人間の達人 本田宗一郎

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569804101

作品紹介・あらすじ

いまこそ手本にしたい男。つねに「目配り」「気配り」「思いやり」が彼にはあった。豪放磊落にして繊細、自分を通しながらも周りから愛された男の魅力に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 2012年10月7日のブログより。  
    http://jqut.blog98.fc2.com/blog-entry-1702.html

    会社の3階に突然に書店ができました。それも結構な規模です。もちろん突然できたのではなく、予告のポスターなども貼ってあったようですが、あまりに身近でまったく気づきませんでした。いずれにしても、書店好きの自分としては、ことのほか喜ばしいことです。ということで、さっそくオープン初日であるこの金曜日、に4冊ほど目についた本を買って帰りました。そのうちの1冊がこれです。

    本田宗一郎という稀有な経営者、そして既に歴史上の人物について、今年になって伊丹先生が書いた本です。

    私は今のところ4台続けてホンダ車に乗っています。大学生のときに始めて買ったのが、三菱自動車。その次が日産自動車。社会人になってからはトヨタ自動車。そして、4台目にして初めてホンダ車を買います。それから綿々とホンダ車を乗り換えています。SONY同様にやっぱりなんとなく好きな会社、ブランドなんだと思います。是非とも頑張り続けてほしい会社です。

    で、そんな会社なのですが、本田宗一郎という創業者について書かれた書籍、そして自身が書いた書籍はよくよく考えると読んだことがありませんでした。というか、偉大な経済人について書かれた書籍、偉大な経済人が書いた書籍というのは、あまり読んでないんですね。振り返ると。それから歴史物もほとんど読んでいません。たぶんこういう傾向になっているのは、これらの書籍は過去のことを書いているからではないかと思うのですが、本書の中で本田宗一郎も市場調査について過去に聞いても仕方がない的なことをいっていました。

    実に人に厳しく、そして人に暖かい方だったようです。現場を大切にする反面、きちんとした理論・原理原則も大切にされていたようです。ある種、明確な哲学と思想を感じられます。

    カリスマ的な創業者が退任したあと、それも二人三脚できた藤沢副社長も一緒に退任したのですから、その後のホンダを危惧した人も少なくはなかったのではないかと思います。しかも、会長に残るなどして院政を敷いたわけでもなさそうです。

    それでありながら、1973年の社長退任時には3900億円であった売上高が、本田宗一郎氏が逝去した1991には4兆3900億円になっていたという(ちなみに2011年度は単体2兆7400億円、連結で7兆9500億円)、つまり社長退任で企業の勢いが衰えるどころか、さらなる成長を遂げたというのは、もの凄いことです。

    おそらくこれは、偉大な創業オーナーが一線から退いた後も、その思想と哲学が残ったからではないかと思います。「人間尊重」の精神、「三つの喜び」、これらが価値基準、行動基準として根付いていたからではないかと推察します。是非、ホンダさんにお邪魔して、今の取り組みを伺ってみたくなりました。さっそく週明けにアポとり依頼をしてみます。

  • 同じ本を二回読んでしまいました。

    前回読んだときのことをほとんど忘れていたのですが、「円柱は権威の象徴だ」というくだりだけ、強く覚えていました。

    たしかに、某大学の図書館がまるで神殿のように感じたのも、円柱のせいだったかもしれません。
    権威を否定し、自分たちが権威になることも嫌い、どこまでも自由でいたかった本田さんの姿が、発言から浮かび上がってきます。

    ただ、やや、持ち上げすぎに感じてしまうことも、あります。

  • No.777

  • 人を引き付ける物とは何か? 本田流の人間味のある宗一郎の魅力には、涙が出てきた。不思議だ。

  • 本田宗一郎氏の過去の著書に書かれている事を触れながら、氏の考え方を振り返る本です。読んだ感想は、本田宗一郎氏は自分を平凡な人間だと思う謙虚な心を持つ一方で、自分のやりたいと思った事はどんなに従業員に無理をさせてでもやりとげようとする子供のような我儘な心を持つ二面性のある方だと思いました。

    本の前半は従業員に慕われる社長としての一面、後半は仕事の鬼としての一面が書かれています。多分両方の面があったからこそ、死後20年以上経った今でも名経営者として評価さりる理由かと思いました。

    本田宗一郎氏の成功の陰には、参謀として働いた藤沢和雄氏や奥様の内助の功があると言われていますが、まさにその通りで宗一郎氏一人ではホンダという会社間違いなく潰れていた会社だと思います。

    ただ、自分とは真逆の人間に自分の苦手な事は任し切れた懐の大きさと、そうした人材からついて行きたいと思わせる人間性を持っていた点が本田宗一郎氏の偉さではないかと思います。

    歴史上の人物で言うなら、漢の創始者劉邦に近いかと思えます。ただ劉邦と違うのは、奥様が余計な口出しをしない方であった点と、参謀である藤沢氏が引退を示唆した時に素直にそれに従った点ではないかと思います。

    普通のワンマンオーナーであれば、自身の懐刀とはいえ副社長に引退を示唆された時に、抵抗する事や社長権限で排する事もしかねません。それらの忠告に従った事は、自分自身が平凡な人間に過ぎないとの思いを持っていたからであり、失敗を恐れない攻める経営者とは真逆の面を持っていた点こそ氏の魅力かと思いました。

