- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575246230
作品紹介・あらすじ
嵐の私雨邸に取り残された11人の男女。資産家のオーナーは密室で刺殺され、世にも珍しい〈探偵不在〉のクローズド・サークルが始まる。館に集ったのは怪しい人物ばかり。いったい誰が犯人を当てるのか。各人の視点からなされる推理の先に、思わぬ悲劇が待っている。
感想・レビュー・書評
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奇妙なリアル感が押し寄せる!可愛い装画だけど、ド本格なミステリー #私雨邸の殺人に関する各人の視点
■きっと読みたくなるレビュー
正直可愛らしい装画に魅了され、中身はどんなもんだろうと舐めていたのですが、思った以上に鬼しっかりとした本格ミステリーでした。申し訳ございません。
私雨邸の過去の逸話から、本格ミステリーにありがちな魅力たっぷりの登場人物たち。密室殺人、ダイイングメッセージ、クローズドサークル…完全に本格ミステリーです。
本作で一番好きなところは、フィクション満載な舞台設定なのに、奇妙なリアル感があるところ。勝手な推理をしたり、疑心暗鬼になったり、死に対する向き合い方がバラバラだったり。実際こんな事件に巻き込まれたら、集団なんてこんな感じかもしれませんね。
特に推理パートが素晴らしいんです。
緩~くありがちな世界観なセリフ回しで推理が進行するのですが、議論の内容はガッツリ謎解きです。密室トリックやダイイングメッセージなんて、いやー唸りました。
そして何と言っても解決編の構成と真相がスゴイ。
一気にすべての謎が明らかになっていく爽快感があるし、伏線回収も、納得感もバッチシある。重厚感もたっぷりで完璧でした。
なお登場人物の二ノ宮くんは生き方を見つめなおしたほうがいい。
君は将来が不安だ…
■きっと共感できる書評
本の魅力は、その作品の世界に飛び込めるところですよね。
海外に行けたり、過去の時代に戻れたり、ロマンスに浸れたり、名探偵や殺人犯になれたりもします。なかなか実体験できなことを、簡単に味合わせてくれる。
本書を読んでいると、あなたもやりたいことをやってみなよ!と言われている気がするんです。過去や環境に縛られたり、うじうじ悩んでないでチャレンジしようって。
2023年6月9日、今日の天気は本書と同じように雨が降ってます。
週末に晴れたら、ちょっとだけ旅にでようかな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これは、気軽にミステリを楽しむ読者へのアンチテーゼなのか!?と思ってしまうほどに、便宜上の探偵役が倫理観欠如で不快だった。「実はシリアルキラー!」みたいな、それ自体が物語の核として組み込まれてるなら話は別だったけど、そんな事もない。ミステリにおける、この手の性格のキャラクターは優秀だからこそ許されるんだなと痛感した。
各々が素人推理を披露しては否定されてゆく流れは、ハラハラ感があって面白かった。 -
多重解決ミステリ。嵐の別荘,資産家会長が刺殺される。探偵不在,外界との接触断絶。視点が変わると真相も変わる。多重推理に不慣れで手こずる。ミステリに名探偵は必要。無職田中,予想外の活躍は番狂わせ。
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これもブランチで紹介されてたような記憶です。少し前に読んだので、詳細はあまり覚えてないですが、エンタメとして面白かったです。タイトルがなんかおしゃれですよね。気軽に楽しめるエンタメミステリーです。
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嵐の中の館に男女11人が閉じ込められた!!これは面白いぞ!館だ!クローズド・サークルだ!ミステリだ!でも名探偵は??完全な主役(犯人では絶対ない人)がいない全員が犯人の可能性のある状況でその中の3人の視点を中心に描かれるストーリー!視点が変わって見る人が変われば見え方も変わっていく様が面白いな〜!
昔「かまいたちの夜」でも思ったけど関西弁ってシリアスな雰囲気を和ませるパワーを持っとりますな〜とりあえず一条くんの「ダイイングメッセージすな」はミステリ史上上位に入るツッコミかも。
ここまでの視点で犯人特定は可能であるみたいな感じでめちゃくちゃ挑戦的な感じやから今作は読み返してでも犯人見つけてやる!!って思ったけど結局犯人わからんかった。 -
殺人事件が起きているのにドキドキもハラハラもせず淡々と「犯人は誰?」と探っていられる作品。
各人の心理描写はある。というか数人の視点から成り立っているので、ある、のですよ。
でも、怖くない。
ミステリーが怖くて苦手という方でもいけちゃうんじゃないかな。
脳内配役は、
カバーイラストからの印象により、サクラは芦田愛菜がピッタリかも。
牧は江口のりこ。
一条はロザンの宇治原史規。
田中はピースの又吉直樹。
そして、
ミステリが好きすぎて鼻血まで出ちゃう二ノ宮は、YouTuberのあべしぃで。
(お笑いズキなわけではない)
(たまたまこんなキャスティング)
(二ノ宮は宇治原に合わせて菅ちゃんでもいいけどね) -
あの「一文」で、ええ!?となり、途中から戻って、また最初から読み直してしまいました…。
トリックを楽しむだけではなく、終盤の独白部分含め、各々の視点から描かれる細やかな心理描写から登場人物達の人間らしさ、弱さが伝わってきました。 -
私雨邸に取り残された面々を襲う殺人事件の話。クローズドサークルで3者視点で面白いんやけど、探偵の人間性の大事さをめちゃくちゃ感じる、二ノ宮はちょっと……。けど私もこんな感じで読んでるのかもしれないと人の振り見て我が振り直せ状態になってた。
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「事件を解決するはずの名探偵が…いない!!」
え、クローズドサークルで名探偵がいないって、どうなるの??という疑問と好奇心に惹かれて読ませていただきました。
ある館に集まった人々。そして起こる殺人。名探偵はいないけれど、探偵役を名乗り出るのは、大学のミステリ文学サークルに所属するミステリ大好き二ノ宮くん。でもどうにも頼りない…。いかにも怪しい動きをする人、二ノ宮くんとは別に調査や考察を始めていく人…
緊迫した状況のはずなのに、みんなの正直な気持ちがダダ漏れていて思わず笑ってしまう。
特に推理お披露目の段になって、みんなが持論を語るけれど、どれも決定打にかける。迷走しまくり。こんなんで本当に解決できるの?とソワソワしながら、徹夜で読み切りました。
登場人物たちが個性的で、最終的にヤバいやつ選手権みたいな様相を呈してきて、目が離せなかった。
今までまともだと思っていた人が、最後の最後の独白で、一番ヤバいんじゃないか…と衝撃を受けた。
読者への挑戦もあり、ミステリ好きにはたまらない作品。