朝星夜星

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569854038

感想・レビュー・書評

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  • 奉公先で見初められ、小料理屋の女将となった女性の半生記かと思いきや
    もっともっと壮大な物語であった。

  • 長崎の丸山で女中をしていたゆきは食べっぷりを見染められて料理人丈吉の妻となる。西洋料理を世に広め長崎から大阪へと場所を移し、幕末から明治を国作りにかけた人々とも交流を持ち視線の先に常に公があった。妻目線で語られる草野丈吉のそこかしこにゆきのおおらかで力持ちで自然体なところが表れて、とても暖かい物語になっている。
    お妾が3人もいて、そのやり取りが面白く、ラストにはつい笑ってしまった。

  • 極貧の家に生まれた丈吉は阿蘭陀船で調理を学び、幕末の長崎で本邦初の洋食屋を始める。
    長崎で若き五代友厚、岩崎弥太郎、陸奥宗光らの知遇を得、五代の勧めで大阪でホテルを開業し、大阪経済界の大立者となっていく。

    民間の立場で国家に貢献したいという熱意は時代の空気か。
    不平等条約を背景に、政治家、実業家たちの気概も熱い。

    妻ゆきの視点で書かれる本書は、同時に草野家の家族の物語でもある。

    まだ「人生五十年」の時代なのか、大きな仕事をした人々はみな50前後でこの世を去り、草野家縁者の命も短い。

    言葉のやり取りなど、作者の大阪人らしさが本書のところどころに顔を出す。

  • ああ、胸がいっぱい。松竹梅や大吉、脇役の隅々まで愛おしい。

  •  12歳から13年、傾城屋の女中として働いてきたゆき、大女で力持ち、25歳の時、本当に美味しそうに食べてる姿に惚れられ、料理人の丈吉24歳に嫁ぐ。そのおゆきの生涯を、幕末から明治の時代の流れと相まって描いた大作、510頁。朝井まかて「朝星夜星」、2023.2発行。前半は、テンポも悪く、明治維新を辿ってる感もして、まかてさんでなかったら途中で止めてる気がします。読むのを難儀しました。中ほど、洋犬の大吉(だいき)を飼う頃からテンポが良くなり、後半は流石の読み応えでした。それにしても、当時、病死の多いこと。

  • めぐるましく変化する世の中を感じた。星丘がいい。もっと登場してほしかった。

  • 江戸時代末期から明治時代、西洋食を提供し続けた自由亭の成り立ちから終わりまで。
    草野丈吉という実在した料理人兼経営者とその妻の奮闘記。
    有名な政治家なども登場して、大エンタテイメントを味わった感じ。
    新時代を築くという意気込みが心地良かった。

  • 時代の流れと翻弄されながらもつむぎあって行く自由亭の仲間たちや家族の細々が丁寧に書かれていてあっという間に読んでしまった。ご飯が出てくる本は好き。陸奥さんが良かったー。

  • 日本初の洋食屋「自由亭」の誕生物語。
    料理人である草野丈吉の妻ユキの目線で描かれているところが、より物語に入りやすくさせているように感じた。
    明治時代の長崎、土佐、大阪の著名人もたくさん登場して、激動の時代の歴史がリアルに感じられる。
    しかし、この時代のユキのような生き方は、とてもじゃないけど出来そうにないなと思った。
    色んな意味でとても強い女性!

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著者プロフィール

作家

「2023年 『朝星夜星』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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