湯川秀樹の世界: 中間子論はなぜ生まれたか (PHP新書 229)
- PHP研究所 (2002年11月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569625171
感想・レビュー・書評
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■ 湯川秀樹の世界
日本人初のノーベル賞受賞者の伝記。
新書一冊にまとめつつも、先進する欧米の研究と、追いかける日本勢、そして世界の世相(戦況)を、巧みに織り合わせたストーリーテリングが秀逸。
湯川本人は、実験より理論の構築が主体だったようだが、本書においては、 量子論そのものの理論的な説明は少ない。その分、研究や実験の有り様が、わかりやすく描写されており、湯川本人の性格や、その性格ならではの苦悩がよく伝わってくる。
戦中戦後の混乱を乗り越え、成果が世界に認められるには時間がかかった。そして、湯川が授賞式でヨーロッパに滞在している場面で本書は終わる。
それからまだ100年も経ずして、核力の恐ろしさを思い知られているこの時代だが、科学技術文明の礎を築いた研究者たちには罪はない。僅か数十年の間に、陰極管が巨大な地下トンネルになり、霧箱は廃鉱山の巨体水槽になった事には、素直に科学の進歩を喜ぶべきと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著:中野不二男
ファインマンシリーズは結構読んだのだが、
わが日本のノーベル賞をとった物理学者である
湯川秀樹についてはまったくしらなかった。
ゆえに手をだしたこの1冊。
ただ単純にすごいとおもった。
彼がノーベル賞をとった要因には、
彼の時代背景、
家族環境(とくに奥さんの献身的な働き)
彼の天才的な素質(言うまでもありませんが)
などが複雑に絡み合っている。
この時期の物理学と戦争はあらゆる面で切っても切り離せない。
そんな複雑な時代に、
理論という武器で中間子論という
フロンティアを切り開いた。
戦後の日本の物理学の繁栄は彼によるところが大きかったと思う。
そして、後にノーベル賞をとる朝永、
湯川をノーベル賞に推薦した長岡、
湯川の師匠的存在の仁科(私と同じ誕生日です)など
この時代には偉大な科学者がひしめいていたと
再び感じた。
あんまり今まで、これらの科学者について
本を読んだりしたことはなかったので
これから読んでいこうと思う。
そいして、中間子論の論文をゲットして
ちょっと読んでみようとも思った。
わかるのか疑問ですが・・・。