サクラサク、サクラチル

著者 : 辻堂ゆめ

• 双葉社 (2023年7月26日発売)

作品紹介・あらすじ

「絶対に東大合格しなきゃ許さない」――両親の熱烈な期待に応えるため、高校三年生の高志は勉強漬けの日々を送っていた。そんなある日、クラスメートの星という少女から、自身をとりまく異常な教育環境を「虐待」だと指摘される。そんな星もまた、自身が親からネグレクトを受けていることを打ち明ける。心を共鳴させあう二人はやがて、自分達を追い詰めた親への〈復讐計画〉を始動させることに――。教室で浮いていた彼女と、埋もれていた僕の運命が、大学受験を前に交差する。驚愕の結末と切なさが待ち受ける極上の青春ミステリー。

感想・レビュー・書評

[クッキーさんの感想 · 2024年5月18日]

読んでいて胸が苦しくなりました。主人公が、自分が置かれている状況に違和感を感じていなかった点が、1番恐ろしいことだと感じました。
主人公2人の今後の人生が幸せなものであったらいいなと心から思います。

[まこさんの感想 · 2024年5月4日]

虐待の描写が強烈で
怖いけれど続きが気になり
一気に読みました
毒親も虐待も
当事者は気づかない
自分の子育てを見直す
いいきっかけになりました

[shifu0523さんの感想 · 2024年5月3日]

両親の熱烈な期待に応え勉強漬けの日々を送る染野高志は、クラスメートの少女・星から「虐待」だと指摘される。星も親からネグレクトを受けていた。共鳴した2人は<復讐計画>を始動させ…。
……というあらすじからは、ミステリ的なものを想像してしまったのだが、あにはからんや。
高志の現状を「虐待」と指摘する星も、高志から指摘されるまでは自縄自縛に陥っていることに気づいていなかった。一人では気づけない。他人のことなら気づける。対等だから受け入れられることでもあり、二人が自分たちだけで気づきを得て逃げる決意をし、逃げ切ったことに拍手。それが後ろ向きなものではなく、自分たちの未来を切り拓くものだったことがうれしい。
彼らにとって18歳で「成人」となり、くびきから逃げられるのは福音だった。
高志の姉はその「友人」がいなかったので、思い詰めてしまうのはやむなし。元を辿れば、母親も父親のモラハラの被害者で、おそらく父親もその親の教育パワハラやモラハラの被害者なのだろうけれど、高志のところで負の連鎖が止まってなにより。
高志の自立を助ける叔父家族ができすぎの感があるし、高志に逃げられてからの両親が意外におとなしいのが気になるが、実際に大人が手助けしなければいけないことは多い。よかったね、と言っておこう。

[ステッチさんの感想 · 2024年4月19日]

親に洗脳され虐待の現実に気づかず過ごしていた二人。自分自身の人生を取り戻すストーリー。最後には爽快感と未来の希望があり、素晴らしい青春ストーリー。

[kbchaさんの感想 · 2024年4月19日]

2024.4.19読了。
本ミスの紹介文で興味を持ち、初めて辻堂さんの本を手に取りました。
犯人や復讐の内容についてはほぼ想像通りでしたが、毒親の描写が強烈で読む手が止まらず一気読みしてしまいました。

自分の子どもには絶対にこんな辛い思いをさせないようにしないとな…と戒めにもなる作品でした。

[ねこがすきさんの感想 · 2024年4月14日]

主人公が、星さんがいないと乗り越えられなかったように、私も星さんがいないとこの本を読みきれなかったよ…

星さんと出会えたおかげで、お互い自分の家の異常さに向き合うことができ、復讐の話が進み出す。
2人の家庭で受けた傷は消えないと思うけれど、それに立ち向かい、成長した最後は素晴らしかった！

[fishbowlさんの感想 · 2024年4月10日]

主人公の家庭環境が凄すぎて、ちょっとリアリティに欠けてるなって思ってしまった私は、本当の現実を知らないのかしら？壮絶な環境の中で戦う２人を応援しつつ、最後はどうなるのかハラハラでした。そしてあのエンディング。ミステリーも青春も社会問題も、綺麗に盛り込まれた新しい物語でした。

[さかろさんの感想 · 2024年4月9日]

もう少しハードな復讐を期待していたけど、クールな復讐だった。入学シーズンに読んだのも良かった。

[うさんの感想 · 2024年3月29日]

高校生2人の両親への復讐のお話。
すっきりした！自由であることは素晴らしいけれど難しい。

[nyabiiさんの感想 · 2024年3月24日]

毒親に苦しむ受験生が復讐を計画する。復讐の内容は予想の範囲内だったので驚きは無いが、最終的には清々しい結末に落ち着いたと思う。

著者プロフィール

神奈川県生まれ。東京大学在学中の2014年、「夢のトビラは泉の中に」で、第13回『このミステリーがすごい！』大賞《優秀賞》を受賞。15年、同作を改題した『いなくなった私へ』でデビュー。21年、『十の輪をくぐる』で吉川英治文学新人賞候補、『トリカゴ』で大藪春彦賞受賞。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」