とした嫉妬などを描いたミステリ。面白った。

  • 社労士のヒナコの人だよね?と思って手に取ったら、デビュー作だったびっくり。
    犯人は4人の中の誰?と思いながら読んでました。騙された!のがとても嬉しかった。

  • 第1回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作受賞作。このマイナーな賞は当たりが多い。

    演劇を題材に過去編と現在編を交互に展開し、過去の事件を掘り起こしていく作品。
    短編ホラー映画主演女優としてロケ現場にやってきた舞利亜は、「羅針盤」にいた子だね、と監督に言われる。
    「羅針盤」はかつて女子高校生四人組の演劇ユニットとして名を知らしめ、メンバーの突然の死によって活動を停止した。
    4年前に殺された「羅針盤」のメンバーは誰か。なぜ殺されたのか。「舞利亜」は4年前の誰なのか。誰が復讐しようとしているのか。
    最後まで犯人も動機もわからず、とても面白かった。
    (図書館)

  • 青春ものとしてもサスペンスとしても面白かった。仕掛けが大がかり…。

  • 登録してから1年半経ってやっと、読み終えました。
    久しぶりのミステリー小説。
    だけど、演劇部JKたちの青春物語部分が6割くらい占めてました。
    犯人は、結構意外な人でした。
    読後は、人間の本音と建て前って怖いな~嫉妬って怖いな~ってひたすら思いました。
    かなめちゃんのちょっと浮いてる感じに、自分を結びつけちゃいました。ガムはそんなにくちゃくちゃしませんけど!(笑)
    それにしても、かなめちゃん嫌われ過ぎだなぁ…浮いてるだけでそんなに憎まれるかね?姉がちょっとした有名人ってだけで、そんなに妬まれるかね?怖いですね…

    ストーリーは面白かったんですが、終わり方が微妙だったのと、文章がちょっとわかりづらかったので、★3つにしました;

  • 『少女たちの羅針盤』
    -水生大海-



    4年前の出来事と現在とが交互に展開される。
    誰が殺したのか
    誰が殺されたのか
    どうして殺したのか
    現在の「彼女」は誰なのか
    復讐を企てているのは誰なのか
    途中まで全く分からなかった。
    犯人がもうすぐ分かるか…ってとこで怪しいなと思い始めた人が犯人だった。

    はっきり言って衝撃。
    3人の中の誰かだとばかり思ってたから。
    まさかまさかの姉だったなんて。
    学校に来た辺りがおかしいなって思った。
    3人がちゃんと繋がっていて良かった。

  • 現在と過去が交差するミステリー。

    犯人は特に意外性はなく、こんなものなのかなという感じ。

  • 面白かった。

全59件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

三重県生まれ。2009年、島田荘司氏選考の第1回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作を受賞した『少女たちの羅針盤』でデビュー。14年「五度目の春のヒヨコ」が第67回日本推理作家協会賞短編部門の候補に。20年『ランチ探偵』『ランチ探偵 容疑者のレシピ』が「ランチ合コン探偵 ~恋とグルメと謎解きと~」のタイトルでTVドラマ化。ほかに「社労士のヒナコ」シリーズ、『冷たい手』など著書多数。

「2022年 『ランチ探偵 彼女は謎に恋をする』 で使われていた紹介文から引用しています。」

水生大海の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×