- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569845500
作品紹介・あらすじ
挫折しないように、和歌より先に現代語訳を掲載。古典のわかりやすい解説に定評のある専門家が、万葉人の生き方をいきいきと描写。
感想・レビュー・書評
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読むのにはハードルの高かった万葉集ですが、この本で万葉集の歌の詠み手たちをかなり身近に感じました。歌の背景にある彼らの悲喜こもごもは時代は違えど、普遍的なものだったのだな、と思います。
本の中で紹介される歌は、男女関係や防人に関するもの、酒の席の歌や仕事に関するものなど、それぞれのテーマごとに紹介されています。
呑兵衛が歌った短歌も、男女の営みを露骨ににおわせる短歌も、古語になり、5・7・5・7・7のリズムに乗るとあら不思議。高尚で雅なものに見えてくる。そのギャップが面白いし、改めて古の日本語の美しさ、短歌のリズムの素晴らしさみたいなものも感じます。
不謹慎だったり、人間臭い歌も面白いけど、恋の歌だったり、防人の任務のため引き裂かれる夫妻や親子を読んだ歌は、逆に古語の美しさ、短歌のリズムが作用してより悲哀をもって伝わってくるような気もします。そうした短歌の背景にある様々なドラマに思いめぐらすことができたのが良かったです。
最も印象的な歌は
庭に立つ麻手刈り干し布さらす 東女を忘れたまふな
というもの。
田舎に住む女性が都に帰る男に宛てた歌で、背の高い麻束を抱える姿が男女の抱擁と似ていることから、その姿を歌に入れることで男を思っていることを伝えたもの。挿絵もついていたのですが、それを見ていると、確かに男女の抱擁のようで、女性の切ない思いがより伝わってきます。
小説以外の文学になかなか触れることができないのですが、短歌や俳句がなぜ人の心の琴線に触れるのか、なんとなく感じられた一冊でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
万葉集のおもしろ現代語訳。今も昔も人間そんな変わらん。
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内容は興味深いものの、ぐいぐい読み進められず、読み終わるまでに返却期間がきてしまった…(借りた本だったので)。置いといてたまにふと読み進めるのによさそう
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万葉集、読んだことがなかったので、この本なら読みやすいかと思って手に取った。
貴族の雅やかな歌ばかりではなく、東国の田舎の無名な人の歌も多い。宮仕えの窮屈さや不倫、貧しさ、老い。万葉の名に恥じぬ色んな和歌が載っている。
訳文を本文の前に記載するあたり、作者の自己顕示欲を感じる。歌の作者がわかる限りで良いので署名して欲しかった。
咳を「しわぶき」というのは万葉集のころから使われているのか。そりゃ古い言葉だわ。
古女房が色黒で煤けた顔なのは、葦を年中焚いている家の中で、料理、機織りなどで家に籠りがちだから。花嫁が真っ白な衣装と化粧をするのと対称的だなと思う。 -
【所蔵館】
総合図書館中百舌鳥
大阪府立大学図書館OPACへ↓
https://opac.osakafu-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2000940737 -
膨大な量の和歌、テーマ別にのせてあるので、人の世の歌として、世情を感じながら、読めた。
分かりやすい訳で、興味深く、万葉集を身近に感じた。