- Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569704340
作品紹介・あらすじ
好評『本の読み方スロー・リーディングの実践』の続編。P・オースター『幽霊たち』、綿矢りさ『蹴りたい背中』、伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』、美嘉『恋空』…本書では、現代の純文学、ミステリーさらにはケータイ小説も含めた計九作品を題材に、小説をより深く楽しく味わうコツをわかりやすく解説する。それぞれの読解で提示される着眼点は、読者がブログで感想を書いたり、意見を交換するうえで役に立つものばかり。作家をめざしてる人はもちろん、一般の読書ファンにとっても示唆に富んだ新しい読書論。
感想・レビュー・書評
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本の読み方―から引き続いた、内容。小説の時間軸、思考の軸と同じではないか。
登場人物の主語に続く・・・
①人物像を形作ってゆくもの
②行動を意味するもの
今回作品は、特に強調文章もなく平坦だった印象があり。実践編でも、考えるところが少なかった。
幽霊たち ポール・オースター
蹴りたい背中 綿矢りさ
若さなき若さ ミルチャ・エリアーデ
日本文学盛衰記 高橋源一郎
辻一「半月の花」 古井由吉
ゴールデンスランバー 伊坂幸太郎
髪一幻 瀬戸内寂聴
アムステルダム イアン・マキューアン
恋空 美嘉詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『本の読み方―スロー・リーディングの実践』(PHP新書)の続編です。九つの作品がとりあげられ、その一節をじっさいに読み解くことで、小説のたのしみかたを読者に伝授しています。
著者は、プロットを「大きな矢印」、文を「小さな矢印」と呼んでいます。そして、小さな矢印を積みかさねていくことで大きな矢印を前進させていくというかたちで、小説の構成を解説しています。ここには実作者ならではの見かたが示されているように感じました。著者は方法論的な意識の鋭敏な小説家なので、小説の構成についてこうした反省をおこなうことがあったのかもしれません。 -
◼︎スローリーディングのテクニック
・単語を結びつける助詞、助動詞に着目
・先へ、ではなく、奥へ
→著者の前提や背景へ
・人に話すことを想定して読む
・接続詞に気をつける
速読と対比して遅読というが、内容は真っ当な読書の仕方 -
前作『スロー・リーディングの実践』の反省から小説に焦点をしぼった。
結果は吉と出て、大変読み応えのある価値ある一冊になったと思う。
要するに精度の高い現国の授業なのであるが、ここまで丹念に読み込むのは受験合格を目的とした教育にはそぐわない。
翻ってみると今の国語教育の問題点も見えてくるようだ。
実利だけではない、歴史の大説には乗らない小さな説(生きている人間ひとりひとりの情感)の集まりの大切さに気がつける本。 -
本書を読んだとき、優れた作家の言葉ひとつひとつと、最近の車の部品ひとつひとつに、共通点を感じました。それは車の部品の形、素材、色、全てになんらかの理由や狙いがあるように、優れた作家の言葉のひとつひとつに意図が練り込まれているのだろうと思いました。小説を読む時は、ひとつひとつの言葉を噛み締めて読もうと思います。
もうひとつ。小説を読むときの観点もさることながら、著者の表現力や比喩力、用いる言葉に感嘆させられました。読んだ小説について語りたいと思っても、感じたことを上手く言語化できないもどかしさを感じていましたが、より多くの言葉に触れることが答えかなと思いました。 -
芥川賞作家の平野啓一郎による小説の読み方を教示する本。個人的には平野啓一郎が書く小説作品に比べては見劣りするものの、どちらかといえば理論というよりも、小説をよくよく分析して解説はしてくれている。
平野啓一郎ほど深く読め理解もできているのであれば、本書で説明している主語充填型述語やプロット前進型述語も自然にできているのであれば問題ないのであるが、あまり意識しすぎると小説自身を楽しめなくなる様な気がする。
ただこういった着眼点の取り方は読み方の一助となるのは間違いなかろう。
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ちょっとイメージしていたのとは違ったけど良かったところもあった。
書き手側になる、いつ書かれているものか、作者と読者の間の関係などヒントになるものがあった。
また、疑問文?は読者への訴えでもあるので深く奥に読めるようになりたい。
1月22日バイク事故
本当にいつ死に見舞われるか分からないなと実感した。
やりたい時にやりたいことをできるように。
あとはゆっくり読むことは悪いことじゃない。
早く浅く読むより、ゆっくり深くを意識して。 -
「感想が語れる着眼点」という文に惹かれて読みました。
小説を色々な面から細かく分解してじっくり読み進めることで、作品の理解が深まり感想文も書けるようになる。
こういった読み方を「スローリーディング」と呼んで推奨しているそうで、私の場合はまずその「スローリーディング」についてもっと詳しく知る必要があるようだと、この本を読み終えて感じました。
あと、他の方も書かれていましたが、小説を書いている人も読んで損はない本だと思います。 -
読み方は書き方に通じるのではと思って図書館で借りた。描写を「主語を充填する」と「プロットを勧める」に分けて読む、というのが個人的には腑に落ちたやり方。
そして「小さな矢印」「主語+述語の組み合わせ」が小説を通じて大きな一つの矢印になり「この物語は○○である」という究極の主語述語を完成させる、という部分。なるほど……。(※弱点) -
Amazonのレビューで好評だったので、購入したが、作家らしい解説はあるが、レベルが低く、内容も浅い。
残念ながら、文学理論とかは、丸で出てこない。
レベル的に中学生くらいが対象と考えた方がよい。
あくまでも、文学ではなく、様々な小説の読み方である。