半暮刻

著者 :
  • 双葉社
4.04
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本棚登録 : 1346
感想 : 116
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575246810

感想・レビュー・書評

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  • 意識向上系のホストクラブで知り合った翔太と海斗はコンビで女性たちを捕まえては徹底的に搾り取る悪行を続け、ついには逮捕される。海斗たち多くのホストは起訴猶予を得るものの、翔太は逮捕され服役、そこまでが序盤で、その後の翔太と海斗の人生を描く。

    翔太の罪を背負いつつ前向きに生きようとする人生と、海斗の罪が分からず悪の海に沈んでいく人生の対比は面白いのだが…。

    ぶっちゃけて言うと、こういう小説は新堂冬樹が描いていれば十分で、月村氏にはこういうのじゃなく、缶コーヒー好きのおっさんやらが竜騎兵に乗って世界を股に戦う物語の続編を書いてほしいのだが。ウクライナやガザ…今こそ機龍のタイミングやと思うぞ!

  • 3.5くらい

    面白くは読めた。

    翔太と海斗の二人の主人公
    風俗への売りとばし、半グレ、ヤクザ等、アングラな話から展開され、

    逮捕された翔太、起訴さえされなかった海斗のその後の話で展開されていく。

    海斗の就職先、アドルーラーは完全に電通やなぁ。実際もこうなんだろうなぁと思った。
    パワハラ、セクハラ、モラハラオンパレード。
    「産まれた子の名前も知らない」海斗のこのシーンは絶望の瞬間やったなぁ。

    もうちょっと二人の物語が交錯していく展開を期待していたが残念

  • 2人の若者が異なる道を歩む後半から胸が悪くなるような展開になっていく。

    しかも、その内容が、どこかで聞いたような、ニュースやワイドショーで見たような話ばかりで、そこがまた気持ちを暗くさせる。

  • 白黒はっきりしてよ!
    っていうけれど…グレーが1番人間らしくて、ずるくて屑なのだ。

    翔太と海斗。
    カタラグループで出会い、同じ目的で 同じ時間を過ごしたけれど、2人の未来は全く違う道を行く。
    変わっていく翔太と、変わらない海斗。
    実際にありそうなフィクションで…分厚いけれど、のめり込んでしまいました。

    最後の交われない会話も良かったな。

  • 面白く一気読みしました。
    生まれの境遇により縛られる環境や処遇が明らかにあるのにも関わらず全て自己責任を問う寛容さのない社会にも一石を投じる、作者の実力に感嘆しました。
    作者の作品はいくつか読んでいますがいづれも期待を超えて面白く今後も楽しみです。

  • 初めての作家さん。一気読み。今の社会問題をうまく取り込んでいる。とことんダークになるのかなという予想を裏切り、モーパッサンの小説なんか出てきたり。脂肪の塊は読みたくなり、ネットで注文してしまった。

  •  週刊大衆連載の悪漢小説。ヤクザ、半グレの抗争劇かと思ったけど、焦点がちょっと違って、主人公は向上心が強い大学生。ホストクラブの人気トップになり、女の子を借金漬けにして、風俗送りにし、のちに店が摘発されるもうまくすり抜け、業界トップの広告会社(電通がモデル)に就職する。そこでも出世のために、上にはゴマすり、下にはパワハラ、頭が切れるので半グレも利用して、若手の筆頭株に。しかし世の中そんなに甘くない。やがて転落。ヤクザにヤクザよりたちが悪いと呆れられる。結果的に法の裁きは受けないんだけど、こういう悪人、確かに増えてるわ、といたく納得するストーリー。

  • ひどかった

  • 堅気とヤクザの中間であるグレーな存在「半グレ」は、堅気の世界で悪行をしても法律で取り締まることができない分、邪悪な存在であると語る本書。

    裏と表の世界で暗躍する半グレの存在を、ホスト、電通、東京オリンピックなど、時事ネタを絡めながら、浮き彫りにしていく。

    ノンフィクションと見紛うほど迫力があった。ボリュームはあるが、大変読みやすく、ガッツリハマって予想外に一気読みしてしまった。

  • どこかで見たような、どこかで聞いたような、今もこれからも、同じようなことがどこかで起こっているのだろうなと思わせる物語。二人の主人公は対照的。育ちや学歴と人間性は相容れない。真の邪悪を体現するような人物は、育ちもよく学歴も高い。どこまでも自分の学びは独善的で自己愛を追求するのみ。しかし人間の本質とはまさにこれかもしれない。コンラッドの闇の奥、ルシア・ベルリンの掃除婦のための手引き書、読んでみよう。

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著者プロフィール

1963年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒。2010年『機龍警察』で小説家デビュー。12年『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞、13年『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞、15年『コルトM1851残月』で第17回大藪春彦賞、『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞、19年『欺す衆生』で第10回山田風太郎賞を受賞。近著に『暗鬼夜行』『奈落で踊れ』『白日』『非弁護人』『機龍警察 白骨街道』などがある。

「2021年 『ビタートラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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