桜風堂ものがたり

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569831084

感想・レビュー・書評

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  • 自分が聞くことができなかった言葉を、やっと聞けたような気がした。
    宇宙のどこかへ消えてしまったその人達の魂が、文字になってそこにあるような気がした。
    そこで待って くれていて「おかえり」と迎えてくれたような気がした

    一整が「四月の魚」について語る場面。

    少し異なるのだけれど、
    本を読んでいて、長いこと頭の中におぼろげな形で存在し続けた大切な想いが、明確な言葉(文字)になってそこに存在しているのを見つける事がある。
    そんな時が、一整の言うような感覚に近いだろうか・・

    本を愛する人々の、
    優しさの溢れる物語


    幼い頃の家族との死別、そしてその後の人間関係の中で生まれた不信感から、他者とうまく関われなくなった主人公・月原一整。星野デパート内の銀河堂書店で愛する本と関わりながら、稀有な才能を評価され働いていたが、万引き犯の対応を巡りネット上で誹謗中傷を受け退職を余儀なくされる。 一整が見出し、精魂込めて育ててていた仕事を引き継ぐ、店長をはじめとする仲間達。
    一方、ネット上で知り合い尊敬の念を抱く、書店・桜風堂の主人を訪ね、オウムの船長と共に桜野町へ旅立った一整は、店主が病に倒れていることを知る。
    寂れ行く町の今にも消えそうな書店の灯火は・・
    そして、志半ばで手を離れた本の行く末は・・


    銀河堂書店店長・柳田
    文学担当の先輩・塚本
    一整に想いを寄せる絵の達人、児童書担当・苑絵
    ありとあらゆる本に於いて、造詣の深さはピカイチの文芸担当・渚砂
    ネット上の友人・星のカケス
    人気作家で、一整の訳ありの従兄弟・蓬野純也
    桜風堂店主の孫・透
    四月の魚の著者・団重彦


  • 『百科の魔法』のあとがきにいざなわれて読んだ。
    星野百貨店6階の銀河堂書店の書店員が、ある事件によるSNSでの非難の責任を負う形で退職し、その後の主人公、桜野の人々、銀河堂の人々、推す予定だった『四月の魚』をめぐるストーリー。
    主要な登場人物は、気持ちのよい人ばかりで、やさしく明るい気持ちになれた。『百科の魔法』もそうだけど、猫がアクセントを添えている。
    『四月の魚(ポワソンダブリル)』を読んでみたいと熱烈に思った。
    18-89

  • 四月の魚、をぜひ読んでみたい。一整くんが不幸の連続すぎて、物語とはいえそこまで?と思っていたのですが、終盤、彼の幸せはここから始まって、実は銀河堂書店にいた頃から幸せの芽は出ていたんだけど、ここで大輪の花を咲かせるのだろう、と確信しました。それは透くんも同じだと思う。素敵な人達で溢れた作品でした。最後は泣きました。父の事故の真相の誤認、自分の行動に対する世間の錯覚。彼を傷つけた過ちがもう二度と起こらないように。何かと情報過多な時代を生きる人達が、きちんと正しい取捨選択ができるように。続編が楽しみです。

  • 途中までしか読んでません…

    書店員の仕事の部分は面白かった

    でも、他の方も書いてますが、

    あまりにご都合主義
    描写がくどすぎる
    ありがちすぎる不幸設定
    名前がある人は善人ばかり

    あと、この著者の言葉の選択がどうもダメ…

    カリスマ書店員
    王子

    うーん

  • 本屋大賞2017年のノミネート作品。
    今年の本屋大賞に姉妹本「百貨の魔法」がノミネートされていて、そちらが気になったからまずはこちらを読んでみた。

    これは本屋大賞にノミネートされるのも納得。
    本が好きな人々の為の、とりわけ書店員さんの為の物語。

    あとがきには続編を期待させる作者の言葉があったけど、
    これはぜひ続編を書いて欲しい!
    タイトルにもなっている肝心の「桜風堂」で働き始めてからのシーンが少ないから、もっともっと読みたい。

