世界の美しさを思い知れ

著者 :
  • 双葉社
3.60
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感想 : 99
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575244762

作品紹介・あらすじ

蓮見貴斗と尚斗は一卵性双生児。弟の尚斗は人気俳優だったが、遺書も残さずに自殺した。葬儀を終えて数日後に尚斗のスマホが見つかり、貴斗が電源を入れると顔認証を突破できてしまう。未読メールには礼文島行きの航空券が届いていた。自殺したのに、どうして旅行に行こうとしたのか。その答えを知るために貴斗は旅立つ。人気絶頂で自殺した愛する弟は何に悩んでいたのか。止められなかった自らの後悔を胸に世界を旅する貴斗。「生きること」と「死を受けとめること」の意味を問う、感動のロードノベル。

感想・レビュー・書評

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  • あなたのスマホにはどんな情報が入っているでしょうか?

    スマホの所有率はどのくらい?10年ほど前であればそんな質問もあり得たかもしれません。しかし、今やこの国では90%と高い所有率となり、かつ10代や20代に限定すると98%というもはや所有率という言葉さえ意味をなさないくらいに誰もが当たり前に所有するものとなりました。そんなスマホには、写真、SNS、そしてメールと、あなただけが知るあなただけの世界が存在しています。”スマホがなくては生きていけない”、そんな言葉が大袈裟ではないほどに私たちにとってなくてはならない存在となったスマホ。

    一方で、そんなスマホにあなただけの情報を格納すればするほどにセキュリティというものの大切さが重みを増してきます。パスワード、指紋認証、そして顔認証というように、そんなスマホの情報を守るために用意されたツールたち。自分の知らぬ間に誰かにスマホを覗き見されていた…という起点のTVドラマに、ありえないだろう、と突っ込みを入れたくなるほどに誰もがそれぞれの情報を守ることに敏感にもなった現代社会。しかし、そんな厳重にも思われる認証をあっけなく突破することができてしまう現実もあります。『試しに、スマホを自分の顔にかざしてみた』という兄の前で『あっさりとロックは解除された』という弟のスマホ。それは、『同じ遺伝子情報と姿形を持つ人間がこの世にもう一人いる』という『双子』だからこそ成せる技です。

    この作品は、自死を選んだ弟に『どうしてだ。なあ、どうしてだ』と問いかける兄の物語。そんな兄が、弟のスマホの中に遺された情報を元に、彼の死の理由を探し求めて世界を旅する物語。そしてそれは、そんな兄が『どうか世界が昨日より美しくあってほしい』と願う未来を垣間見る物語です。
    
    『【速報】俳優の蓮見尚斗さん、自殺か』と『享年25歳』で亡くなった弟が暮らしていたマンションへと向かうのは主人公の蓮見貴斗。そんな貴斗は『尚斗さんの双子のお兄様ですよね?』、『遺書は見つかったんでしょうか?』、『自殺の動機について、お兄様は…』と矢継ぎ早に質問する記者』を『お話しすることは何もないです』と振り切ってマンションへと入りました。『尚斗から預かっていたカードキー』を使って部屋へと足を踏み入れた貴斗は『ドアを開けた瞬間、尚斗の匂い』をそこに感じます。『一週間前、俳優の蓮見尚斗はこの部屋で自殺した』と改めて思う貴斗。『中学三年生のときに渋谷でスカウトされ』、『今後の活躍を期待される若手俳優の一人だった』という尚斗。『2LDKの部屋は尚斗が死んだ日のまま』という尚斗の部屋で『最後に会った日のことを思い出』す貴斗は、『彼が死ぬ気配など、自ら死を選ぶ兆候など、微塵も見つけることができなかった』と振り返ります。『どうしてだ。なあ、どうしてだ』と尚斗に語りかけるように自問する貴斗。そんな貴斗は母親から『尚斗のスマホも探しておいてほしい』と言われていたことを思い出しました。『マネージャーや母親が「ない、ない」と騒いでいた』そんなスマホをあっけなく見つけた貴斗は、『充電ケーブルに』繋いで電源を入れます。『パスコードはアレか』と思案すると、『顔認識』を求められ、思わず『自分の顔にかざしてみた』貴斗。『全く別人の俺の顔で、開いてしまうのか』と驚く貴斗の前で『あっさりとロックは解除され』ました。『何か、尚斗の言葉が残っているんじゃないか。自殺の理由を記した遺書が、この中に』と、ボイスメモやメモ帳を見るもそれらしいものを見つけることはできません。そんな時、未読メールが表示されたのを見る貴斗は、『重要:ご出発日が近づいています』という件名のメールに目が止まります。『どう見ても旅行のリマインド』というそのメールには旅程表がついています。『羽田空港から飛行機で新千歳空港へ… 稚内まで飛び、礼文島のホテルに宿泊する』というその旅程の出発日は明日でした。『ふざけんな!』と『スマホをベッドに投げつけた』貴斗は、マンションを後にし尚斗の墓を訪れ骨壷から一片の骨を取り出しポケットへとしまいます。そして『稚内空港は小さな空港だった…』と『蓮見尚斗の名前で、飛行機に乗った』貴斗は、礼文島へと向かいました。そんな貴斗は、マルタへ、ロンドンへと尚斗がかつて訪れた街へ旅する中で、そんな土地に尚斗の死の理由を探す物語が始まりました。

