何もしないほうが得な日本 社会に広がる「消極的利己主義」の構造 (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
3.33
  • (5)
  • (14)
  • (27)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 331
感想 : 22
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569853437

作品紹介・あらすじ

「何もしないほうが得」な社会から、「何もしないほうが損」な、アクティブな社会、組織へ! 挑戦を促す仕組みを作る処方箋。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • キャッチーなタイトルに惹かれて読んでみました。「何もしない方が得」という課題はなるほどそのとおりで納得感な一方、「するほうが得」にするために提示された対策案はあまり目新らしいものではありませんでした。

    日本社会はもはや詰んでいるのでは、と思わせます。

  • 身につまされる、身もふたもない話。
    提案される打開策が、どれも起動しそうな気がしないのは、私自身がこの悪い構造にはまり込んでいるからなんだろう。

  • 「消極的利己主義」の構造を平易に文書化していることや、「するほうが得」な仕組み・処方箋(目新しさは皆無だが)を提示しているところは一応認めるが、大事なのはその先で、その実践の施策が全く語られていない。処方箋まででは絵に描いた餅で、それを人々が美味しいと食べさせる施策(実行力)と継続運用・PDCAが不可欠なはず。そこを語らなければ意味がなく、日本の社会政策を研究している学者先生の底の浅さが見える。

  • 表題のインパクトに比較すると内容は知っていた内容が多かったような印象

    出る杭にそもそもなりたくないという無気力層が多いとなると日本も危うですね

    その一方で徐々に起業する人も増えている。この2つを分けるのは何か?素養?強烈な体験?

    出る杭を奨励するインセンティブを電気の節約要請とピーク料金で説明しているが、モチベーションは金銭的損得では動かないことは心理学的に実証済みでは?より精神的な損得としての制度設計が必要と感じた。

  • ●公務員のモチベーションの多くの場合、国民住民からの承認によって支えられていることがわかる。公務員にとって承認こそ最大の報酬なのだ。公務員に対するバッシングや厳しい欲求から身を守る最強の防御手段として官僚主義的な振る舞いをとるようになる。
    ●なぜ会社は、社員の挑戦意欲の低さに気づけないのだろうか?そこには日本企業特有の組織風土が隠れている。「見せかけの勤勉」アピールで溢れかえっている。
    目標を達成したら、次はもっと高い目標を設定しなければならないのでなるべくハードルを下げた方が良くなってしまう。
    ●ストックオプションなどの制度を取り入れている欧米企業等と違い、成功した場合の見返りが小さい。仮に成功し会社の大きな貢献をしても、それに比例した報酬が与えられるわけでは無いのだ。
    ●年功制の下では若い時は貢献度以下の報酬しか受け取らない代わりに、中高年になると貢献度以上の報酬を受け取る。定年まで勤めることによって帳尻が合う仕組み。45歳位で反転するので、45歳で辞めるのが1番損をする。
    ●人間関係は挑戦の隠れたコストとなる。正直チャレンジされると迷惑と感じる。また出世する女性への嫉妬が足かせとなる。
    ●学校では「浮いてはいけない」が、自発性を奪う。高校時代は勉強に専念するほうが得だと考える。

  • 社会に出て、そう思うことが多々あり、思わず手に取った。逆に何もしないほうが得な楽な社会にできた日本凄いかもな。成長は間違いなく全体的に低くはなるし、個人的には多様で挑戦的な環境のほうが面白いと思うが。
    なんとなく日頃から感じる部分や対策が、データとか具体例で書かれていた。

  • タイトルに共感し、それを乗り越えるために何をすべきかを考えるために読んだ。対策が 4 つ、時系列に挙げられており、そこは納得。ただ私はまだ組織で働くことのメリットを信じているので、対策の先にそれがあるのか、あるいは私の思いが幻想なのか、まだ判断がつかない。本書をまだ十分消化したとは言えないので、もう少し考えようと思う。

  • 「何もしない方が得な日本」の現状分析が第1章から第4章、「するほうが得な仕組み」づくりを提言するのが第5章という構成。

    多くの人にとって、何もしない方が得なため動こうとしない人が多いのは感覚的にわかっていると思うので、この本の読者の需要は、「する方が得な仕組み」づくりという、いわば処方箋にあると思う。だから、「するほうが得な仕組み」を提言する第5章の内容について内外の成功事例を多く紹介するか、現状分析を半分、処方箋を半分にするなど構成にしてほしかった。

  • 企業経営者、政治家、社会学者はチャレンジ・挑戦が必要。イノベーシンなくして未来なしという。しかし、声高に言われ続けているが我々の社会は皆が新しいことにチャレンジしている社会だろうか?そういう問いに一定の見方を示してくれる本で、なかなかよかった。「見せかけの勤勉」、「忠誠の演技」、「働かないおじさん」、「受験勉強以外に意欲を示さない受験生」、「地域活動に後ろ向きな住民」などは日本に蔓延する消極的利己主義が生み出しているという。ただ、個人が問題なのではない。社会の仕組みがそうさせている。それはその通りだと思った。

  • 仕事を頑張っても、仕事が増えるだけで昇給は期待できない。チャレンジは空気を乱す。PTAも目立つと役職を任されるなど、何もしないほうが得という意識が植え付けられている昨今の日本人。
    するほうが得な体質に変えていかなければならないという話だが、現状の絶望的状況に、日本はダメだから、自分だけでも呑まれずチャレンジしようと思ってしまった。

全22件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

同志社大学政策学部教授

「2022年 『何もしないほうが得な日本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

太田肇の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
アンデシュ・ハン...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×