オッペンハイマー 上 「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇

  • PHP研究所
3.67
  • (6)
  • (3)
  • (11)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 101
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569692920

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • アメリカの共産主義への病的に神経質な怯えが、言葉通り、世紀の茶番を現実のものにしてしまった。その模様が克明に描かれている。

    そしてその茶番劇が現在の核兵器が支配する世界に明確に繋がってしまった。

    日本人は核兵器の残酷さを他のどの国家よりも知っている。広島・長崎の悲惨さを見聞きする機会は、当たり前だがどこの国家より多い。だから原爆が戦争を終わらすための正義の鉄槌ではなかったことを知っている。

    他方、どういう理由で原爆が製造され、実際に日本に投下されるまでの過程を、原爆の悲惨さほど、知っているわけではない。

    原爆投下の理由のひとつとして挙げられる、科学者が発見してしまった新しい力を使わずにはいらなかったという考え方は、全てではないが誤りが多い。正確と思われる歴史的背景は、やはり、知っておくべきだ。

    本書はシリアスで込み入った話の連続だが、他方、ニースル=ボーアが核兵器の国際管理を求めてロスアラモスを訪問し、オッペンハイマーと会談する場面やオッペンハイマーがアインシュタインの誕生日に、クラシックの聴けるラジオをプレゼントする場面など、伝説の物理学者達の体温が伝わってくる交流の描写に触れると、何とも言えない優しい気分になれた。

カイ・バードの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
レイチェル・L....
デールカーネギ...
三島由紀夫
J・モーティマー...
フランツ・カフカ
冲方 丁
ジェームス W....
谷崎潤一郎
ヴィクトール・E...
三島由紀夫
エーリッヒ・フロ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×