灼熱

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569843223

作品紹介・あらすじ

夫を殺された復讐のため、妻は顔と身分を変え、憎い男の妻になった……。彼女の復讐に身を焦がす灼熱の日々を描く、慟哭のミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • とても哀しい話でした。

    川崎咲花子は子供の頃両親を亡くし、同じ境遇の忠時と出会い結婚します。
    しかし忠時が窓から転落して亡くなります。
    それを目撃して通報した久保河内英雄があとから忠時による投資詐欺に遭い、忠時を殺したのではないかと疑われますが、英雄は詐欺の被害者であったという調べで無罪になります。
    咲花子は、一度は自殺を考えますが、失敗し、自殺サイトで知り合った佐藤絵里になりかわり英雄に近づいて復讐しようと考えます。
    整形して絵里になりすまし、咲花子は英雄の妻となります。

    以下ネタバレです。お気をつけください。


    最初は忠時の恨みを晴らすために結婚した咲花子でしたが、英雄の人柄に触れ、本当の愛に気づき、自らもまた、英雄を愛してしまいます。
    しかし、英雄の妹の亜希子が咲花子の正体に気づいていたのです。
    咲花子は今度は自分が殺されるのではないかと怖くなりますが…。

    本当に何とも言えない切なくなるラスト。
    幸せになってはいけない二人だったのでしょうか。

  •  復讐と懺悔の物語。
     内容としてはまずまずだったが、少しチープな印象。

     男手一つ父親に育てられた咲花子は、小学生の頃にたった1人の肉親である父親を轢き逃げ事故で失くした。咲花子は、叔母の家に引き取られ、中学時代を窮屈な思いをしながら過ごした。
     その後、一人暮らしをし、バイトをしながら夜間高校に通う。そこで似たような境遇の忠時と出会い、惹かれあうように付き合い、結婚をする。幸せな生活をしていたが、忠時が不審な死を遂げる。果たして自殺か事故か、それとも事件か。

     咲花子は、一度浮かび上がった被疑者である英雄に復讐するため、整形をし、猛アプローチの末、英雄と結婚し、その機会を伺うのだが、英雄の人柄と接しているうちに、次第に惹かれていって・・・。そして、意外な結末が待ち受ける。

     咲花子が次第に英雄に惹かれていき、この先どうなるんだろう?と後半は楽しめた。でも、愛する者の仇を好きになれるのだろうか?疑問がいくつか残った。復讐と懺悔、そして赦しの物語。

  • 人は復讐のために、どこまで非情になれるのか?

    もの凄い執念。殺してやりたいほど憎んでいる相手と結婚なんて考えられないけど…
    ばれるかばれないかビクビクしながら読みすすめました。

  • 愛する夫を殺した疑いのある医者の英雄に復讐するため、整形して過去を捨て英雄の妻になった絵里(咲花子)。警察も突き止められなかった殺害の証拠を探すか見つからず、やがて夫としても医者としても完璧な英雄に惹かれる自分に戸惑う。復讐心一筋だったのにぐらついてしまう展開はリアル。幸せな環境の中黒い炎を燃やすのは難しいよね。後半証拠が見つかったか?からの真相に向かって畳み掛けていくスピード感は気持ちいいけど肝心の意外な真相は気持ち良くない。というか救いがない。でも綺麗に纏まっているからこれでしょうがないのかな。

  • やっぱり、秋吉理香子さんの作品は最後まで読者を裏切らない!復讐のために整形してカギを握る男性の妻の座につくなんて大胆っ!この旦那さん、実はいい人‥主人公が心を奪われるのもわかります。

  • 夫の忠時が転落死した。
    その現場から、夫が裏商売をしていたような痕跡が発見される。
    忠時に3000万円を騙し取られたと思われる英雄が容疑者となるが、英雄は詐欺に遭ったとは思っておらず不起訴に。
    忠時は詐欺の恨みで殺されたに決まってるから、英雄が詐欺だと気付いていた証拠を見つけて地獄に落としてやる…って、主人公の思考回路がナゾすぎる…
    そして突然の心変わり。
    心の中でいろいろ突っ込んだけど、
    ストーリーはおもしろかったです。

  • とても心に残る作品でした。主人公の女性が、少しずつ憎しみ以外の感情を抱き始めて、本当の意味で幸せになれそうだった矢先に悲劇が起こってしまいました。
    真の悪人がいないからこそ、誰を責めればいいのか分からず、行き場の無い悔しさが込み上げる話でした…

  • 復讐のために、

    女は整形し、

    身分を変え、

    憎い男の妻になった。

  • 切ない……!
    すれ違い、思い違い、勇気のなさ……それによって取り返しのつかないことになる。
    ……そういったことを教えてくれるような内容で、真相も知りたくてほぼイッキ読み。
    でも、亜希子が何だかんだ1番性格悪くね?……と思ってしまいました。
    どういう想いで咲花子といたんでしょう?
    それこそ憎んでいたのか?
    ラストで一気に亜希子が嫌いになりました。
    忠時の死も結局有耶無耶でしたし……
    でも夢中になれる文面でガッツリ世界観に入り込めました!

  • 切ない。
    所詮小説だけど、本当にその状況になったら、人は何を思ってどう行動するんだろう。
    愛しい人の突然の死。亡くなってから分かる知らなかった詐欺まがいの仕事。火葬の後の拾う時の感情。
    もちろん状況違うけど、私はそこまでの感情はなかった。とにかく無だったから、冷めて読んでしまった。亡くなってすぐにそこまで行動を起こせるのか?個人差なんだろうけど。
    学生時代からのキャラ変あたりで何かあったんだなって思ったけど。折角詐欺まがいの仕事から救おうとしてくれてたのが分かったのに、まさかのひき逃げの方だとは。それでも、ちゃんと償って幸せになって欲しかったのに切なかった。
    余談だけど、表紙の絵が怖い。内面の燃えるような感情の表現なんだろうけど、手に取るのを躊躇しちゃう。

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著者プロフィール

兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。ロヨラ・メリーマウント大学院で映画・TV製作の修士号を取得。2008年、短編「雪の花」で第3回「Yahoo!JAPAN文学賞」を受賞、翌年、同作を含む短編集『雪の花』で作家デビューを果たした。ダークミステリー『暗黒女子』は話題となり、映画化もされた。他の作品に『絶対正義』『サイレンス』『ジゼル』『眠れる美女』『婚活中毒』『灼熱』などがある。

「2021年 『息子のボーイフレンド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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