赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。

著者 :
  • 双葉社
3.53
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本棚登録 : 4787
感想 : 396
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575242898

作品紹介・あらすじ

日本の昔話をミステリで読み解き好評を博した『むかしむかしあるところに、死体がありました。』に続き、西洋童話をベースにした連作短編ミステリが誕生しました。今作の主人公は赤ずきん! ――クッキーとワインを持って旅に出た赤ずきんがその途中で事件に遭遇。「シンデレラ」「ヘンゼルとグレーテル」「眠り姫」「マッチ売りの少女」を下敷きに、小道具を使ったトリック満載! こんなミステリがあったのか、と興奮すること間違いなし。全編を通して『大きな謎』も隠されていて、わくわく・ドキドキが止まりません!

感想・レビュー・書評

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  • まぁ多分いつかは読むんだろうなぁ...程度の意識でこの作品を楽しむのは未来の私に託していたのだが、ひょんなことから現世の我が本棚の一員に。

    赤ずきんの小旅行道中に出会う御伽の方々、現れる死体、コナン化する赤ずきん。そんな赤ずきん、一体何処に何をしに向かっているのだろう。まさか職業「流浪の探偵」な訳がないでしょうに。

    おとぎ話やグリム童話のニュアンスに幾度となく釣られてきたが、やはり今回も期待を超える展開は望めなかった。傲慢 狂愛 打算 復讐 etc...
    本当は怖いグリム童話〜系統でお馴染みとなり最早新鮮味の無いブラック要素。ミステリとは言うものの本格的に推理するのが馬鹿らしく思えるトリック....は、ファンタジー故致し方無いのだろうが。

    赤ずきんの行動と目的がイコールで繋がらない彼女のみぞ知る謎の定義が解明されない居心地の悪さが腑に落ちない。嘘つきは他人の嘘を許せないという理不尽さを表現したということ...なのだろうか。

    ファンタジーにはあって欲しい世界感の土台作りが0だったので人物達の特性、頭脳レベルがあまりにも都合が良すぎてどうも釈然としない。300ページで収めるには短すぎる。そして表紙のせいでどうしても赤ずきんを美少女に変換する事が出来ない。

    雰囲気が面白い...に尽きてしまうのか。
    スマブラしかりジャンプフォースしかり
    「コラボ」って魅力的なんですよね。
    アーティストしかり芸人しかり
    「夢の共演」って意外とスベるんですよね。
    エンタメととして楽しんでいただきたい一冊です。

  • 大人の世界、の一冊。

    タイトル通り、赤ずきんちゃんが旅する先々で童話の主人公と出会い、ついでに死体と出会ってしまう短編集。

    大人の大人だからわかるこの世界は今回も健在。

    トリックよりもブラックが心に残る楽しい味付け。

    人の強欲さが見事に浮き彫りにされた、マッチを巧く人間心理に絡ませた最終章は一番読み応えあり。

    ここまで見事に童話を仰天チェンジする青柳さんの職人技に今回も脱帽。

    そして赤ずきんちゃんの洞察力、随所でのストレートなセリフがスカッとくる。

    犯人のドキッという心臓の音がこちらまで伝わってくるようだった。

  • 童話×ミステリー。

     『赤ずきん』『シンデレラ』『マッチ売りの少女』など、童話から登場人物が飛び出してストーリーが展開していきました。赤ずきんが、行く先々で遭遇する難事件を解決していきます。その先に待ち受けていたのは、ある童話の主人公でした。

     誰もがきっとどこかに持っている弱い心に、そっとあかりを灯して寄り添ってくれる物語です…

    ***

    「あのまま死んでいたら、誰かにゴミと一緒に捨てられていたに違いありません。人間なんて、そんなものなのです」p.277

  • ある目的でクッキーとワインを持って旅に出た赤ずきんが、旅の途中で他の童話の登場人物が関わった事件を解決していく短編集。各童話のダークさがいい感じに引き出されていてにやり。「マッチ売りの少女」のあの設定をそう使うか!世知辛過ぎる。「眠り姫」姫だけが眠ってしまったんだっけ?魔女の計らいで皆寝たような記憶が。なんかぽこぽこ落ちたままだな、と思っていた所がちゃんと最後には回収されるし、事件は童話ならではの設定を活かしているしで面白かったんだけど、トリックにちょっと引っかかりがあった。図もあるけどそれ成立する?ともやもや。「シンデレラ」赤ずきんも言ってるけど杜撰すぎるわー。「ヘンゼルとグレーテル」が一番綺麗に成り立っていたと思う。胸糞要素あるけど。

