- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575243260
作品紹介・あらすじ
21世紀目前、福美は困窮していた。抱えた娘の父親は行方知れず、頼る実家もなく、無職。ただ、母乳だけはあまるほど出続ける。それに目を付けた、母乳を欲しがる家庭に母乳を届ける活動をしているという廣田に福美はナニィ(乳母)として雇われることに。すると、かつての同級生の政治家一家から、ナニィの指名が入り……。
ひとはいつ「母」になるのか。母乳によって子を手放した女と母乳によって母となり得た女の視点から、母性を描いたサスペンスフルな長編。
感想・レビュー・書評
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これはすごい。
日々の生活に困るシンママが、昔自分を苛めていた同級生の息子の乳母になる。
それがまさかこんな展開になるなんて!面白すぎて1日で読み終えた。
乳母の福美、その乳母に息子をとられる形になり結局シンママになる奈江。
作中でそれぞれの語りに代わるので、どちらの苦悩もよく分かる。
二人とも被害者。
この国は、もう、母性という言葉で女性をがんじがらめにするのはやめないと。
姑の千代のような、過去に女らしさや妻・母という世間が求める価値観で生きるしかなかった人達が、自然と次世代を生きる女性達を見えない檻に追いやるようなことをしてはいけない!
母乳神話、帝王切開への引け目、保育園はかわいそう、母親なんだから⚪⚪は当然、園用の雑巾は手作りしないといけないとか、誰が得をするんだ?!
本当にこの国は、滅びたらいいよ!と、苦い思いをしたことがある私は思ってしまう。
女性からしたら、日本という国はブラック国家だと思う。
この本の結末には希望を感じるが、
同時にああそうだろうな、結局変われないんだろうなという絶望感がついてくる。
表紙の女性の目、光がないでしょ。もうさ、絶望してる目だよね。
読み始めた時はもっと軽めかと思っていたので、いい意味でやられた!
これは未来ある若い男女にぜひ手にとってほしい。-
2022/06/09
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pさん
私の感情たっぷりの感想をきっかけに読んでもらえるなんて、嬉しすぎます!
グイグイ引き込まれますよね!
感想ぜひぜひ聞かせてください!pさん
私の感情たっぷりの感想をきっかけに読んでもらえるなんて、嬉しすぎます!
グイグイ引き込まれますよね!
感想ぜひぜひ聞かせてください!2022/06/09 -
2022/06/09
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母乳が出ないことで母親失格とされた女と、母乳が出るばかりに利用された女。対照的な2人の行き着く先とは…|深沢潮『乳房のくにで』 | ほんのひ...母乳が出ないことで母親失格とされた女と、母乳が出るばかりに利用された女。対照的な2人の行き着く先とは…|深沢潮『乳房のくにで』 | ほんのひきだし
https://hon-hikidashi.jp/enjoy/162025/2023/01/20
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序盤に「母乳=高尚・万能」と偏った考えを持つ登場人物がいて、ハラハラした。でも、参考文献のラインナップからよく調べて書いていることが分かり、安心して読めた。
作者インタビューがきっかけで興味を持った。あらすじの内容的にも、自分の生活と重なる分野がテーマだと言う点でも、読むのはしんどいかも知れないと思った。しかし、沢山の問題提起がありながらもエンタメとして楽しめる展開で、あっという間に読んでしまった。
(読んで考えたこと)
1、母性ってなんだろう
血の繋がりがあれば勝手に芽生える訳ではない。育てていく中で、沸いてくるものだと思った。福美→光の母性は、血の繋がりはなくても母乳をあげ続けることで生まれた愛情。
対して、奈江→光は、血の繋がりがあるからこそ離れていても大切だし20年振りでも親子であることを実感できる。
2、母乳の悪用ダメゼッタイ
「母乳=単に栄養を与えるもの」ではない。それ以上の意味がある。親子の愛着の問題も絡むので、母乳を与えることを仕事として扱うのは、リスクがある。
千代が福美や紗羅の人権を無視した行為を金と権力に任せて行ったように、立場の弱い物への搾取へつながるのではないか。たぶん、こういったことは代理母ですでに問題となっていると思う。
3、広まれ正しい知識
作中で奈江が語っているが、努力したから必ず報われるわけではないのが妊娠、出産、育児。私はここにものすごく共感した。
個人のがんばりでは決まらないのに、社会が母乳や出産を神聖視すると苦しむ人が出る。出産方法や、母乳の出で優劣をつける考え方はなくなって欲しい。当事者にしか分からないので(しかも個人差が激しい)、小説をきっかけに多くの人に知って欲しい。 -
とてもよかった。
冒頭からずっと先の気になる展開で、どんどん読めてしまった。
深いテーマだけど、面白く、腹が立ったり、涙したり、、、
たくさんの人に読んでほしいです。 -
すごい本だった。この国の根拠のない母性信仰と搾取はいつまで続くのか。答えなんてみんな分かっている。
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設定も展開も最高におもしろい。
わたしが出産育児の経験がないからかもしれないけど、
こわおもしろい世界観にどっぷりハマりました。
久しぶりに時間を忘れて深夜まで一気読み。
「光ちゃま」「ナニィ」って呼びあってたことに
なんか分からんけどゾッとした。 -
タイトルとあらすじに惹かれて。
独身やシングルマザー、母乳信仰など現代日本の問題みたいなものが詰まっていてちょっと考えさせられました。
とても読みやすかったのこの作者の他の本も読んでみたい。
あんなの身近にいたら最悪ですよ。鬼ですよね。
秀人も小さい頃は、いい奴だったのに…
でも金が絡んでたから優しかっ...
あんなの身近にいたら最悪ですよ。鬼ですよね。
秀人も小さい頃は、いい奴だったのに…
でも金が絡んでたから優しかったのか??
福見の母、登場するのか⁉︎と思ってたけど出なかったですね。
沙羅ちゃん、めっちゃ良い子に育って救われました。
普通、グレますよね。
祖母も父もアレだし、母とは疎遠だし。
これはまともな大人にならないぞと思って読んだんですが、周りが...
祖母も父もアレだし、母とは疎遠だし。
これはまともな大人にならないぞと思って読んだんですが、周りが異様だからか、よさそうな子じゃん!と思ってしまいました。
今後、弟と選挙で戦って欲しい。
今後、弟と選挙で戦って欲しい。