愛とカルシウム

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 38
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575236453

作品紹介・あらすじ

介護施設しおかぜ荘で暮らすあたしは自分の指さえも満足に動かすことができない。体のあちこちでHDS(ハンプティ・ダンプティ・シンドローム)による石化がいまも進行している。そんなあたしが雀の雛を育てるはめになった。おいおい、ダイジョーブかよあたしぃッ!?爽やかな感動と熱い涙を呼ぶ青春小説。

感想・レビュー・書評

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  •  障碍を持った主人公と、施設で暮らす人たちの物語。自分の身体のことで手一杯の主人公が雀の雛を拾い、世話をしながら生活をしていく様子が描かれています。
     物語は、主人公の軽い調子の一人称で進行していきます。が、そこで語られている内容はかなりリアルで、シビアな現実を読者に突きつけてきます。基本的に明るい主人公が、些細なことで心を乱したり日常生活もままならぬといった描写を見ると、胸を締め付けられるというか読者である自分もわりかし凹みます。逆に言うと、読者にそんなことを思わせるくらい作者の筆力があるということで、感心しつつ読んでいました。
     拾った雀に対して主人公が傷つけてしまった経験(故意ではなく過失です)を通じて、主人公の母親に対する理解に繋げたのは上手だなあと思いました。
     こういう作品(生と死が紙一重の人間の物語)を描くのは、一見簡単そうでとても難しいと思います。が、物を書くのが好きな人間としては、一度挑戦してみたいジャンルだなあとあらためて感じました。

     優しくてとても良い本だと思います。

  • 障害者って意外とわがままでキツイ、とネットで見かけたことがあったのでで(もちろんそうじゃない人の方が多いと分かっていますが)出てくる人たちがとてもリアルに感じられた。置かれている状況と、思春期特有のイタさが痛々しい主人公。このあとどうなるんだろう。ラストは少し救いがありますが、続編を読むのが楽しみなような怖いような。それにしてもこういう本は初めて読んだなあ。

  •  主人公は18歳女子の環。ハンプティ・ダンブティ・シンドロームという体が石化する難病をもち、岩手の療養施設で日々を送っている。もろくて折れやすい骨と石化する体。体の向きを変えることすら、困難を伴う彼女が雀を飼うことになる。
     同情されることをよしとせず(イタタだから)、つっぱって完全武装状態になっちゃっている彼女が、少しずつ成長していく姿は感動的。しかも、お涙頂戴とは無縁というところがすごい。愛について、死について、福祉施設とは、自立支援法とは...重いテーマは、生意気でデリケートな環が思考することで身近になる。著者はラノベ出身?なのかな。自意識過剰な思春期の文体が、これまたみごとにはまり、というわけで、闘病ものとしては出色だと思います。

  • 生きる 死ぬ役に立たないから迷惑かけるから死んじゃおう というわけにはいかないたぶん文体的には 若い人向けでちょっときつい

  • 生きる
    生きない
    生きている意味はある
    福祉はカネの問題
    福祉施設ミサイル論

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