- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569849980
作品紹介・あらすじ
日韓請求権協定に関わる報道に接して、韓国人の法意識に疑問を持つ人は少なくない。
著者は韓国は法よりも道徳にこだわる国だと説く。朱子学の影響で、韓国では道徳は敵を叩き潰すための武器になっている。また、韓国の前近代が王朝であり、日本の前近代が封建社会であったことの違いも大きいといえる。
道徳にこだわる社会であるために、民主主義という概念に対する捉え方も、日本と韓国では異なる。韓国における民主主義は、「道徳的社会を実現する」ためのシステムと見なされている。ただし「法を軽視する韓国の民主主義はレベルが低い」と考えるのは危険である。韓国の法曹的能力は高く、「法」に関する世界の最先端のトレンドに敏感である。その一方で、著者は韓国を国家と思わず、一つの「運動団体」と捉えたほうがよいと説く。
韓国の実像は、日本ではまだまだ知られていない。韓国を知悉する東アジア思想研究者が、この国を理解するための視座を提供する一冊である。
感想・レビュー・書評
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「韓国は法よりも道徳を重視する」、「韓国では世論の影響力が強い」等は韓国に住んでいれば誰でも感じることだと思うが、それらの原因を論理的に解説してくれていて、韓国社会に対する理解が一段と深まった。
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道徳と法という二つの正義の基準があって、このどちらも絶対的なものじゃないということがよく分かった。
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著者の考えには優れた点もあれば一方でどうなのかと思えることもあった
こういった分類の本を読む時、読者は自分で判断し、取捨選択しながら読むことが大切であると思う
朱子学をはじめとした東アジアの思想について興味を持った
考え続ける人間でありたい -
出だしはいいと思ったんだよね。
色々言う人がいるけど、専門家の暗黙知は必要だ。
その通り。
隣国は道徳を大事にするが、それは相手の道徳を非難してマウント取るためで、必ずしも道徳的と言うわけではない。
その通り。
なるほどなあ、と思っていたのだが、日本の分析、北の分析になってくるとどんどんファンタジー化して、もう、日韓の関係を語るに至っては、失笑レベルになってしまった。
いや。
ぼくらに暗黙知がないからかもしれない。
だが、日本が19世紀まで中華秩序に組み込まれていたって言い切っちゃう人だから、つまるところ、暗黙知を持っている専門家って言ったって、どう言う人達が専門家だと言ってるところがそもそも問題なんだろうなと、わからせてくれた。
人の言うこと聞けよ。 -
東2法経図・6F開架:302.21A/O26k//K
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日本は法重視で韓国は道徳重視(ただし韓国のグローバル法曹能力は高い)、日韓の「市民」概念の違いと韓国での「社会の総士大夫化」、原理主義的な朱子学的世界観(特に北学)、韓国は「国家なき運動団体」で日本は「国家なき不変の団体」。党派のずれこそが韓国の常態。これらに全面的に賛成するかはともかく、指摘としては面白い。
他方、初出媒体も時期もバラバラなためか、一見矛盾するかのような記述が複数箇所である。日韓の違いを強調するかと思えば、90年代以降は日本も道徳志向性国家になった、日本社会の韓国化という。利を追求するサムスンが高く評価されない風土という一方で韓国のイラク派兵は利重視とし、どちらも儒教に理由を求める。韓国の「社会の総士大夫化」をいう一方で、若者は「国家とのずれ」感覚が大きいという。著者の論理が矛盾しているわけではなく、異なる面が異なる文脈で出ているということなのだろうが、その割にはいずれも日本/韓国、と主語が大きい。 -
うむ。さすが、その辺の薄っぺらな付け焼き刃な知識による韓国論とは次元が違う。