    沢山の花を頂いた髑髏が空を飛翔しているという強烈な表紙が頭から離れなくなるこの作品。そんな作品は『一週間前、俳優の蓮見尚斗はこの部屋で自殺した』と、双子の兄が、亡くなった弟の部屋を訪れる場面から始まります。若手俳優だった弟の死の理由を知りたいと思う兄は、弟のスマホをまさかの顔認証でロック解除します。双子はスマホの顔認証を突破できるのか?という話題は一時期ネットを沸かせました。現在でもさまざまな実験を目にすることができますが、その多くで普通にロックが解除できてしまう現実が報告されています。今このレビューを読んでくださっている方の中にも双子という方はいらっしゃると思います。この国で双子が生まれる確率は約1%とされています。逆に言えば、この国の1%の方はスマホの顔認証にリスクがあるとも言えます。しかし、そんなリスクを持った顔認証がこの作品を成り立たせていると考えると何とも複雑です。

    そんな物語は、弟のスマホから得た情報を元に、『尚斗の匂い』を求めて彼が生前訪れた場所へと世界を旅する兄の姿が描かれていきます。そんな目的地となる場所は多彩です。この作品は七章から構成されていますが、そのそれぞれの章が目的地の名前となっています。『カラッとした風が吹いているが、紫外線がジリジリと肌を焼く』という『地中海に浮かぶ小さな島国』である『マルタ島』。『豪奢な門扉越しに見たバッキンガム宮殿から、ここがイギリスの真ん中だという声が聞こえた』と訪れたのは『ロンドン』。そして、『富士山より高い場所にある空港は、空気が薄い』、『雲の上の街だった』というまさかの南米ボリビアの首都『ラパス』、というように世界のさまざまな都市へと赴く兄・貴斗の旅が描かれていく物語はまるで旅行記を読んでいるような気分にもなってきます。また、そんな物語には『茹でた子羊肉、牛ハツの串焼き、ジャガイモと白トウモロコシのスープ、名前がよくわからない豆を煮込んだ料理』といった現地の食についての記述も多々登場します。『美味いものも随分食べたし、シンガニというマスカットの蒸留酒をホテルで浴びるほど飲んだ』と続くそんな主人公たちの行動を読んでいると、旅に出たいという読者の気持ちが刺激されてもきます。これらの都市に行かれた方はそんな場面を懐かしみ、まだ見ぬ世界という方にはそんな場面に思いを馳せる、この作品には額賀澪さんのぐいぐい読ませる見事な筆の力によって、物語を読みながら世界を旅する感覚が味わえるのがとても魅力的だと感じました。

    しかし、そんな世界各地を巡る旅は兄・貴斗の単なる物見遊山というわけではありません。それは、『どうしてだ。なあ、どうしてだ』とこの世を突然後にした弟の死の理由を探し求める兄の姿でもありました。もちろん彼も単純に『マルタに来たら尚斗の自殺の理由がわかるだなんて、そんなことは思っていなかった』と冷静な判断の中にあります。その一方で『尚斗に対する〈わからない〉のうちのいくつかが、ここに来れば解消されるような身勝手な期待をしていた』と、世界各地を旅する兄・貴斗。この作品ではスマホのロック解除が起点となって進む物語があります。それは、上記した通り双子だから成せる技でした。『双子のくせに、何一つ、気づいてやれなかった』という貴斗の苦しみ。私は双子ではありませんので双子の方がそれぞれにどのように相手のことを考え、意識しているのかは分かりません。ただ、自分と同じ姿をした存在が目の前にいるという感覚は、やはり双子でない兄弟とは全く違う意識がそこに生まれるのではないかとも思います。この作品で、額賀さんはそこに一つの仕掛けを入れられます。それが、『俺達は生まれたときからずーっと、二人だった。なんでも二人一緒だった』という中、出かけた渋谷の街で『先に店を出て外で待っていた尚斗』がスカウトされたという展開の先にスターダムに俳優へとのし上がっていく弟とそうならなかった兄という運命の分かれ道です。『そこにいたのが尚斗でなく自分だったら、どうなっていたのだろう』と思う貴斗。『尚斗が俺で、俺が尚斗みたいになる未来があったのだろうか』とも思う貴斗。兄弟の一方が俳優であるということがどのようなものなのか、そしてそれが双子という特別な立場だったとしたら…。当事者でないとなかなかに理解できない、それでいて恐らくは相当に悩ましい葛藤を感じさせるこの設定が読者を物語に深く引き込んでいきます。

