ルパート・スミス 軍事力の効用: 新時代「戦争論」

  • 原書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562049929

作品紹介・あらすじ

今やあらゆる場所が「戦場」となり、戦いは曖昧な目的のために長期化していく。
それに対して国家が持っている「軍隊」というシステムは対応できない。
だからこそ軍事力の役割を改めなくてはならない。
元国連軍司令官による、様々な経験に裏打ちされた「新・戦争論」。

感想・レビュー・書評

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  • 対立と紛争の境目がなく、軍事的勝利が戦略的目標の達成を意味しない「人間戦争(じんかんせんそう)」のパラダイムについての長文分析。文章が長いので全て理解できたか自信はない。2022年のロシアのウクライナ侵攻により、「国家間戦争」の側面が復活したのではないかと思われるが、ウクライナ側の抵抗は人間の反抗とも見える。興味深かった点は以下のとおり。
    ・命令を出すとき自分の部下に何ができるのかを把握しておくのは指揮官の義務。
    ・第二次世界大戦において両陣営は敵の戦争遂行能力と戦争遂行意思に焦点を合わせ、市民を攻撃対象とした。国家間戦争というパラダイムは産業・工業と技術革新によって生き絶えた。
    ・原爆によって兵力を集中させる能力は時代遅れになった。
    ・冷戦期、ソ連は国家間戦争を戦うための生産ラインを維持したが、西側は生産能力を維持せず。
    ・戦いの目的は政治的成果を決定するのではなく、結果を決めるかもしれない条件を作り出すものに。


  • 核兵器であれ何であれ、抑止力の本質は、攻撃に対する報復として使用される軍事力が非常に破壊的であり、その結果が非常にはっきりしているために、最初の攻撃で求めた利益に対して支払う代償が非常に高くなると判断されることだ。注目すべき重要な要素は、敵の軍事力が非常に破壊的で確かなものであり、予想される利益に対して支払うべき代償が高すぎると考えねばならないのは、敵を攻撃するか否かを決める側であるということだ。自分達の武器もそれと同じように破壊的で確かな物だと思っているかもしれないが、それが抑止力になるかどうかは、あなたの敵が考えねばならないことなのだ。戦争を思いとどまらせようと思っている場合の本当の標的は敵の意思決定者の心なのであって、彼の軍隊でもなければ、何か彼にとって価値のあるものでもない

  • 前半は『戦争の世界史』みたいだったり、クレフェルトの『戦争の変遷』だったりを思い出す。後半の自らの経験を踏まえてのユーゴ紛争の解説はとても勉強になるし説得力がある。非対称戦争という概念自体がクラウゼヴィッツの三位一体の国家間戦争の観点にたった見方であり、第二次世界大戦以降の戦争はそのほとんどが人間戦争というべき戦争であったと。その中で軍事力がもたらしうる効用とはって話。

  • インターネットイニシアチブの勝社推薦
    戦争史からとき起こす戦争論は官僚の日々の構えに通じえる

    文章がいたずらに長く、論点が行ったり来たりとまどろっこしいいが、エッセンスを汲み取れば素晴らしい世界観を手にできる。

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