- Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
- / ISBN・EAN: 9784562047758
作品紹介・あらすじ
「異国の発酵食品、昆虫食」「死を想起させる現象、病気」「ホラー映画、スプラッター映画」「他人が汚した痕跡」…人はいかに受け入れるのか-五感で思わず拒絶するその正体と、反応の謎。「生理的に受け付けない」メカニズムを解明する。
感想・レビュー・書評
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エログロ好きにはたまらない。読んでいて、思わず声を上げたくなる程、気持ちの悪い食べ物が幾つも紹介される。
エクアドルの飲み物。老婆の咀嚼した唾液を混ぜて発酵させるチチャ。アイスランドの珍味、ハウカットル。サメの頭を切り落としはらわたを抜き、残った状態を浅い穴に埋め、腐敗させ発酵させたもの。黄身と白身の1部がひよこになりつつある孵化直前のアヒルの胎児を殻を割って食べてしまうフィリピンのバロット。
脳の島皮質が嫌悪感情、嘔吐むかつきを支配する。そのためハンチントン病患者は嫌悪感情を正常に機能しなくなる。逆に嫌悪感情を抱きすぎる障害が強迫神経症だという。嫌悪感は学習により身につく。主な目的は、外のものを体内に取り込ないことである。食や性、感染を避けるために備わる機能なのだと分かる。
その土地での病気罹患率が低い程、女性の性的奔放さが上がる。暑い地域より寒い地域の女性の方が奔放であったとか。ホラー映画は血圧を上昇させるだけでなく、病原体が実在しないにもかかわらず体の免疫反応を誘発し、白血球の量がめざましく上昇するとか。理屈が分かると面白い。
星五つと思いながら、エログロに満足しながら本当は人間関係の嫌悪感を知りたくて読み始めた目的と、その答えがあまり得られていない事を思い出し、一つ減。
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途中で別の本を読み始めたりしたので、数ヶ月かけて読了しました。かなり学術的な内容で、タイトルに引かれて手に取ったのでは歯応えがありすぎる内容ではないでしょうか?(日本人著者でこのようなタイトルの本があれば、内容の薄っぺらい新書になってしまうのが関の山でしょう。) 全体として、嫌悪感が人間に特有の感情で、なおかつ嫌悪感とは、生命の安全のため生じるものであるという基本的な部分がよく理解できました。時折挟み込まれるエピソードなどは非常にわかりやすく、読み進めるのは問題ないですが、しっかりと理解するにはそれなりの素養も必要なのかなとも思いました。
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嫌悪感とは死への恐怖を感じることから起きる。
人間は他の生物とは違うという思いがあるが、人間も他の生物と同じように死ぬのだと認識することになるから、嫌悪感を抱く。 -
苦いもの(寿命を縮めやすい)を避けるための機構が感染や道徳にも流用されたのでしょうか。人間以外の哺乳類に嫌悪感がないらしいというのは面白いですね。どうやって細菌を回避しているんでしょう。
この本に引かれている例でおえっとなってしまう人もいるようです。
クッソ汚い文化に触れてきた私は平気でした。ネットの例のアレは暴露療法だった…? -
嫌悪感を抱かせる様々な事例を次々と例示してくるのが、面白いですが。。読後なんとなく胃がムカムカした笑
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嫌悪感をあらゆる方向からとらえようとした本。
食品に関する嫌悪感の中で、チーズを発酵する際に虫を使っていることが結構ポピュラーであることに衝撃を受けた。発酵のためとはいえ、虫がいっぱいのチーズをうまそうに食べるというのが、本当にあるのとは思わずちょっと身の毛がよだった。
しかしながらこれも程度の問題であり、日本のくさやとかを食べるのと、まぁ多少のレベルの違いなんだろうと思った。 -
心理
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あなたはなぜ「嫌悪感」をいだくのか。レイチェル・ハーツ先生の著書。誰も感じることのある生理的な嫌悪感が生まれる背景やそのような嫌悪感をコントロールする方法について学べます。好き嫌いの感情や嫌悪感を持つこと、持たれることは人間として自然なこと、そう思うと気が楽になります。
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読んでいる最中に何度も嫌悪感とはどんな感情なのだろうか、と考えてしまう。その都度、虫、臭い、排水口などを思い浮かべ、こんな気持ちかと確認した。
嫌悪って感覚は日常的にありながら、そのものについて意識したことはなかった。なんというか、あまり人に見られたくない感覚だなと思う。
よく生理的に嫌いみたいなことが言われるから(意味は漠然としかわからないが)、なんとなく嫌いってのは生まれついてのモノなんだと勝手に思い込んでいた。後天的なんだということに驚いた。
全体的に何が言いたいのかよくわからない部分も割とあったが、本書を読んでから嫌悪感の存在を意識するようになったのは間違いない。