    この本に引用された本田氏の著書で一番印象に残ったのは、以下のセリフです「理念なき行動は凶器であり、行動なき理念は無価値である」。

    本田宗一郎氏はホンダを創業する1年前に、「人間休業」と称し1年間全く仕事をしなかった時期があったそうですが、その時に考えた理念が偉大な経営者を育てるのに役に立ったのであれば、働くばかりが能ではなく、休みを取る時は休みを取るのも間違いではないのかなと思わせた本です。

  • 先日こちらの本を読みました。



    本田宗一郎氏の過去の著書に書かれている事を触れながら、氏の考え方を振り返る本です。読んだ感想は、本田宗一郎氏は自分を平凡な人間だと思う謙虚な心を持つ一方で、自分のやりたいと思った事はどんなに従業員に無理をさせてでもやりとげようとする子供のような我儘な心を持つ二面性のある方だと思いました。

    本の前半は従業員に慕われる社長としての一面、後半は仕事の鬼としての一面が書かれています。多分両方の面があったからこそ、死後20年以上経った今でも名経営者として評価さりる理由かと思いました。

    本田宗一郎氏の成功の陰には、参謀として働いた藤沢和雄氏や奥様の内助の功があると言われていますが、まさにその通りで宗一郎氏一人ではホンダという会社間違いなく潰れていた会社だと思います。

    ただ、自分とは真逆の人間に自分の苦手な事は任し切れた懐の大きさと、そうした人材からついて行きたいと思わせる人間性を持っていた点が本田宗一郎氏の偉さではないかと思います。

    歴史上の人物で言うなら、漢の創始者劉邦に近いかと思えます。ただ劉邦と違うのは、奥様が余計な口出しをしない方であった点と、参謀である藤沢氏が引退を示唆した時に素直にそれに従った点ではないかと思います。

    普通のワンマンオーナーであれば、自身の懐刀とはいえ副社長に引退を示唆された時に、抵抗する事や社長権限で排する事もしかねません。それらの忠告に従った事は、自分自身が平凡な人間に過ぎないとの思いを持っていたからであり、失敗を恐れない攻める経営者とは真逆の面を持っていた点こそ氏の魅力かと思いました。

    この本に引用された本田氏の著書で一番印象に残ったのは、以下のセリフです「理念なき行動は凶器であり、行動なき理念は無価値である」。

    本田宗一郎氏はホンダを創業する1年前に、「人間休業」と称し1年間全く仕事をしなかった時期があったそうですが、その時に考えた理念が偉大な経営者を育てるのに役に立ったのであれば、働くばかりが能ではなく、休みを取る時は休みを取るのも間違いではないのかなと思わせた本です。

  • 世界的HONDA。本田宗一郎的言和照片。 目录也有12页。我看了他的照片。我想他是好人。我好想一起工作他。

  • 読んでいるうちに、何度も涙が出た。

  • 理科大MOT伊丹先生による、本田宗一郎本の第2作。1作目「やってみもせんで、何がわかる」が本田宗一郎の行動と事績を中心に書かれているのに対し、2作目の本書では、関係者へのインタビューと分析により、本田宗一郎の行動の背後の人間像が描かれている。人間・本田宗一郎の本質に迫っているという意味で、単なる自伝に止まらない迫力がある。

    本書の章見出しや小見出しには宗一郎の言葉が使われている。短くポイントをずばりとつきながら言い回しが平易であり、言っている内容が論理的にも心理的にも納得しやすい言葉であるから、どの言葉も胸を打つ。身体に入ってくる。

    深く共感したのは、第8章「時間を酷使する」、第12章「人を喜ばせたい」の2点。

    宗一郎は「われわれは神様に与えれた一定の人生しかない」という哲学があり、自分の要求を満たすためにスピードが必要と説く。次々とアイディアを出し、朝チョークで床に絵として書いたものが、その日の夜にはプロトタイプが完成し、テストを行うというスピード感。そして、P.170には、組織には洪水が必要であると表現している。伊丹先生は「洪水は、いろんなことが同時に急激に起きてこそ、洪水となる。川の洪水は、短時間に同じ場所に大量の水が振ることによって発生する。組織の洪水は、働く人々の一人ひとりが仕事をスピードアップし、その上に各人がつねに他人の仕事との同期化を考えて、そしてそれらが集中的に起きてこそ、洪水となる」と解釈している。時間の短縮と時間の同期によって、組織に洪水が起こり、ジャンプできる。この件は覚えておきたい。

    P.232 で書かれている三つの喜び、「造って喜び、売って喜び、買って喜ぶ」。ホンダ創業後3年の時に宗一郎が言い出した言葉。商売の基本を短くズバリと表現した至言だと思う。今の自分には、人を喜ばせたいとい気持ちを持って仕事をしているのか、自分や会社の論理だけで仕事をしているのではないか、そんな事を考えさせられた。

    壁があるから勇気が出る。勇気が出るから乗り越えようとする。やらまいか精神、良いですね。1作目と合わせて自分にはガソリンのような本です。

  • トヨタのライバル会社の創業者ではあるけれど、なかなか深い内容でとても参考になる箇所が多かった。

    やはり名経営者というのは、何か違う。その違いをもたらす違いは何か。その解を求めて読書は果てしなく続く。

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著者プロフィール

国際大学学長、一橋大学名誉教授
1969年一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。72年カーネギーメロン大学経営大学院博士課程修了・PhD。その後一橋大学商学部で教鞭をとり、85年教授。この間スタンフォード大学客員准教授等を務め、東京理科大学大学院イノベーション研究科教授を経て2017年9月より現職。

「2019年 『激動の平成 日経 平成三部作』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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