- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575243277
感想・レビュー・書評
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タイトルと ジャケットのデザインと 「最高の感涙小説」というコピーに 「えー?ホントにー?? よくあるやつじゃないのー??」少し 斜に構えて読み始めたけれど...
まんまと やられた
ファンタジーではあるし 青臭くもあるのかもしれない
でも 辛い気持ちにきちんと向き合う
不安な未来を ちゃんと見つめる
煩わしくても 周囲の好意に感謝する
大事なコトがたくさん描かれている
大切な人を失った経験のある人に読んで欲しい
素敵なお話でした -
喜び以外すべての感情を失った少年が、1人の女性と出会い失った感情を少しずつ取り戻していく……。背景には10年ほど前に日本を襲った未曾有の災害があり、彼と心を通じる女性にも秘密がある。少年は一種の“超人”として描かれているが、その理由はスーパーナチュラルなものだ。ある現象がなければ少年の悲惨な体験が生み出した妄想と思えてしまう。作者が敢えてそこに踏み込んだことを評価したい。いわゆる“喪失と再生”ものだが、彼にはさらに過酷な運命が待ち受けている。わかりきった結末を変えられない現実、生と死の明暗に涙があふれた。
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震災で家族を亡くし、喜び以外の感情をなくした高校生の冲晴くんと、余命一年を宣告された元音楽教師の京香の物語。 沖晴が、感情を取り戻していく度に戸惑い苦しむ姿が、読んでいて辛かった。喜怒哀楽、当たり前にある感情ですが、9年間も「喜び」以外の感情を失っていたのだから。 合唱コンクールで歌った曲は「花は咲く」でしょうか? 沖晴と京香の出会いは、あるべきしてあった出会いだと思う。京香がいたから沖晴は前へ進め、沖晴がいたから京香は自分の死と向き合えるようになったと思う。 生きることって、大変だけど愛おしい。
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「死神は呪いをかける。志津川沖晴は笑う。」
いつも笑っている。
生死を彷徨っている時に取引を申し込まれたら、多くの人が条件を適当に聞き流して願ってしまうだろうな。
「死神は嵐を呼ぶ。志津川沖晴は嫌悪する。」
突然感じたことは。
何も知らない子供のような優しさだったのかもしれないが、周囲から見れば異常なことにしか見えないだろ。
「死神は命を刈る。志津川沖晴は怒る。」
広まっていく噂話。
護りたい気持ちが先行してしまっているのだろうが、全ての情報を知らない他人が口出しするのは違うだろ。
「死神は連れてくる。志津川沖晴は泣く。」
戻ってきていない。
何も感じなかった期間が長ければ長いほど、取り戻した時に溢れてきた気持ちを止めることは不可能だろう。
「死神は弄ぶ。志津川沖晴は恐怖する。」
失う悲しみを知る。
全てを思い出してしまったからこそ、相手の気持ちを考えるよりも先に自分の気持ちを優先したのだろうな。
「踊場京香は呪いをかける。志津川沖晴は歌う。」
乗り越えて生きる。
一生癒えることはない傷になるかもしれないが、それでも向き合うことが出来たのならば大丈夫なのかもな。
「死神の入道雲」
失った日に産まれ。
話すどころか会うことすら出来ないことを、時間はかかってしまったが受け入れることが出来たのだろうな。 -
東北大震災で家族を失い一人ぼっちになった沖晴。孤独な彼に残されたのは「喜び」という感情。大切な人ができた時、沖晴はさまざま感情を取り戻して強くなっていく。ネガティブな感情も生きていくには必要なものかもしれない。「死」と「生」そして人とのつながり。悲しくて切なくも、人の温かさが伝わる。