    そして、この作品では視覚的にさらに面白い試みがなされてもいます。幾つかの章の冒頭にSNSの書き込みを模したようなページが挿入されているのです。似たような試みをしている作品としては、湊かなえさん「白ゆき姫殺人事件」があります。凝り方としては湊さんの方が断然徹底されていますが、額賀さんのこの作品のように手堅く一ページずつの挿入という方がくどくなく読みやすいとも感じます。そこには、『双子で片方が芸能人とか絶対仲悪い。嫉妬がないわけがない』、『蓮見尚斗兄、弟そっくりの姿で豪遊?弟の遺産はオレのもの?』といったような意地の悪い書き込みがなされています。昨今、こういった匿名が故の身勝手な書き込みが遺族に追い討ちをかける状況が問題視されています。この作品の貴斗も同じようにそんな書き込みを目にもしています。そんな複雑な心持ちの中、物語は結末に向けて”ある決断”を貴斗に求めていきます。

    『あいつ、全部置いていった。世の中、綺麗だと思えるものが、まだたくさんあるのに』と尚斗のことを思う貴斗。『それでもなお、あいつは死んだ。あいつが選んだ死を含めて、あいつの人生だった』と冷静に尚斗のことを思えるようになっていく貴斗。そんな貴斗が結末へと向けて最後の一歩を踏み出す物語は、額賀さんが選んだ舞台の総決算となるような、極めて納得感のある結末を見るものでした。『いつか弟に「お前の知らない美しいものが世界にはたくさんあった」とあの世で伝えたい』と語る貴斗。まさかの二段階に展開する結末の物語を読み終えて、『世界の美しさ』という言葉に、『世界の美しさ』から浮かび上がる情景に、静かに思いを馳せました。

    『「またね、気をつけて」 それが尚斗と最後に交わした言葉だった』という結果論の先に永遠の別れが待っていた双子の兄弟。そして残された兄・貴斗が、弟・尚斗の死の理由を求めて世界各地を旅する様を描くこの作品。『順風満帆に見えた弟は何故自殺したのか?旅の果てにその答えは待っているのか?死によって道を違えた双子達のその後を、ぜひ見届けてください』とおっしゃる額賀さんが描くこの作品。まるで旅行記の如く鮮やかに描かれた世界各地の風景と、現地で貴斗が巡り合っていく人々の優しさを感じるこの作品。『世界の美しさ』を知り、『尚斗の死を俺で飾ろう』と前に進んでいく貴斗の姿に、身内の死を乗り越えて生きていく人のたくましさを感じた素晴らしい作品でした。

  • 2023年6月2日、俳優の蓮見尚斗25歳が都内の自宅マンションで自殺します。
    尚斗には一卵性双生児の兄の蓮見貴斗がいます。
    この物語には尚斗はでてきませんが、これは貴斗と尚斗の二人の物語だと思います。

    貴斗は尚斗が予約していた礼文島旅行から始まり。世界各国の尚斗が今までに行った場所、行かなかった場所を死んだ尚斗と共に旅をします。
    そして、尚斗がなぜ自殺してしまったのかを考えていきます。

    マルタ島では尚斗の知り合いだった職人のジョセフと仲良くなります。
    台中には会社の同期の女性、古賀凛と旅をし、ロンドンでは尚斗に恋をしていた女性メアリーに尚斗のふりをして逢い大目玉をくらいます。
    ニューヨークへは尚斗の元カノの女優、辻亜加利に呼び出されて行きます。

    「あいつは先に逝っちゃったけど、残った片割れの俺に、世界は美しいということを残して逝ったんだと、それはつまり、お前は末永く生きろということだと受け取ろうと思います。俺たち、親が戸惑うくらいそっくりだったし、親が呆れるくらい仲がよかったんですよ」