    オウムと猫も、より「ものがたり」めいた雰囲気が出て良かった。
    作中作「四月の魚」を小説にしちゃうのも面白いと思うけどなぁ。

    最近はネットで指名買い的な買い方をすることが多かったけど、たまにはゆっくり本屋を覗いて、素敵な本と運命的な出会いをしてみたいと思った。

  • 本の中に主人公について、『本を愛する心に共感を覚えた。世界や人間に向ける目の優しさ、温かさにも。過去の歴史について学び、人類の無知と不幸を知りつつも、赦し受容し、来たるべき未来が明るいことを信じる、その健全さにも』という文章があるが、きっと著者もそうなんだろうなとあとがきを読んで思った。
    視点があれこれ変わるのが分かりづらかったり、冗長だと感じたりするところもあったが、温かい良い本だった。

  • この本が話題になっている時に、何故すぐに読まなかったのか、後悔している。
    やっぱり、こだわりのある書店というのは、わざわざ行きたくなる。興味のない人から見たら、本屋で扱っている本は同じなのに…と思うらしいけど。
    銀河堂書店の様な大きい書店も好きだけど、桜風堂の様な小さくてもこだわりのある書店が近所にあったら、ほっとするだろうな。
    桜風堂で主人公と店主、その孫の透の3人での様子、一部をカフェにした所などを見たい。次作に期待。
    と思っていたら、その前に銀河堂の入っている星野百貨店がもう発売されているらしく、意外なスピンオフに驚いている。

    8

  • 2作続けて、書店の話を読みました。

    書店員が仕掛けてヒットに結び付けるという話。

    万引き犯を追ったことで事故が起き、仕事を辞めざるをえなくなってしまった書店員。
    ちょうど病気で閉めている田舎の本屋さんに仕事を任されたり
    ネットの繋がっていた人がとても身近な人だったり、知り合いの有名人が協力とか、…
    ちょっと都合がよすぎる気はするのだけれども。

  • 久しぶりに、ページをめくる手が止まらなくなった本。一時、本屋さんで働いてた本好きでもあるわたしには、とてもツボな小説でした。
    あとがきに、作者さんがファンタジー要素はない本なのにファンタジックな物語になったよなぁと書かれているように、小さな奇跡の物語。
    今町の本屋さんがどんどんなくなり、好みの本を揃えている本屋さんも減っていく時代です、わたしもAmazonや楽天ブックスで本を買うこともありますし、電子書籍を買うことも増えました。それでも、紙の本のよさは電子書籍にはないものです。
    本屋さんへ行けば、いろんな知識に情報に触れることができる、1日の終わりに本屋さんへ寄って家に帰るのは幸せなことです。
    本を買っても買わなくても、本屋さんが町にあるのはホッとするものです。今日もどこかの町に、月原くんみたいな人が沢山いるのでしょう。
    これは日本の、世界中のどこかにある物語です。
    物語の中は幸せなことだけではないけれど、読み終わった後に心が温まる物語でした。

    ぜひ映画になってほしいなぁ。坂口健太郎くんに月原一整を演じてほしい。

    桜風堂の続きもぜひ読みたいです。
    作中のに登場する、四月の魚も読んでみたい。

  • ほんわかする内容。
    孤独な書店員がお勧めする本は必ず売れる、というおすみつき。そんな彼が万引き犯を追うことにより事故が起き、仕事を辞めなくてはならなくなってしまう。
    SNSで交流があった書店に旅に行くと、そこで店を任されるようになり、やりたかったことができるようになる。

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著者プロフィール

1963年長崎県生まれ。『ちいさいえりちゃん』で毎日童話新人賞最優秀賞、第4回椋鳩十児童文学賞を受賞。著書に『シェーラ姫の冒険』(童心社)、『コンビニたそがれ堂』『百貨の魔法』(以上、ポプラ社)、『アカネヒメ物語』『花咲家の人々』『竜宮ホテル』(以上、徳間書店)、『桜風堂ものがたり』『星をつなぐ手』『かなりや荘浪漫』(以上、PHP研究所)、げみ氏との共著に『春の旅人』『トロイメライ』(以上、立東舎)、エッセイ『心にいつも猫をかかえて』(エクスナレッジ)などがある。

「2022年 『魔女たちは眠りを守る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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