- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569843339
作品紹介・あらすじ
メディアアーティスト、筑波大学准教授、ベンチャー企業の代表など多彩に活躍する著者。時代の先端を行く著者の思考の源は、実は読書で培われたという。それは、読んだ内容を血肉にするための「忘れる読書」だ。デジタル時代に「持続可能な教養」を身につけるために必要なのは読書だと、著者は断言する。
本書では、古典から哲学、経済書、理工書、文学に至るまで、著者の思考を形作った書籍を多数紹介し、その内容や読み解き方を詳説。著者独自の読書法はもちろん、本の読み解きを通して現代社会を生き抜く思考法までが学べる、知的興奮に溢れる一冊。
【目次より】第1章 持続可能な教養――新しい時代の読書法/第2章 忘れるために、本を読む/第3章 本で思考のフレームを磨け/第4章 「較べ読み」で捉えるテクノロジーと世界/第5章 「日本」と我々を更新(アップデート)する読書/第6章 感性を磨く読書/第7章 読書で自分の「熱」を探せ
感想・レビュー・書評
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読書の意味とは。第一に思考体力をつけるため、第二に気づく力をつけるため、第三に歴史の判断を学び今との差分を認識するため。この三つが読書の効用であると落合陽一は言う。読書自体がもっと自由で良い。極端に言えば、忘れるために本を読んでいる。忘れるためにと言うのは言い過ぎだろう。読書によって得た知識を血肉にするというのは、意識的に会得しなくも,無意識的にその知識を使いこなすと言う意味に他ならないのだろうから。
読書をすれば抽象化する思考が鍛えられる。読書はたくさんのレイヤーでものを考え、抽象化し、整理したのにインプットしていくのに有効だからだ。著者の主張が若干矛盾すると思うが、次の点は考えさせられた。本は情報を圧縮した言語の器であると言う事。作者が伝えたいことが凝縮されている。そしてそれは「容れ物」として人と人の間で情報を受け渡す作用に優れている。さらに、会話の中で「代名詞」として本のタイトルを用いることもできる。つまり、ドストエフスキーの『罪と罰』のような状態だと言えば、共通の読者には、それで複雑な伝達も容易に可能となり、細かな解説が要らない。文筆家が書き物で他者の著作を引用するのは、それに近いかなと思う。
読書の励みにもなるような本。この本には、圧倒的な読書への肯定があり、本読みには嬉しい一冊である。タイトル忘れる読書、というより、忘れても大丈夫だよという、優しさだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
書名に引かれて読んでみたが…。『デジタル時代の真の教養を身につける本の読み方』とあるように、著者自身の体験が記されている本書は、"アナログ"な自分には理解しきれなかった。「本は最後まで読まなくてよい」と言われても、何だか勿体なく感じて結局最後まで読んでしまった。
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メディアアーティストや筑波大学准教授、ベンチャー企業の代表など多くの顔をもつ著者の読書遍歴や読書から得た思考法が述べられている。
興味深かった内容は、読書した内容は忘れてもよいということである。読後の知識をざっくり頭の中に入れ、脳内にフックがかかった状態にし、頭の片隅に残しておく。そして、いずれ頭の中を検索すれば、その内容が分かるという状態にすればよい。
この考えを知り、自分の中での読書のハードルも下がり、無理に頭の中に入れなくてもよいと考えられるようになった。
この本では漫画から、古典、理工系の名著まで幅広く取り扱われており、他視点的なものの見方が重要であることが、改めて確認することができた。
今後の社会で必要なスキルは、物事を俯瞰的にみることである。ある分野だけについて考えることより、分野を横断的に捉えて考えることが必要である。これは、社会が今まで以上に速く変化し、時代に求められるセンスや知識も変化していくからだと考える。 -
忘れる読書
著:落合 陽一
PHP新書 1330
筑波大学で、メディアアーティストをやっている筆者が送る「デジタル時代の真の教養を身につける本の読み方」が本書です
ちょっと違和感がある部分もありますが、いろんな本の紹介もあり、本というものへの向き合い方、見方が変わりました。
紹介している書籍を読んだことがあると、ちょっと嬉しい気持ちになりました。
気になったのは、以下です。
■はじめに
・時代の変化にまつわる情報を受け止め、整理することは生きる上で欠かせないタスクになりつつあります
・ネットの中に流れるバズニュースを読み飛ばすのではなく、考え抜く、思考体力が必要です
今の時代に読書をする意味は何かと問われれば、
第1:思考体力をつけるため
第2:気づく力をつけるため
第3:歴史の判断を学び、今との差分を認識するため
と私は答えるでしょう
・読んだ内容を覚えていようと思ったことはなく、むしろ忘れるために本を読んでいます
本を読み通さずにざっと読む、ザッピング読み
何回もパラパラと読んで内容を把握する、周回読み
一気読み
自分の頭の中にそれぞれの本の脳内マップを作り、較べ読み
をすることで本の内容を血肉にしています
■持続可能な教養
・まずは物事を抽象化する思考を鍛えること、そして、次に、気づく能力を磨くこと
・抽象化する思考を鍛えるには、読書が向いています
・アイデアとは、考えるものではなく、誰も手をつけていないことに気づくもの
・気づく能力とは、課題を見つける能力
・教養がある人は、ひとまとまりの情報、が頭に入っている
・そもそも、本を読まないと、本を書ける人にはならないでしょう
教養も主張もない人が書く本は、どこまでも空疎です
・教養とは、抽象度の高いことを考える力、知識と知識をつなぎ合わせる力、自分でストーリーを練り上げる力です
