ユダヤ系アメリカ人: 偉大な成功物語のジレンマ (PHP新書 41)
- PHP研究所 (1998年2月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569559742
作品紹介・あらすじ
学問、芸術、技術など様々な分野に優れた人材を輩出し、アメリカ社会に多大な貢献を果たしてきたユダヤ系移民とその子孫たち。しかし、その成功の物語は、民族のアイデンティティ喪失の危機と常に隣り合わせであった。一世の貧困、二・三世で開花した才能、そして消えることのない反ユダヤ主義の脅威-本書では、ユダヤ系アメリカ人の四世紀にわたる歴史を、豊富なエピソードを織り交ぜて描きながら、エスニック・アメリカがはらむ複雑な問題を、多角的に浮き彫りにする。
感想・レビュー・書評
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この本を読んでいると言ったら、ユダヤ系アメリカ人の友がこう言った。
「日本人がユダヤ人の何を知ってるの?」
その気持ちはわかる。
しかしこの本には、日本人からの勝手な夢想や見解が書いてあるのではない。
アメリカで行われ評価されている研究の広範囲にわたる紹介であり、それを日本人のアメリカ研究者の立場から、標準的な知識範囲を考慮しつつ冷静に解説してくれる、新書サイズの在り方に適した良書だと思う。
仕方のないことだが出版からすでに20年以上の月日を経てしまい、状況の変化を考慮しながら読まねばならない一点で星4つにする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
反ユダヤ主義を中核とするナチズムが崩壊したことによって、戦勝国アメリカでは、ナチズムと結びつく反ユダヤ主義は狂信的少数分子のみが公然と唱えるものであるという空気が急速に広まっていった。反ユダヤ主義は完全に消えたわけではなく、1950年には57の反ユダヤ主義団体が依然として存在していた。ユダヤ人少年が愚連隊に襲われるとか、ナチスのカギ十字をつける高校生が表れるというようなこともなくならなかった。1990年代に入って、反ユダヤ主義は社会問題としてはほとんど表面に出なくなり、ユダヤ人はアメリカ社会の主流に受け入れられるに至ったと言ってよいだろう。しかし反ユダヤ主義がキリスト教文化の一要素をなしてきたという意味では、反ユダヤ主義が死んだとは言えないというのが、ユダヤ系アメリカ人の気持ちであり、不安でもあるだろう。アメリカにはぽぐロムもホロコーストもなかった。それはアメリカ社会の体質によるものであるとともに、ユダヤ系アメリカ人がアメリカ社会に同化するため、さまざまな努力を重ねてきた結果でもあった 。
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ユダヤ人とは何かという問いに答えてくれる本ではなかった。ユダヤ系の話だが他の移民も似たような歴史があるように感じた。
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話ながいからヤダ