転校クラブ: 人魚のいた夏

著者 :
  • 原書房
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本棚登録 : 85
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562047727

作品紹介・あらすじ

早川理14歳。お父さんの仕事の関係で転校ばかりしている。そんなあたしにとって"転校クラブ"は情報ツールであり愚痴の吐き出し口だったりする。今度の学校は海と遊園地の近くっていうのがポイントだけど、転校早々、別人と間違われてクラスのシカトにあった。-「事件」はもう始まっていたんだ。

感想・レビュー・書評

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  • ★渡り鳥、事件を解いて、去ってゆく

    【感想】
    ・わりとハードな事件。日常の謎系のほうが「転校クラブ」の存在には向いていると思われる。

    【一行目】
     「お父さんは……、殺されたの」

    【内容】
    ・転校のベテラン女子中生サトルは、もうひとりの転校生、他者にトゲトゲしい態度をとる美佐姫と親しくなろうとするが彼女の一族は人魚の呪いにかかっているらしい?
    ・転校経験のある子どもたちの集うネット上のコミュニティ「転校クラブ」での会話による「誘導」とサトル自身の行動力で謎がほどけていく。

    ▼簡単なメモ

    【亜姫/あき】美佐姫の母。亡くなっている。神崎観光開発のお坊ちゃんたちや周辺の男たちを魅了していた。恋人がいたというウワサだが別れて智朗と結婚した。
    【一角獣】転校クラブのメンバー。皮肉なもの言いをする。シリーズとして続いたらなにかのできごとに関わってサトルと親しくなるかもね。
    【入河市/いるかし】旧富美魚町(とみうおちょう)と隣町が合併してできた市。
    【柿沼】パルケ・マニーニャの警備員。智朗の同級生にして、元刑事か警官。
    【カミ】転校クラブのメンバー。入会したばかりのようだ。ぶっちゃけ、ある人物だということは即わかると思う。サトルを誘導しようとしている雰囲気。
    【佳也子/かやこ】美佐姫の祖母。
    【神崎観光開発】パルケ・マニーニャを経営している会社。一族経営って感じ。旧富美魚町最大の法人。
    【神崎美佐姫/かんざき・みさき】→美佐姫
    【喜寿郞/きじゅろう】神崎喜寿郞。神崎観光開発の社長。龍之介や美佐姫の祖父。家族をテレビCMに出させる主義。ワンマン社長だが養子だったようだ。
    【クレド】転校クラブのメンバー。関西弁。クラブの調整役のようなところがある。どうやら浪人生らしい。《笑顔っちゅうのは感染率の高いウィルスみたいなもんやで。すぐにうつって脳までに達するんや》p.26
    【サトル】主人公の「あたし」。十四歳。富美魚中に転校してきた。父の仕事の関係で転校を繰り返し身につけた世渡り用の笑顔には自信あり。はっきり遠慮なくモノを言うタイプ。運動神経がよい。「君子危うきに……って言葉より、虎穴に入らずんば……ってほうが好きなんだよね」p.147。以前なんらかの事件を解決したことがあるようだ。
    【サワ子】佳也子の末の妹。すでに亡くなっている。
    【サトルの父】銀行員。中小企業あるいは資金繰りに困っている企業担当。お金関係の解説をしてくれる。
    【人生】サトルいわく「五歳の子にも、十歳の子にも人生はありますよ。おじさんより短いだけ」p.106。そういやぼくも中学生の頃そう思ってたなあ。人生がわかってへん的な言われようしたときに子どもは子どもなりにあんたとは違う人生送ってきてんのやからオレの人生についてはアンタよりわかっとるわ、と。そういう考えは今でも同じ。
    【高知/たかち】パルケ・マニーニャのグランデ・プールのアルバイト。
    【継朗/つぐろう】神崎継朗。神崎観光開発の次期社長最有力。龍之介の父。美佐姫の叔父。
    【転校クラブ】転校経験者たちの、ネット上のサークル。各自のページの他にチャットルームがある。ぼくにも入会資格はあったな、当時こういうのがあったらよかったなとか思いつつ、こういうのに逃げてたらアカンと考えたかもしれない。
    【智朗/ともろう】神崎智朗。喜寿郞の長男。美佐姫の父。十年前亡くなっている。というか行方不明。
    【奈子】転校クラブメンバー。気が強いような発言をしている。サトルとはリアルで会ったことがあるようだ。
    【早川理/はやかわ・さとる】→サトル
    【パルケ・マニーニャ】サトルの転校した学校の近くにある遊園地。神崎観光開発が経営している。
    【昼ドラ】父いわく「昼は昼でも、子どもが学校に行ってる時間は昼じゃない」p.124。なるほど!
    【美佐姫/みさき】もうひとりの転校生。十四歳。龍之介の従姉妹で仲が悪い。背が高く整った顔立ち。龍之介によると美佐姫は人間ではなく人魚らしい。シリーズとして続いたら再度登場はありそう。
    【梁岡/やなおか】神崎観光開発の顧問弁護士。さわやかイケメン中年。お、怪しいヤツ。
    【龍之介】神崎龍之介。クラスのリーダー? 女子に人気がある。イヤなヤツだが悪人というほどではない。神崎観光開発の御曹子。可能ならば音楽家になりたいようだ。
    【麗奈】継朗の妻。ウワサでは智朗の元婚約者だったらしい。

