心を伝える技術: 自分を知り、相手を知る心理学 (PHP文庫 こ 8-6)
- PHP研究所 (2001年4月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569575391
感想・レビュー・書評
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心を伝える技術
自分を知り、相手を知る心理学
著:國分 康孝
PHP文庫 こ 8 6
よい関係を築きたいと思っている相手に、どうすればその気持ちをストレートに伝えることができるのか
これが本書のテーマです。
カウンセリングに詳しい筆者が、心理学の立場から、感情や考えなどの心を伝える方法から自己主張の仕方、さらに上手な助言のコツまでを説いた、よりよい人間関係を築くためのバイブルである。
気になったのは、以下です。
■心を伝えるわけ
・人に心を伝えるのは人を動かしたいからです。なぜ人を動かしsたいか、人を動かさないと生きられないからです。
・心を伝える技術を学んだほうがよい主な理由は
①現代社会における人口移動の激しさ
②現代人の民主主義思考。
・心を伝えるとは具体的に何を伝えるのか。
①事実、②感情、③思考
・心を伝える方法は
①言葉によるもの
②言葉によらないもの 声の調子、間、視線、表情、服装、ジェスチャー、座り方、歩き方、熱意
ボディコンタクト、リチュアル(共同行為)、プレゼント
■相手に応じて加減するコツ
・やりとり、会話の骨子
①伝えないほうがいいこととはなにか
②好意・敬意をどう伝えるのか
③伝え方の技法の他に心がけるべきことはなにか
・不用意にふれないほうがいいトピック
①金銭、②地位、③学歴、④身体、⑤異性関係、⑥レッテルはり(ノイローゼとか)
・コミュニケーションは、好意・敬意を伝えるところから始まる
①受身的表現
②能動的表現
・好意・敬意を能動的に伝えるコツ
①事前調査 相手に関する情報をする
②時間観念 相手の時間を大切にする
③会う場所 会う場所を親切に説明すること
④環境設定 会う環境を整える、失礼のないようにする
⑤服装 会うにふさわしい服装
⑥報連相 こまめに情報を交換する
⑦立ち振る舞い
■グループにとけ込むコツ
・グループを見る観点
①役割
②力 ボス、インフォーマルリーダ
③下位集団
④メンバーの感情関係
⑤情報 メンバーの人並みの情報をもっているか
⑥集団の規範 しきたり
・グループの話し合いで注意すること
①脱線しないこと
②人にも発言の機会を与えること
③グループの話し合いのメリット
人も自分と似ている
自分が気づかなかった考え、感情、行動があり態度を修正できる
自分の発言に反対の意見があって、自己盲点に気づく
④まず、受動的発言から、次に、能動的発言へ
⑤発言のタイミング
・司会者としての注意
①時間配分
②脱線させない
③目標を目指して進行する
④発言を促す
⑤介入をためらってならない瞬間を逃さないこと
⑥起こりうることへの準備をしておく
■パブリック・スピーチのコツ
・対話のあるスピーチとは、聴衆の反応を見ながら話すこと
・原稿をつくらずに、スピーチプランをつくる(内容をメモ程度にとどめる)
①まず話しのテーマを、1行できめる。⇒トピック
②トピックは、自分の知っている分野、自分が好きなトピックにする
③内容を、おもしろくて、かつ、ためになる ものにする
④ためになるとは、新しい考えへの刺激、新しい行動への刺激、或る感情が刺激されて意欲がでる
⑤トピックがきまったら、自分が何を言いたいのか、要旨を自問自答します
⑥要旨を、聴衆に伝える順番を決める
⑦いくつか筋立てをつくって、メモ書きを作る
⑧それぞれの筋立てに肉付けをする
⑨結論を考える、そして、要旨と矛盾がないかを確認する 要旨とは一般的であり、結論は具象的である
・スピーチには非言語的表現を活用すること
①会話風にインフォーマルに話す
②全員に聞こえる声で話すこと
③定刻にスピーチを終えること
■ヘルピングのコツ
・しないほうがよいこと
①相手が自発的にならない限り、突っ込んだ質問をしない
②相手に簡単に加担しない
③相手の状況や問題を推論しているにすぎないのに、事実であるごとく断定をしない
④自分の能力を超えない
・相談には4つの段階がある
①声かけ
②現状把握
③何がネックなのかを発見する
④問題解決の処方箋を考える
・相談相手への4つの責任
①秘密の保持
②恩を売らない
③独占欲、嫉妬に注意する
④アドバイスをした以上、逃げ隠れしない
・留意点
①いやがること、乗り気でないことに、無理させない
②アドバイスを与えるときに、いいことづくめでないこともあると伝える
③アドバイスがうまく行かない場合は、気持ちよく相談にのってあげようと覚悟をきめる
④明日は我が身ということ
⑤自分の手にあまるときは、いいかげんなことをいわずに、しかるべき人のところにいかせること
■使えるものを使うコツ
・文章表現の4つのねらい
①事実の伝達
②説明
③説得
④感情の伝達
・文章を書く時のコツ
①目的と方法を意識する
②読む人がイメージしやすいように書く
③文章表現様式
・以心伝心の5つのパターン
①逆表現 わざと冷徹に扱う
②口実を作る
③焦点ずらし
④見ぬふり、知らぬふり
⑤ふりかえ
■いうべきことはいう能力を養うべし
・自己主張と攻撃とは違う
自己主張とは相手の立場を認めた上で、自分の立場も認めてもらおうとするもの
・攻撃の感情とは
①恐怖
②勝ちたい一心
③我慢する能力が低い
④過去を清算できずこれまでひきづってきている
・人の迷惑にならない限り、自分の好きな方法で幸福を求める権利
①自尊心を守る権利
②ノーという権利
③感情表出の権威
④行動を起こす前に考える権利
⑤変心する権利
⑥人に依存する権利
⑦ほどほどにする権利
⑧情報を求める権利
⑨失敗する権利
・自己主張6通り
①欲求表現
②感情表現
③ありがた迷惑の表現
④共感的主張
⑤対決的主張
⑥不快の表現
・必要ならば、自己主張できるが、状況からして、今は自己主張しないだけである。
・自己主張できないのと、自己主張しないのとでは雲泥の違いがある
目次
文庫版のためのまえがき
まえがき
第1章 心を伝えるわけ
第2章 相手に応じて加減するコツ
第3章 グループにとけ込むコツ
第4章 パブリック・スピーチのコツ
第5章 ヘルピングのコツ
第6章 使えるものを使うコツ
第7章 いうべきことはいう能力を養うべし
あとがき
ISBN:9784569575391
出版社:PHP研究所
判型:文庫
ページ数:240ページ
定価:476円(本体)
発売日:2001年04月16日第1版第1刷詳細をみるコメント0件をすべて表示