この国。 (ミステリー・リーグ)

著者 :
  • 原書房
3.40
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本棚登録 : 221
感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562045822

感想・レビュー・書評

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  • 今、イスラエル・ハマスやロシアのウクライナ侵攻で戦争の怖さや平和のありがたさを感じている時にこの本を読めたのはとてもタイムリーだったと思う。図書館で偶然見つけた私、グッジョブ。タイムリー感もあって、すごく面白かった。万能な番匠がちょっとジョーカーゲームの結城っぽい。かっちょいい。番匠対策士・松浦の構造。カリスマ菱田は最後にも登場せず、何をしてるのか。しかし菊池も松浦も死んでしまったら組織は続かないだろう。菱田は何を望んでいるのか。そして感想とは関係ないけど、検索してもこの本が出てこず、調べたらISBNを入れると出るとあって、やったらほんとに出て感動。今までの苦労は何だったんだ。今までの出なかったやつもやり直したい。

  • 簡潔、怜悧な文章が、グイグイと最後まで一気に読ませる。

  • なるほどと考えさせられお話。作者が日頃から考えているんだろうなあと感じた。

  • 明治維新の歴史的政治転換からのパラレルワールドなのかな?
    一党独裁により、ある意味理想的な政治で統治されている「この国」。
    しかしながら、反政府組織との戦い、小学校卒業と同時になれる職業(未来)が決まってしまう教育制度、戦争をしない国の軍事組織など歪みを抱えており、それらを紡ぐストーリーなのかと思ったら、あの終わり方…。
    もっと登場人物たちが絡み合う重厚なストーリーにして欲しいくらい面白かったのに、拍子抜けで残念でした。よって、☆は2つで。

  • 一党独裁の管理国家であるこの国は、戦争を放棄し、経済は発展し犯罪率も低い。小学校卒業と同時にランク分けされ、外国からは多くの女性が売春婦として働きに来ている。
    国家に対する叛逆が最も重い罪とされるこの国での、反政府グループと治安警察との攻防を描く。

    ある意味理想的であり、また一方で恐ろしく感じられるこの国。まさに日本がそうなっていってもおかしくないような国。
    動物園で飼育されている動物は幸せなのだろうか?衣食住に困ることは無く外敵に怯える心配もないが、大幅に自由は制限されている。だが、保護区のように檻が気にならないほど広かったらどうなのだろうか?規則を逸脱しない限り自由が与えられているとしたら、人はそれでも外に出たいと思うのだろうか?

  • 明治維新後に一党独裁体制になったパラレルワールドの日本で起こる事件を描いた連作短編集。
    小学校、士官学校、売春宿などを舞台に”この国”のさまざまな側面を紹介しつつ、そこで起こった事件を治安警察官が解決するというミステリで、最初はフラナガンの『アデスタを吹く冷たい風』を思い起こしたが、読み進むとリアルな日本とかぶるこのパラレルワールドが色々考えさせられて妙に気持ち悪い。
    「この国のどこが不満だ?」という帯の言葉が心に残る。

  • 最初がすごくよかっただけに、ラストにがっくりきた。

  • +++
    一党独裁の管理国家であるこの国では国家に対する反逆はもっとも罪が重く、人材育成をなにより重要視するこの国では小学校卒業時に児童の将来が決められ、非戦平和を掲げるこの国では士官学校はたんなる公務員養成所となり、経済の豊かなこの国では多くの女性が売春婦としておとずれ、文化を愛するこの国では「カワイイ」をテーマに博覧会が開かれる。そこで起こる「事件」の真の犯人は、やはりこの国自身なのかもしれない―。
    +++

    治安警察の番匠少佐と、反政府組織の首謀者・松浦との命とメンツを賭けた戦いがキーになった連作短編集である。
    裏をかき合う戦略の応酬は見応えがあるし、番匠のタフさにも目を瞠るのだが、それぞれの物語のラストに救いがないのがいささか辛くもある。2010年の作品だが、2013年のいま読むと、そこはかとなく厭な感じがするのはわたしだけだろうか。この国が我が国とイコールにならないことを祈りたい一冊である。

  • なぜなんだ、なんであの結末なんだよ!!…しくしく。

    日本ではない、でも日本のような国で起こる事件。特に反政府組織の頭脳と治安警察の警官のバトルがいい。相手の意図を読み、かわす。冷徹で、実は熱血な警官に惚れますね。アクションシーンがもうたまらん!!

    続編がないのが残念だ。

  • ディストピア(ではあるがある種ユートピアかもしれない。現実よりもよいかもしれないと思ってしまう)設定ということで、石持臭がいい感じに消化(昇華)されていてよかった。

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著者プロフィール

1966年、愛媛県生まれ。九州大学理学部卒。2002年『アイルランドの薔薇』で長編デビュー。03年『月の扉』が話題となり、〝碓氷優佳シリーズ〟第1弾となった05年『扉は閉ざされたまま』(祥伝社文庫)が 「このミステリーがすごい!」第2位。同シリーズの最新作に『君が護りたい人は』(祥伝社刊ノン・ノベル)。本作は『Rのつく月には気をつけよう』(祥伝社文庫)の続編。

「2022年 『Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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