- Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569776996
感想・レビュー・書評
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問題の本質は中央による地方支配、つまり戦後の日本を形成してきた族議員政治と中央集権の官僚政治にある。
困ったときは国が助けてくれるという安心しきった組織に経営責任や自助努力という言葉は存在しない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
現在、経営再建が行われているJAL。この会社が今後どうなっていくのかは『神のみぞ知る』と言ったところです。『巨大組織はいかにして崩壊していくのか?』個人的に追い求めているテーマのひとつです。
最近では雑誌などで財務的にも健全化されて上場するのではないかという話がちらほらと出てくるJALでありますが、本当のところはどうなのかよくわかりません。僕がJAL関係の本を読んでいるのは『沈まぬ太陽』の影響と『巨大組織はどのようにして腐敗、崩壊していくのか?』という個人的な興味・関心。もしくはテーマにのっとっているからなのかもしれません。
筆者の経歴は保守派の論客だそうで、僕は寡聞にして今まで知ることはなかったのですが、JALの経営問題について長年追い続けてきただけ会って、その問題をピンポイントで突いた論点は読んでいてなるほどな、とは思いました。自分にとって一番面白かったのは第三章の『二十五年前から続く「お上依存」と「無責任」』に書かれている一連のことで、「困ったときは国が助けてくれる」といったある種の無責任さや、醜悪なまでに足を引っ張り合う派閥争いの話は
「オトナの世界って、おっかねぇなぁ~」
と思わず言いたくなるような話のオンパレードで、なかなかどうして、ページをめくる手が鈍ってしまったことを思い出します。
この先、国民の莫大な税金を注ぎこまれて『再生』したJALがどこへ向かうのかは自分にはわかりませんが、『ナショナル・フラッグ・キャリア』とかつて呼ばれた会社が、このような形で凋落していったのだ、という『貴重な記録として』読んだ意味はあるのかな、と最近ではそう考えております。