- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784562056750
作品紹介・あらすじ
元素と周期表を通して化学の歩みと人類の歴史との関わりを紹介。テーマ別に古代の宇宙観から、中世の錬金術、近代の科学革命、偉大な科学者たち、現代のテクノロジーにいたる化学史・文化史を豊富な図版とともに解説する。
感想・レビュー・書評
-
幼少期に見た図鑑のよう。写真や図解も多く、宇宙の起源にも触れられているからだろうか、個の人間の悩みを超越した壮大な気持ちになる。
元素の発見や活用における歴史にも触れられる。現代を構成する重要な知識であるが、知らない歴史が多く、胸熱。一部を下記に紹介。
鉛の化合物に甘味。ローマ人は酸化鉛を酢と混ぜれば甘味料ができることを発見。茶さじいっぱいで慢性的な鉛中毒を引き起こした。また古代ローマの痛風患者の一部は鉛中毒によって起こされる鉛痛風だった。鉛中毒は精子の数の低下をもたらした。
鉄を最初に使ったのは古代エジプト人で鉄の精錬が行われるようになる5000年以上前。鉄隕石にはニッケルの含有量が多い。
常温で液体である唯一の金属水銀。水銀は金を溶かすことができる。そのため砂に混じっている金を採取するのに使われた。フェルトの処理に水銀を用いていた帽子職人は「狂った帽子屋の病気」と呼ばれる病気を発症。精神錯乱短気抑うつ状態無気力癇癪があり記憶喪失人格変化をもたらした。
化粧品にも使われるアンチモンは有毒だが化合物の形で火傷や潰瘍を治療するための塗り薬としても使われてきた。また錠剤は腸を刺激し便通を促進する。入手困難なため使用後、回収され再利用されていた。ちょっと汚いなと、思ってしまう。
4500年前中国の職人が儀式用の斧の研磨にダイヤモンドを使っていたことが発見されている。1772年フランスの化学者は純粋な酸素ガスの中にダイヤモンドを入れレンズを使って太陽光を集中させる実験を行った。ダイヤモンドは燃え後に残ったのは二酸化炭素だけ。同様なことを黒鉛でも実験しダイヤモンドと黒鉛が同じものであることを証明した。
炭化ホウ素はダイヤモンドに匹敵する硬さで防弾チョッキ、戦車の装甲に使われるが、化学構造はまだよくわかっていない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2019/10/17 読み終わった。
カラーできれい。化学よく分からない人にも面白い。
特に印象に残ったのは、フロギストン説の話。現代では、ものが燃えるためには酸素が必要で、酸素が無くなると燃焼が止まるのは常識だ。しかし、昔はそれを逆に考えていた人がいたらしい。つまり、何かが燃えると、ある物質(フロギストンと呼ぶ)が発生し、空間内にこれ以上その物質が入らない状態になると燃焼が止まると考えたそうだ。よく考えたものだ。 -
請求記号 430.2/R 67