  • 誰もが知っている赤ずきんちゃん。お菓子とワインの入ったバスケットを持って森の中をてくてくと…でもその行き先はおばあさんの家ではないのです。
    行く先々で出会う、シンデレラやヘンゼルとグレーテルといった昔話のキャラクターたち。
    彼らの事件に巻き込まれる赤ずきんは、鋭い観察眼を生かし次々と謎を解きながら、ひたすら目的地へと進んでいくのです。
    プロットがとにかくおもしろいし、一つ一つの事件、推理もちゃんと成立しています。
    赤ずきんの旅の目的も意外性があって、とにかく最後まで飽きずに読めました。
    こういう形式、好きです。

  • おもしろかった。『むかしむかしあるところに、死体がありました』と同じスタイルの西洋バージョン。ただし、前作よりは格段に面白くなっている。主役は赤ずきんちゃんで、とある目的で旅をしながら、その先々で出会う事件を解決していく、王道の探偵ものミステリ。シンデレラ、ヘンゼルとグレーテル、眠りの森の美女、マッチ売りの少女、”眠り”以外はかなり背中が凍るダークな事件。特にヘンゼルとグレーテルでほのめかされる関係はピカイチの暗黒さ加減。前作と同じく、先が読めるのに面白いというタイプ。読了感はなんとも言えないが、モヤモヤはない。

  • 前作より童話に忠実にというよりオリジナリティを感じる作品。
    赤ずきんちゃんを絶対正義とも言い兼ねるラストかなあと個人的には思った。

  • 見返しが深紅の葉っぱの型押しになっています。ページをめくって目次を見ると、
    第1章ガラスの靴の共犯者
    第2章甘い密室の崩壊
    第3章眠れる森の秘密たち
    最終章 少女よ、野望のマッチを灯せ
    と書かれています。
    本文を読む前からワクワクしました。

    昔話風の口調で書かれています。赤ずきんが目的地に行くまでに童話の登場人物が関わる殺人事件に遭い、見事な推理で解決していく推理小説です。章が進むにつれてスケールアップしていきます。使命に燃える赤ずきんと独裁ビジネスマン・マッチ売りの少女が対峙する最終章は特に面白い。こんな話になるとは。マッチ売りの少女がダークでかっこよすぎです。
    昔話というファンタジーと、推理小説というファンタジーが掛け合って面白く、3時間半ぐらいで一気読みしました。おなかが空いても止められませんでした。

    第3章に出てくる伊達男ナップがめちゃくちゃです。その上のキザっぷり。
    「ぼくの掛け声に合わせて引っ張るんだよ。それ、アモーレ!アモーレ!」
    ほんと、赤ずきんと同じく馬鹿馬鹿しいと思いながらも、私はナップの軽さが好きです。

    ヘンゼルがお菓子の家の密室殺人で完全犯罪を目論む第2章で、あれ?と思ったのが、この本のヘンゼルとグレーテルのお菓子の家の外壁にはマカロンがあしらわれていること。私のイメージでは板チョコ。マカロンって時代に合わないんじゃない?と思ったけれど、板チョコも時代に合わないって今日気づきました。
    それぞれのお菓子の家があっていいんじゃない、と、この自由な昔話ミステリーが思わせてくれます。

  • 「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」
    青柳碧人(著)

    2020年 8/23 第1刷 (株)双葉社

    2020年 10/7 読了

    読書の秋だー!とラジオで言いながら
    なかなかゆっくり読む時間がとれず

    ようやく今月初読了本。

    前作「むかしむかしあるところに…」で味をしめたのか第2弾が早速出されましたとさ。

    面白い…確かに面白いけどねー^^;

    うーんこんなんでいいの?

    って思うのはぼくだけだろうか?

    とりあえず…
    後回しにしてる「関ヶ原」の続きを読もう。

  • この赤ずきんちゃんは何者だ?ただ者ではないぞ。
    キレッキレではないか。
    海外の童話をモチーフにしてだけど、普通にミステリーじゃないか。
    そっか童話ってとこが読みやすくなってるのか。
    眠れる森はちょっと大げさ感があったし、ヘンゼルとグレーテルはグレーテルが切なかったわ。

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著者プロフィール

1980年千葉県生まれ。2009年『浜村渚の計算ノート』で第三回講談社birth小説部門を受賞しデビュー。「ブタカン」「西川麻子」「猫河原家の人びと」などシリーズ多数。2019年刊行の『むかしむかしあるところに、死体がありました。』が各ミステリーランキングや書店年間ランキングにランクインし、本屋大賞にもノミネートされた。

「2023年 『あかがみんは脱出できない(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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