源頼朝-鎌倉殿誕生 (PHP新書 156)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569616414

感想・レビュー・書評

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  • 自分には難しい内容だったが源頼朝の生涯をポイントを絞った年代で論じられていて、面白かった。先読みした陰謀家ではなく、適宜最善手を目指した卓越した政治家といえる。

  • 源頼朝が挙兵してから奥州征伐までの約10年に的をしぼり、彼の行動の政治的な意味を考察する本。平家追討の戦いも、朝廷との外交交渉も、源義経らの代官に任せきりにして、自分自身はひたすら鎌倉に籠っていたことを、「天性の政治センスの良さ」と絶賛している。頼朝の後ろ盾である関東の御家人集団の利害関係が複雑で、鎌倉を離れたくても離れられない事情はあったにせよ、義経を使えるだけ使っておいて、用済みになったら切り捨てるあたりは、マキャベリが聞いたら手を叩いて喜びそうな政治手腕であることも確か。奥州征伐は、政権移行の総仕上げとしての「儀式」的な意味合いが強く、総大将として20万の大軍を率いて出陣することになるのだが、それを「私闘」として正当化させるための慎重な根回しも、彼の政治的手腕として見逃せないところである。(奥州征伐は、朝廷ではなく源家による征伐と位置づけることで、政権が実質的に移譲されたことを示威するための大がかりなパフォーマンスだったのである)
    豊臣政権以降の徳川家康の動きと通じる点が多いことから、家康は吾妻鏡を読んで、頼朝のことを深く勉強したことが容易に想像できる。50代になっていた家康には、30代の時の頼朝の行動を学んで実践する能力があったし、それをやれるだけの環境も整っていたということなのだろう。

  • [ 内容 ]
    東国における反乱勢力として出発し日本初の武家政権を確立した鎌倉殿・源頼朝。
    以仁王の令旨を継ぐ正統性の主張、坂東武士の主従の論理、そして王朝に対して時折示す纂奪政権としての武の脅威…。
    これらを使い分け、カリスマ性と「正義の戦い」を巧みに演出することで、自己の権威に磨きをかけ、武のシステムを日本に築き上げた。
    本書では、源平争乱から奥州合戦に至る最も濃密な十年を読み解きながら、卓越した政治的手腕を示した頼朝の実像に迫る。

    [ 目次 ]
    第1部 治承四年―反乱から内乱へ(謀叛の政権;武威の来歴と源氏神話;義仲との覇権争い)
    第2部 文治元年―鎌倉殿は誕生した(鎌倉殿とは何か;天下草創の時代)
    第3部 建久元年―そして日本国の成立(鎌倉殿のさらなる戦い;内乱の終焉と日本国)

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著者プロフィール

1952年生まれ。1985年、学習院大学大学院人文科学研究科博士後期課程満期退学。現在、日本大学文理学部教授(特任) ※2022年9月現在
【主要著書】『武士の誕生』(講談社学術文庫、2013年)、『恋する武士 闘う貴族』(山川出版社、2015年)、『敗者たちの中世争乱』(吉川弘文館、2020年)、『刀伊の入寇』(中央公論新社、2021年)

「2022年 『奥羽武士団』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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