朱鎔基の中国改革 (PHP新書 51)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569602288

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  • 1998年刊行。著者は東洋学園人文学部教授。

     21世紀中国の方向性を定めたのが鄧小平であるが、その実務担当者は89年の第二次天安門事件の後遺症冷めやらぬ91年に副首相に就任した朱鎔基であった。
     本書は古い本であるが、現代に続く中国の経済上の問題点を読み解いていく。例えば、金融機関の多大な不良債権、沿岸・内陸格差、国営企業問題とこれから生み出される(潜在的)失業率の高さ、中央と地方の権限分配と潜在的対立構図等であり、朱鎔基の経済政策を分析基軸に据える。

     そういう意味で、本書読破の意義とは、鄧小平時代以降現在まで、中国の国内問題が連綿と継続している状態にあるのを感得することだろう。
     当然、朱鎔基の政策が須らく成功していたわけではないのは、今も同様の問題に中華人民共和国が直面していることから伺い得る。逆に言えば、高い実務能力を備えた朱鎔基をして解決を成し得なかった問題の根深さも感得できそうだ。

     ところで、人民解放軍の問題は、本書が経済政策論を展開する書なので、やや弱いかなという印象。

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著者プロフィール

1957年、上海生まれ。中国・華東師範大学外国語学部卒、1992年、学習院大学で博士号(政治学)を取得。1986年に来日し、学習院大・東大・早稲田大などの非常勤講師を経て、1992年、東洋女子短期大学助教授、1996年より東洋学園大学教授となり現在に至る。その間、2002年、米国ジョージ・ワシントン大学(GWU)客員研究員、2007年、英国ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)客員研究員。著書は『毛沢東の朝鮮戦争』(岩波書店 1991年)、『中国2020年への道』(日本放送出版協会 1998年)、『毛沢東のベトナム戦争』(東京大学出版会 2001年)、『中国で尊敬される日本人たち』(中経出版 2010年)、『中国外交 苦難と超克の100年』(PHP出版 2012年)など多数。

「2017年 『中国と南沙諸島紛争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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