  • 【あらすじ】
    早川理14歳。お父さんの仕事の関係で転校ばかりしている。そんなあたしにとって“転校クラブ”は情報ツールであり愚痴の吐き出し口だったりする。今度の学校は海と遊園地の近くっていうのがポイントだけど、転校早々、別人と間違われてクラスのシカトにあった。――「事件」はもう始まっていたんだ。

    【感想】

  • 本格推理青春ミステリー。
    転校を繰り返す女子中学生が主人公。
    何度も転校する事によって強さと勘の良さを身に付けている。
    チャットの転校クラブで仲間としておしゃべりをしながら、ストレス解消や悩みの相談ができるのが強力なアイテムに成っている。
    転校先の中学校で、一緒に転校してきた風変わりな女子中学生の周りで起きる事件に興味津々。持ち前のフットワークで事件に関与して見事に推理していく物語。明るく元気な活き活きとした作品。
    作者はこの分野が得意かも!

  • YA向け作品だし、可愛いイラストだし、さわやか青春ものなのかと思いきや…ややグロ描写が…。最近のYAってこういうの読んでるのー?チャット描写とかは「あぁ、若いなぁ」と思わせる感じで、私はこういう時代を切り取った感じの描写はあまり好きじゃないんだけど。で、ラストはそういうオチか。アナグラムだったとはねー。まぁ、彼女がどこかで関わってるのはわかったけど。2012/471

  • 転校生へのイジメと思いきやお家騒動へ。

  • 銀行員の父親に従い転校を繰り返す少女が通うことになる街には人魚伝説があった。人魚を助け裕福になった男の末裔は地元テーマパークの社長という言い伝え。少女は同日に転校してきた美少女と仲良くなろうとする。彼女はテーマパーク一族の一員だが、どうやら様々な要因から孤立しているらしい。行方不明になった父親の死体を探しているのだ…

  • 面白かったですが、最後が…
    後味悪い。

  • 理(さとる)は銀行員の父親の都合で、しょっちゅう転校を繰り返している。
    転校経験者で集う「転校クラブ」というコミュニティサイトで、
    よく愚痴をきいてもらっている。

    理の今度の転校先は、大規模なレジャー施設がある海の近くの町。
    そのレジャー施設の経営者の孫、龍之介が同じクラスにいて、王様状態だ。
    理と同じ日に同じクラスに転校してきた美佐姫は、龍之介のいとこだという。
    龍之介の指示でクラス中に無視されている美佐姫に、理は転校生同士
    仲良くなれないかと近づくが、拒否された。

    何度かアプローチするうちに、美佐姫がある謎を解き明かそうとしているのを
    知った理は、お節介ながらも協力することを申し出た。
    その謎とは、数年前に海難事故で亡くなったとされている美佐姫の父親の
    死の真相だった。

  • 表紙と主人公の年齢からYAかと思ったらちょっと違ったかな。
    真相が好みでなかった…仲良くなれたと思ったのにー。

  • 物語の核となる事件が動き出すまでの前置きが長く、全体のバランスがやや悪し。あらすじがあらすじだけに、日常の謎なのかガチの事件モノなのかわからないので余計に混乱しました。爽やか青春ものに見せかけて、えぐさ全開なところはいかにも水生大海。理の半分自覚的な子供っぽさも演じている感が見え隠れして癪に障ります。オチはまぁ、この手の形式ではわりとありがちなパターンかな。

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著者プロフィール

三重県生まれ。2009年、島田荘司氏選考の第1回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作を受賞した『少女たちの羅針盤』でデビュー。14年「五度目の春のヒヨコ」が第67回日本推理作家協会賞短編部門の候補に。20年『ランチ探偵』『ランチ探偵 容疑者のレシピ』が「ランチ合コン探偵 ~恋とグルメと謎解きと~」のタイトルでTVドラマ化。ほかに「社労士のヒナコ」シリーズ、『冷たい手』など著書多数。

「2022年 『ランチ探偵 彼女は謎に恋をする』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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