    世の中にはこんなに仲のよい兄弟がいるものなのかと思いました。双子と言う特殊性もあるかもしれないですね。

    タイトルの『世界の美しさを思い知れ』。
    これこそが、この作品からの直球ど真ん中のメッセージだと思います。
    尚斗は全部、貴斗に遺していってくれましたが、死んだら、もうそちらへは何ももっていけないのですね。

    読み終えると映画を一本観終えたような気持ちになる演出にもやられました。

    • まことさん
      さてさてさん。

      旅行をメインにした、小説も探せば結構ありそうな気がします。
      それより、早くコロナ禍が収束すれば一番いいですよね。
      それとも...
      さてさてさん。

      旅行をメインにした、小説も探せば結構ありそうな気がします。
      それより、早くコロナ禍が収束すれば一番いいですよね。
      それとも、今後は、本当にWithコロナの時代になってしまうのでしょうかね。
      まだ3回目も、済まないのにワクチン4回目とか言ってるし。
      あと、第三次世界大戦も怖いですよね。
      私もSNSの(ブクログの)おかげで、精神の均衡を保っている気がします。
      早く、海外旅行に安心して行かれる日常が戻ってくるといいですね。
      2022/03/21
    • さてさてさん
      まことさん、コロナ禍が収束して、戦争も終わって欲しいです。平穏な日常というものが如何に大切か、そして貴重なものであるかを思い知らされる昨今で...
      まことさん、コロナ禍が収束して、戦争も終わって欲しいです。平穏な日常というものが如何に大切か、そして貴重なものであるかを思い知らされる昨今ですね。
      引き続きブクログでのご縁、よろしくお願いいたします。
      2022/03/21
    • まことさん
      さてさてさん。

      こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします。
      さてさてさん。

      こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします。
      2022/03/21
  • 双子の弟の自殺。
    仲が良かったが故に原因がわからずに苦悩する兄。
    弟の携帯の履歴で、死の答えを探すべく世界へと旅する。
    いちばん近い存在ですべてを知ってるつもりでいたのに自殺するなんて…とても正常ではいられないだろう。
    だが、まるで兄が辛い思いをしないように世界の美しい場所へと導いていったような気がする。
    そう、思わないと悲しさしかない旅で終わってしまう。
    自然体で寄り添ってくれる元同僚と真正面からぶつかってくる亡き弟の元彼女も何気に支えとなっているのが良かった。

    その後の功績が、すべてを物語っている。

  •  うーん。なんていうんだろ?悪くない。悪くないんだけど、その言い回しであったり、文体であったりが、読む側が恥ずかしくなるような感じでイマイチ入り込めなかった。

     人気若手俳優の蓮見尚斗が自殺をした。尚斗の双子の兄、貴斗は弟が死んだ悲しみを抱えて、尚斗が旅をした様々な場所を辿っていく。

     小説はもちろんフィクションとわかっているが、それでも著者のご都合主義のようにすすんでいく流れに、そんな都合よくいくはずないだろと思わずツッコミを入れたくなる。

     ただ、様々な場所を旅行する貴斗の目を通して旅行気分を味わえたのは良かった。

  • 双子の弟、俳優の蓮見尚斗が自殺した。兄の貴斗は弟のスマホから礼文島行きの航空券を見つける。そこに弟の死の答えがあるのか探しにいく物語。

    様々なきっかけからマルタ島、台湾、ロンドン、NY、南米と様々な場所を旅していく。最後のシーンを書くか書かないか半年悩んだ末に書いたらしいけど、これは作者が出した答えなんだろうなと思った。本筋とは離れるけど、私も純粋にこれらの場所に旅してみたいと思った。

    大切な人が自殺してしまったら私はどうするのだろう。どうやっても自分以外の人のことを完全にわかるのは無理なんだけど、わかりたい知りたいと思って動くことで救われたり何かを得られたりするんだなって思いました。

