欺瞞の殺意 (ミステリー・リーグ)

著者 :
  • 原書房
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本棚登録 : 274
感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562057351

作品紹介・あらすじ

無実にもかかわらず「自白」して無期懲役となった元弁護士と事件関係者との「往復書簡」は、「毒入りチョコレート」殺人をめぐる推理合戦となり、やがて「真相」のぶつかり合いが思わぬ方向へ物語を導いていく。書き下ろし長編。

感想・レビュー・書評

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  • 細部まで練られたミステリ、の一冊。

    昭和41年に起きた毒殺殺人事件。

    無実にもかかわらず、その事件の殺人犯として服役していた元弁護士が仮釈放後、事件関係者との往復書簡であの日の事件の真相に迫っていく。

    まずいきなり横溝ワールドのような親族関係、雰囲気で惹きつけられ、往復書簡での推理合戦は緊張感伴うシーソーゲームを思わせ、さらに惹き込まれる。

    これは読み応えあるし翻弄させられる。

    そして場面は一転、予想外の展開へ。

    人の性格まで熟知して細部まで練りに練られたがっつりミステリに感嘆の吐息しか出ない。

  • 昭和41年、名だたる資産家一族の集まりで発生した、毒殺事件。

    いかにも古めかしい古典的推理小説な始まり方。
    人物がごちゃごちゃして、冒頭の過去シーンは読みづらかった。

    殺人犯として服役した男が、関係者のひとりに手紙を出すところから、おもしろくなる。

    推理小説好きと、自分の無実を主張する男による、推理合戦。
    真相はいかに?

    人物の描きわけが弱いので、そこが読みづらいものの、毎回違った推理が披露されるところに、ミステリ的おもしろさがあった。

    『このミステリーがすごい! 2021年版』国内7位。

  • 最初登場人物が多すぎて頭がごちゃごちゃに。最初の登場人物一覧とにらめっとしながら読んだ。
    お互い愛ゆえに許せなかったという話。
    愛に年齢は関係ないね。

  • 昭和41年の夏、地方の有力者の家庭で起こった毒殺事件。当主の治重が自供し、無期懲役刑が確定。事件は片がついたかに思えたが、40年後、保釈された治重は、ある関係者に手紙を出す。「僕は無実です。本当はあなたもそれをご存知のはずです。」

    本書の中心は、事件の真実を推理する書簡のやり取り。互いの手紙の文面を引用して、相手の推理を否定し、あるいは肯定して、何とか真実を探り当てようとするやり取りである。そして、そのやり取りはタイトルにある通り、「欺瞞」でしかない。物語は二転三転し、最後の最後でまたひっくり返される。お終いまで気の抜けない、秀逸なミステリだ。

    深木章子さんの作品は初めて読んだ。元弁護士にして、退職後60歳から文筆活動に入ったという。本書で見られる司法制度の描写が真に迫っているのはそうした背景があるからだろう。硬質で論理的。個人的に好きな文体だ。他の作品も読んでみよう。

  • 冤罪で服役し、仮出所したばかりの元弁護士と、その愛人との手紙のやりとりで推理されていく真犯人とその犯行動機。実はその手紙自体が「欺瞞」に満ちている。
    刑務所での41年間で練りに練ったやり方で、無事復讐はやり遂げられた。
    手紙書き方が回りくどく、途中で飽がくることもあったが、全体的にはまあまあ面白かった。

  • 二人の手紙のやり取りで展開される過去の事件の解明。相手に語りかける文体だからこそ迫りくる表現があって、隠された送り主の感情にも気がつくことなくコロッと騙されました。
    壮大な仕掛けと数十年越しの復讐劇。
    手紙という昔ながらの伝達手段でかわされるミステリーに引き込まれます。

  • 42年前に起こった楡家の毒殺殺人事件で逮捕された男と生き残った女の往復書簡。そこで暴かれる事件の真相とは…

    治重の澄子に対する愛憎劇。そもそも逮捕される前に澄子と話していたら、2人にとっても悪くはない結果になったのにな、っていうのは穿った見方かな…。最後の幕引きもなんだかなぁという感じ。
    往復書簡のやりとりがすごい。

  • このミステリーは凄かったです。推理小説もたまに読むと楽しいですね。色々な視点で物事を俯瞰してみるのが大事だと思いました。
    色々な展開があり推理があり、飽きずに読み進めることができました。
    他の推理小説も読もうと思います。

  • 昭和41年に起きた名家での毒殺事件。殺人犯として服役していた男が仮釈放となって、事件関係者と手紙をやりとりしつつ事件の真相に迫ってゆくが、果たしてその結末は‥
    往復書簡で二転三転する推理が読みごたえがあり、さらにそれを超えていく真相がなかなかすごい。話の内容はドロドロでやるせないものだが、キャラが濃くないせいかあまりそれは感じられず、ミステリとしての構成が光る話。

  • 本格ミステリー小説。推理小説好きの登場人物たちの騙し合い。面白かったです。

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著者プロフィール

みき・あきこ1947年東京生まれ。東京大学法学部卒。元弁護士。60歳を機に執筆活動を開始、2010年に『鬼畜の家』で島田荘司選第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞。『衣更月家の一族』『螺旋の底』が第13回・第14回本格ミステリ大賞にノミネート、『ミネルヴァの報復』が日本推理作家協会賞にノミネートされるなど、注目の作家。他の著書に、『敗者の告白』『殺意の構図』『交換殺人はいかが? じいじと樹来とミステリー』『猫には推理がよく似合う』『消人屋敷の殺人』『ミネルヴァの報復』『消えた断章』『罠』など多数。

「2023年 『欺瞞の殺意』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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