湯川秀樹の世界: 中間子論はなぜ生まれたか (PHP新書 229)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569625171

感想・レビュー・書評

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  • ■ 湯川秀樹の世界

    日本人初のノーベル賞受賞者の伝記。
    新書一冊にまとめつつも、先進する欧米の研究と、追いかける日本勢、そして世界の世相(戦況)を、巧みに織り合わせたストーリーテリングが秀逸。
    湯川本人は、実験より理論の構築が主体だったようだが、本書においては、 量子論そのものの理論的な説明は少ない。その分、研究や実験の有り様が、わかりやすく描写されており、湯川本人の性格や、その性格ならではの苦悩がよく伝わってくる。
    戦中戦後の混乱を乗り越え、成果が世界に認められるには時間がかかった。そして、湯川が授賞式でヨーロッパに滞在している場面で本書は終わる。
    それからまだ100年も経ずして、核力の恐ろしさを思い知られているこの時代だが、科学技術文明の礎を築いた研究者たちには罪はない。僅か数十年の間に、陰極管が巨大な地下トンネルになり、霧箱は廃鉱山の巨体水槽になった事には、素直に科学の進歩を喜ぶべきと思う。

  • 著:中野不二男

    ファインマンシリーズは結構読んだのだが、
    わが日本のノーベル賞をとった物理学者である
    湯川秀樹についてはまったくしらなかった。
    ゆえに手をだしたこの1冊。

    ただ単純にすごいとおもった。
    彼がノーベル賞をとった要因には、
    彼の時代背景、
    家族環境(とくに奥さんの献身的な働き)
    彼の天才的な素質(言うまでもありませんが)
    などが複雑に絡み合っている。

    この時期の物理学と戦争はあらゆる面で切っても切り離せない。
    そんな複雑な時代に、
    理論という武器で中間子論という
    フロンティアを切り開いた。
    戦後の日本の物理学の繁栄は彼によるところが大きかったと思う。

    そして、後にノーベル賞をとる朝永、
    湯川をノーベル賞に推薦した長岡、
    湯川の師匠的存在の仁科(私と同じ誕生日です)など
    この時代には偉大な科学者がひしめいていたと
    再び感じた。

    あんまり今まで、これらの科学者について
    本を読んだりしたことはなかったので
    これから読んでいこうと思う。

    そいして、中間子論の論文をゲットして
    ちょっと読んでみようとも思った。
    わかるのか疑問ですが・・・。


  • 湯川秀樹の生涯をその時々の歴史に照らし合わせて紹介している。
    ノーベル賞を受賞するまでが語られており、晩年の記述は乏しい。
    読んでいて、湯川秀樹がノーベル賞をとれたのは、周りのサポートがあってこそであるということが感じられた。特に妻スミの存在は大きかったと思われる。
    また若いころから、世界の第一線で活躍している学者をライバル視していたり、当時の日本という環境を見ればやはり非凡な人物であったのだろう。

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