・人生百年時代を生き抜こうと思ったら、決めた一点に的を絞って、ひたすらその一点を掘り下げて、知識を蓄えていき、誰もやったことのないことをやり続けていく必要があるということです
■忘れるために、本を読む
・クリエイティブであるための知的技術は、読後に自分の中に残った知識や考えをざっくりと頭にいれ、フックがかかった状態にしておくことです
・何かを読んで地域を得た時、適度に忘れていくことが大事
・目次は読まない 本の目次から読むと、かえって目次の文言に引きずられて思考停止になってしまうことがある
・目次を読まずに本の内容を大づかみするには、周回読みがお勧めです
同じ本を冒頭から終わりまで何周もパラパラめくってざっくり読むのです
・そもそも、本は読み通さなくてもいい、冒頭から順を追って読む必要もない
・サックと拾い読みするのが難しい本もあります。情報量が多く、1頁単位の情報の圧縮率がかなり高い本です
・ザッピングする本と、精読する本は分けています
・文字や資料がつまった教養書は、紙の本で読むことが多い
■本で、思考のフレームを磨け
・思考のフレームワークを増やす読書
・サイエンティストとは、正しい答えを与える者ではなく、正しい問いを立てる者だ
・独自の問いを軸に読み解いていくと、歴史書や古典を読む意味が深まります
・実践者としてリアリスティックに生きるには、教養が不可欠なのです
・遠いまなざし、による読書も取り入れたいと思っています、つまり、俯瞰力を鍛える読書です
■較べ読みで捉えるテクノロジーと世界
・言語化は最強の思考ツール
・理系と文系の壁を越えて学べる人が新時代を制す
①サイエンス
②アート
③デザイン
④エンジニアリング
■日本と我々を更新する読書
・変えたいのなら、まずは、日本の近代を知るための読書を
・日本を亡ぼすのは、軍閥と国家神道である
■感性を磨く読書
・読書は感性を磨くための方法の1つになる
■読書で自分の熱を探せ
・多動力の根源は、好き、という熱
・子どもの頃に熱中した図鑑の魅力
目次
はじめに
第1章 持続可能な教養―新しい時代の読書法
第2章 忘れるために、本を読む
第3章 本で思考のフレームを磨け
第4章 「較べ読み」で捉えるテクノロジーと世界
第5章 「日本」と我々を更新する読書
第6章 感性を磨く読書
第7章 読書で自分の「熱」を探せ
本書で紹介した書籍
ISBN:9784569843339
出版社:PHP研究所
判型:新書
ページ数:240ページ
定価:1000円(本体)
発売日:2022年11月09日第1版第 -
自分には内容が難しく、ただ活字を目で追うだけでした。
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すごい人なんだなぁと思った。自分の意思がはっきりしていて、自分で現実にしていく意思も努力?(楽しみ方?)も知っていて。
自分の人生を生きている人なんだなぁと思う。今のわたしには知識が少なく難しい部分もあったが、いつかピンとくるときがきたらもっと面白く読めるのかなと思う。
★本を読むと「気づく」力が鍛えられる
★「気づく」能力のある人こそ教養のある人
★「課題を見つける能力」と言い換えてもいい
★本のすごいところは、圧縮感です。「ひとまとまり」の大きなスケールの情報を一つのパッケージにまとめて収めてあり、作者が伝えたいことが凝縮されている「言葉の器」です。
★圧縮した情報の最もたるものが、本のタイトルです。タイトルに込められた「奥深い何か」を感じながら読むと言うのも本の醍醐味です。
★教養がある人は「ひとまとまりの情報」が頭に入っている
★互いの教養の「段階」が揃っていないと、会話に骨が折れることがあります。反対に、同じ教養をを共有している人同士の会話は、ものすごく速いと感じます。
★言語化は、最強の思考ツール
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メディアアーチスト?何者?著作を読んでもサッパリ笑
でもまた手にした。すごい読書家であった。ニーチェを読まないやつとは話ししないとうい父上もすごい。
「風姿花伝」「エジソンの生涯」が幾度と出てくる。前者は積読となっているので早く読みたい。 -
本を通じていかに教養という基礎代謝を身につけるか、それを趣味や仕事に活かしていくかということを、作者の拘りで書き綴る本書。
忘れても後から見返せるようここでログをつけているが、例え忘れたとしても、読んだ本が自分の思考の一部となり、いつかどこかでその読者体験のいち部が滲み出てくるのではと信じさせてくれます。
哲学や科学、数学的な本はもほぼ読まないので作者による読書家の活かし方は自分には難しいと感じましたが、徹底的に読み込む読書にはあこがれるし、ほんとうに良い意味での自分らしさを高めて行くうえでの、自分似合う本の読み込みは見習いたいです。
物事を考える時に必要な「ビジョン」「ミッション」「課題」「方法」を念頭に置きながら、「未知のもの」「与えられているものとは?」「条件は?」に基づき整理する思考力は実践してみたいです。 -
まず、もっと本を読もうと思った。
著者がエジソンと一休を偏愛するように、わたしも偏愛する人物にめぐり逢いたいと思った。
そのためにもやっぱり読書だな。
すぐには出会いなくとも、忘れてもいいから本をたくさん読んでフックがかかった状態にして、それがあるとき何らかのきっかけで最高の出会いになるような気がする。読み返しも大切ね -
落合陽一さんの著書は定期的に読むのだけど、難しい過ぎる箇所があり、何度か反芻する。考え方を学ぶうえで様々な教養を得ている著者を取り入れることは、これからの読書にも役立つし、自分の考えの醸造にもなる。タイトルにある忘れるの箇所は、本書では一瞬で終わるが、その後の様々な本の考察も楽しい。
それにしても今の日本を憂いている本がここ最近本当に多くなってきている。そして当たり前だが明確に解決策が示される本もない。自分で考えて行動に移していくしかないんだな、という結論に至る。