組織の盛衰―何が企業の命運を決めるのか (PHP文庫)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569568515

作品紹介・あらすじ

業績低迷する企業。硬直した官僚機構。戦後の未曾有の繁栄をもたらした日本的組織を、今、何が蝕んでいるのか。本書では豊臣家、帝国陸海軍等の巨大組織のケース・スタディーから、「成功体験への埋没」「機能体の共同体化」「環境への過剰適応」という、三つの「死に至る病」を検証。時代の大転換期を生き抜く、新しい組織のあり方を提唱する。著者二十年の組織論研究を集大成した現代の名著。

感想・レビュー・書評

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  • 企業組織の改革と創造の示唆提供と組織論の体系を広めるために書かれたという書。1996年発表。組織の構成要素、良い組織の定義など体系的に組織の本質的な意味を切り出しているところは秀逸。1989年を「戦後型組織」の終焉として、3つの神話、土地・株は上がる、消費の拡大、雇用の保証の終わりを描いているが、まだ2010年代にも、それにしがみついている企業はあるのではないか。組織が「死に至る病」、機能組織の共同体化、環境への過剰適応、成功体験への埋没を、どうのがれるのかについて視点が持ち出されているが、もうすこし体系化できそう。「失敗の本質」と併読が、楽しい。

  • 『BQ』(林野宏著)ビジネスパーソンに必須の23冊
    13組織とは何か

  • 豊臣政権、日本帝国軍、石炭産業のみっつの事例をもとに①成功体験への埋没。②機能体の共同体化、③旧環境への過剰適応という組織の死に至る病を検証。

    組織の共同化による情報の秘匿、意思決定の硬直化、不適材不適所の発生。滅びの美学。
    そういうのは仕組みや、兵站を考えずに、精神主義に基づく人力だけで乗り切ろうとする日本的メンタリティに脈々と息づいているように思う。
    (要はこういうのは官僚制の逆機能の一言で要約される)

    日本海軍は対馬沖戦の成功体験にしがみつき、兵站(ロジスティクス)をおろそかにしたため、二か月のうち10日しか作戦海域に出られないというお粗末さ。
    こういう戦う前に負けが決まった体制、仕組みで多くの人を戦士ではなく、飢えさせた帝国軍。

    自己陶酔のなんちゃって愛国者たちは放置して、負けるべくして負けた組織や精神含めた文化を総括し、市民、組織人は、豊かになるために今とこれからを考えるべき。

  •  組織というものに焦点を当て、古今の具体例を引きながら分析・解説した一冊。

     組織というのは大きく分けて二つに分類されます。
     一つは、目標達成に向かって活動する機能体。そしてもう一つは、組織内での構成員の交流を目的とする共同体。
     組織というものは、機能体であるはずがいつの間にか共同体化し、そして衰退していく、というのがありがちな組織の一生です。

     この組織の一生を霞ヶ関の官庁に重ね合わせると、国益よりも省庁自体の利益を優先してしまう役所の体質にピタリと当てはまります。
     と同時に、僕自身、昨年度まである組織に属していました。が、この組織も見事なまでに当初の目的・目標を見失って共同体化し、内部でのコミュニケーションや「ためにする内部規律」が横行していました。(これを読んだときは苦笑せざるを得ず、程なくこの組織を辞することになりました)

     こういう、組織であれば大小を問わず妥当する原理や法則を見つけ出して指摘するところはさすがだよなぁ…と筆者の著作を読む度いつもうならされます。


     本書ではもっと細かく組織について分析し、その性質について論じていますが、ここで特筆すべきは、筆者の文章構成のうまさでしょう。パラグラフごとに総論と具体例の書き分けがきれいになされているのですが、レジュメチックなぶつ切り・切り貼りの印象は受けません。明晰に整理されてわかりやすいのと読みやすいが両立している文章のお手本と言っても過言ではありません。
     小論文が書けないと悩んでいる受験生や説得的な文章を書きたいと思っている人は、一度参考にしてみてもいいんじゃないでしょうか。

  • 1.この本を一言で表すと?
    組織が滅ぶ条件、組織が変革する要因について、著者がまとめた本。

    2.よかった点を3~5つ
    ・「共同体」と「機能体」(p107)
    →この定義が本書の中で重要。

    ・軍隊の二つの定義(p47)
    →自己完結性は知らなかったので、興味を持った。

    ・「機能体の共同体化」(p170)
    →とても理解しやすく納得できる。共同体化は「正論」で誤魔化されやすいと思う。

    ・環境への過剰適応(p187)
    →常に変化を受け入れることが重要だと思う。

    ・組織の欠陥を隠す予算不足と人材論(p212)
    →自分はいつもヒト不足を言っていたので考えを改めたい。

    2.参考にならなかった所(つっこみ所)
    ・「利益質」の提言(p300)は理解できなかった。
    ・全体的に6章は内容が浅く感じた。

    3.実践してみようとおもうこと
    ・自分の考えが

    5.全体の感想・その他
    ・機能体の共同体化と、環境への過剰適応がキーポイントと思う。
    ・帝国陸海軍が失敗ケーススタディーとして取り上げているが、様々な本で失敗例として取り上げられているのが面白い。

  • 図書館本。組織について分かりやすく説明されていて、面白かった気が。

  • ゼミの課題で大学時代に読んだ本。色々な組織の形態と、その組織形成からわかる盛衰が面白い。

  • ありそうで中々ない、組織論にフォーカスして深掘りした本。日本史から組織の盛衰に繋げている点がわかりやすい。機能体/共同体の概念などは、日本の民族性からできるタテ社会について理解を深めてから読むと、非常にしっくりくる。

  • 組織学の本として最初に手にした本である。組織とは、組織の条件とは、組織の上に立つ人間とは…様々なことをケーススタディから学ぶという視点に立ち、読める本だった。企業が迎えた時代を、どのようにして乗り越えるのか。どんな企業が衰退していき繁栄していくのかを記した書籍でした。
    一番好きな部分を以下に挙げておく。

    石炭会社に集まった優秀な人材が、なぜ会社の衰亡を救えなかったか

    A、日本の企業が好んで採用する「優秀な人材」が、一流大学を出た成績優秀者であることが原因である。一流大学を優れた成績で卒業したことは、経営能力や商売上手を証明するものではない。頭がいいことを証明しているわけですらない。それによって証明されているのは、試験が上手であったということだけである。

  • 2016年

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著者プロフィール

1935年,大阪生まれ。東京大学経済学部卒業後,通産省に勤務。日本万国博,沖縄海洋博などを手がける。1978年退官,執筆評論活動に入る。著書に『油断!』『団塊の世代』『知価革命』『組織の盛衰』『平成三十年』『東大講義録』などのほか,『峠の群像』『豊臣秀長』『俯き加減の男の肖像』『秀吉』などの歴史小説がある。経済企画庁長官,内閣特別顧問などを歴任,現在東京大学先端科学技術研究センター客員教授,早稲田大学大学院客員教授。

「2018年 『東大講義録――文明を解く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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