排出権取引とは何か (PHPビジネス新書 60)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569700625

作品紹介・あらすじ

鉄鋼、電力からメーカー、コンビニチェーン、果てはJリーグの球団まで…多くの企業や団体が先を争って購入している「排出権」。地球温暖化の危機が叫ばれるなか、温室効果ガスを"排出できる権利"とも言えるこの「排出権」をめぐって世界的な取引市場が生まれ、日本でも企業のCSR担当者も注目している。本書では、「環境保護」が企業にとって避けて通れない今、知っておきたい排出権市場の仕組みと状況をプロがわかりやすく解説する書である。

感想・レビュー・書評

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  • 排出権取引の入門書。
    読み易くて分かり易い。
    一方で、深みがなくって物足りなさを感じてしまうのも確か。
    まあ排出権取引自体始まったばかりの新しい概念であり、深く論じるだけの材料がまだ揃っていないということもあるのだとは思いますが。

    この本でも解説されていますが、国別に排出枠を割り当てる京都議定書の排出権と、企業が排出枠を売買するEUの排出権(取引)とを同列に扱うことはできない。
    自分も、排出権に関する報道を眺めていても、どうも混乱があるような気がしてましたが、そのあたりが頭の中でクリアになったのが、この本を読んでの一番の収穫かな。

    排出権取引は、エネルギー問題に、権利売買という「経済」的手法を持ち込んだものですが、国別でも企業別でも、排出枠の最初の割り当てをどのように行なうかという点は、きわめて「政治」的な問題なわけです。
    京都議定書の国別排出枠割り当てがそもそもEUや新興国に有利で、日本は損しているというのはよく指摘される話です。
    この本においても、そのあたりの問題点は指摘されていますが、わりとあっさり看過されてしまっている。
    プロフィールによれば、著者は「グローバル金融機関勤務」だそうなので、「どうあるべきか」というアカデミズムよりも、「どうするべきか」というプラグマティズムのほうに関心があるということでしょうか。

    それから、排出権取引が金融商品として新たな投資対象たりうるか、という論点。
    これも本の中で指摘されていますが、排出権という概念自体が人為的に設定された擬制であることを考えると、それが果たして永続的な価値を持つ資産たりうるのか疑問な気がします。

    ちなみに、この本は、地球温暖化が進んでいること、および、温室効果ガスがその原因であることについては全く疑問視せず、所与の前提として書かれています。
    この論点については、他の「温暖化懐疑本」を読んでみたいと思います。

  • 日経文庫の「排出量取引入門」が消化不良だったので、amazon書評が比較的高い本書を購入してみました。,しかし、国内では「排出量取引」が定着しつつありますが、本書タイトルは、「排出権取引」を使用しています。私も実はこちらの方が、ヤマ師の血が騒いで好きだったりします。,非常に分かりやすく、また、排出権取引の闇の部分(ホットエアーによるCER暴落リスクなど)にも適切な解説がされています。著者は、決して、排出権取引推進一辺倒というスタンスでないところが、好感が持てます。,「排出量取引入門」日経文庫 三菱総研著に比べて、圧倒的に良書です(価格も安いです)。私は、書店で悩んで、最初にハズレを引いた訳です。

  • 排出権に関する基本的な話よりちょっとだけ専門的な話に触れられている。古い話なので、最近の話題がどうなっているのか、当社がどのような対応をしているのか興味をそそられる。

  • 排出権にも種類があること、また各々の性質やそこから生じる国際的な問題点などが理解しやすかった。

  • 購入当時このワードが今後必ず来ると思い購入。

    CSR活動の一環。
    他社との差別化「おまけ」として活用。
    建築会社の例:○○で建て替えると○○円のカーボンオフセット
    というように大差ない商品のなか。「やっぱエコだしor環境に配慮して」というような本当におまけの様な感覚で用いられている。
    排出権取引には3つの種類がある。
    排出権=地球を汚す権利
    京都議定書での日本の予算達成は非常に困難。海外(特に新興国の予算)その計算方法では難しさがてんで違うわな。

  • 先日読んだ、「温暖化がカネになる」の著者、北村氏の本。

    前著「温暖化がカネになる」よりも出版された時期が新しい(2008年6月出版)ので、より新しい情報に基づいて、排出権について解説されている。(ただし、前著と重複するところもあるが・・・)

    新聞やニュースなどで目に触れる機会の多い、この「排出権」について、その種類(3種類ある)や、市場、取引形態、日本の対応等々、平易に解説してくれていて、分かりやすかった。

    本書を読んでみて、この排出権取引というビジネスにおいては日本は新興諸国等の良い「カモ」にならざるを得ないようで、先行きが不安になってしまった。


    温暖化対策や環境保護が叫ばれる昨今、避けては通れないこの排出権について、知識として知っておくことは悪くないと思う。

    既に世界で動きだしている、この排出権取引というビッグ・ビジネスについての基本的な事を知るには良い本だと思う。

  • タイトル通り、排出権について。
    サミット近辺ではかなり騒がれてたけど、少し沈静化したかな?
    自分が関わるかどうか(関わりたいかどうか)は別として、人間として知っておくべきことであると思う。
    軽く読めてしまうから集中して一気に読むべし。
    2012年が楽しみです。

  • 著者は北村氏である。氏は、外資系コンサルの真実!?みたいな著書でも投資系の
    本でも有名である。ちなみに、慶應ーウォートンスクールー金融会社って感じである。

    そして、本書の内容は文字通り排出権ってなに?京都議定書って?取引はどうやって?
    マーケットはどうなってるの?EUは?アメリカは?発展途上国の動向は?
    ってな感じで、普段疑問に思っていたり、感じていたりする事を分かりやすく
    教えてくれる。

    簡単に言うと、排出権は大きく3種類ある。京都議定書排出権・EU域内排出権・その他
    であり、基本的に京都議定書にのっとった排出権でなくては、カウントにならない。
    つまり、他をいくらやってもCO2削除にならない。

    また、京都議定書の排出権には2つある。
    1.国が発展途上国等に技術援助(CDM)し、その分減ったCO2をもらう【CER】
    2.先進国が共同で排出量削除事業を行って得られる排出権の【ERU】

    基本的に多いのは、1である。

    ここまでは、説明の話で、残りは日本の現状や世界の動きを説明している。
    そして、その説明を理解する限り、かなり日本はやばい位置に立っている。
    問題は3つ、

    1.目標削除量を達成できず、莫大な財政を投じてCO2を買う可能性がある
    2.排出権取引マーケット創設をイギリスに主導を握られている
    3.国内のマーケット整備が遅れている

    これは、世界にかなり遅れを取るだろうと予測される。
    全く日本って奴は、京都議定書を作っても結局西欧に良いようにされて終わりだ。
    情けない。

  • ゼミの関連で読んだが面白かったw

  • 排出権取引の入門書
    インターンの面接に備えてこれで勉強した。
    読んだ時は出版直後だったので最新情報もキャッチアップしたし、とても分かりやすかったが、動きの速い制度変更(特に国内クレジットについて等)のおかげですでに使い物にならない。

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