  • ❇︎
    家族、恋人、友人、恩師、同僚や先輩など、
    身近な人の死に直面すると哀しみに飲み込まれて、
    ぽっかり心に穴が空いて感じます。

    病気や老衰といった自然死ですら、それは
    大きいのに、大切な人が自ら命を絶ったとき、
    どれほどの喪失感を感じるのでしょう。

    〜〜〜
    25歳の若さで自殺した人気俳優 蓮見尚斗

    一卵性双生児の兄の貴斗は弟の自殺の原因を
    求めて尚斗の足跡を辿って旅をする。

    誰より尚斗を理解していたと思っていたのに、
    何かできたのではないか、
    何ができただろうか、
    自殺の原因に気づけなかったことを悔やむ。


    二人で一人だし、二人で二人だった貴斗と尚斗。

    双子の兄弟を失った哀しみと心に空いた
    喪失感と向き合い、前進してゆくまでの物語。

  • 額賀 澪 NUKAGA Mio|note
    https://note.com/nukaga30

    額賀澪 公式サイト
    https://nukaga-mio.work/

    株式会社双葉社|世界の美しさを思い知れ|ISBN:978-4-575-24476-2
    https://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-24476-2.html

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      失われた色取り戻す旅 『世界の美しさを思い知れ』 作家・額賀澪(ぬかが・みお)さん(31) :東京新聞 TOKYO Web
      https://...
      失われた色取り戻す旅 『世界の美しさを思い知れ』 作家・額賀澪(ぬかが・みお)さん(31) :東京新聞 TOKYO Web
      https://www.tokyo-np.co.jp/article/153069
      2022/01/09
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      自死を選んだ弟。なぜ死んだのか――残された兄は弟の足跡を追うが……|額賀澪『世界の美しさを思い知れ』 | ほんのひきだし
      https://h...
      自死を選んだ弟。なぜ死んだのか――残された兄は弟の足跡を追うが……|額賀澪『世界の美しさを思い知れ』 | ほんのひきだし
      https://hon-hikidashi.jp/enjoy/143013/
      2022/01/10
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      人気俳優だった双子の弟が自殺…「生きること」と「死を受けとめること」の意味を問う、世界各国を旅する感動のロードノベル | ダ・ヴィンチWeb...
      人気俳優だった双子の弟が自殺…「生きること」と「死を受けとめること」の意味を問う、世界各国を旅する感動のロードノベル | ダ・ヴィンチWeb
      https://ddnavi.com/review/927361/a/
      2022/02/07
  •  双子の弟が自殺した。
     弟の尚斗は、今後を期待される若手俳優の一人だった。尚斗の死はまたたく間にネットニュースとなった。
     一般の企業に勤める貴斗もマスコミに無神経な取材を受ける目にあった。

     蓮見貴斗は、弟の尚斗の部屋で、尚斗が残したスマホの顔認証をパスしてしまう。
     届いた旅行会社からのリマインドメール。そこには礼文島行き飛行機の電子チケットもある。
     尚斗は何を見たかったのか。そして、なぜ死んでしまったのか。
     貴斗は尚斗が行くはずだった礼文島へ向かった……。

     ◇ ◇ ◇

     貴斗が探していたもの。
     残されたものを追って必死になっていたもの。
     本を読んでいく過程で、やるせない、やりきれない気持ちが感じられます。
     双子だから、わかりあえたこと、双子でもわからなかったこと。切なくなります。
     主人公の貴斗は、礼文島を始めに、マルタ島、台中……。あらゆるところを旅しますが、その風景描写が美しい。
     死を通して、命とは、生きるとは、美しさとはを考えさせられました。

     読んでいるその間、別世界に行ったような気分です。

  • 主人公の気持ちと各章のSNSに書かれる「俳優の双子の兄の気持ち」のあまりの違いに驚きを通り越して、恐ろしかった。
    旅を通じて弟と関わりのある人々と出会い、弟との思い出を語り合うことで弟について考えをめぐされる。そして、旅が終わった後も関係か続いていく。弟を通じて主人公に新たな繋がりが生まれるのがいいなと思った。旅をしてみたくなった。
    旅を情景描写が見事で、読んでいるのが楽しかった。
    双子でここまで仲がいいのも珍しいなと思った。

  • この本を読み終わり、改めてタイトルを見返した時に「あぁ、良いタイトルだ。」と素直に思いました。
    大切な人がいなくなってしまい、喪失感に押しつぶされそうな時、何に主人公が救いを求め、どのように感じたか、直接この本を手に取って味わって欲しいです。

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著者プロフィール

1990年、茨城県生まれ。日本大学芸術学部卒業。2015年、「ウインドノーツ」(刊行時に『屋上のウインドノーツ』と改題)で第22回松本清張賞、同年、『ヒトリコ』で第16回小学館文庫小説賞を受賞する。著書に、『ラベンダーとソプラノ』『モノクロの夏に帰る』『弊社は買収されました!』『世界の美しさを思い知れ』『風は山から吹いている』『沖晴くんの涙を殺して』、「タスキメシ」シリーズなど。

「2023年 『転職の魔王様』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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