晩鐘(中) (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575517804

感想・レビュー・書評

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  • 殺人事件の被害者、加害者の家族の7年後が描かれている。
    長崎の祖父母に預けられていた大輔が
    東京の、「伯母ちゃん」のところで住むことになり。
    24才になった真裕子は、好きでもなかった会社の同僚と、不倫に陥り。

    間で、東京に戻った記者の建部が
    二人を再び追っていく。
    なぜか、加害者と被害者の家族は、何かで繋がれているのか。
    偶然が重なる。
    そのキッカケが、わりと建部。
    けれど、その建部によって事件後からのことを吐き出すことで救われ、俯瞰した見方を出来るようになれた真裕子。
    相変わらず、殺人者の息子であることは知らない大輔だけれど、どこか計算高い中に
    どこか小学生にしては、ませすぎている女好きに
    父親の血?と思わせる描写が恐ろしい。
    この子は、どんな大人になっちゃうんだろう。
    誰から本当のことを知らされるんだろう。
    真裕子の家族との関係にも新たな変化が起きて
    真裕子は今までにない感情と愛情を知ることになる。
    さあ、いよいよ最後の下巻。
    終わってしまうのが悲しいくらいに、夢中。

  • 感想は下で

  • 風紋から7年後、加害者と被害者の家族のその後を描いた名作。
    母を殺された真裕子。新聞記者・建部。父が殺人者となった大輔。それぞれの人生は途方もない道筋を辿っていく。
     レビューをわけていない為、3冊通した後の感想をわけて掲載する。
    被害者(真裕子)の家族は少しずつ日常を取り戻している。が、主人公はどこか心が壊れてしまい、母親の死の現実を乗り越えられないでいる。
    父親や姉はそれぞれパートナーをみつけ、新しい人生をスタートさせている。彼らの心理描写は余り描かれないが、真裕子と同じ様にうちひしがれ乗り越えられたのだと思いたい。
     主人公の母親が殺害された事実を知る記者(建部)との会合が主人公の人生を大きく変化させ、導いていく。相談できるのは、彼女がどの様な人生を歩んだかを理解している建部だけというのは皮肉だとおもったが。
     こちらには救いがある様に感じ、ようやく前作から前に進む事ができる。

  • 真裕子には幸せになって欲しい、という思いで読み進めているけれど、加害者の実の息子大輔がいつか罪を犯してしまいそうで、常にハラハラして読んでいる。大輔は性格悪すぎる。真裕子と関わらないで生きていってほしい。…と思った中巻。

  • 真裕子がクソ過ぎてイライラする。
    このイライラは流浪の月の主人公に感じたものと同類。

    自分はの特別な出来事があって可哀想な人間

    みんな自分勝手でわかってくれない

    だから人間が嫌い

    そのくせ人間をとことん利用して寂しさを埋める
    友人の不幸を喜び、元彼にはストーカー、好きでも無い男とは不倫
    そのくせ、男にはか弱い繊細ぶりっ子系
    クソすぎてイライラ


    人間が嫌いってどの口が…
    自分が一番その嫌われるような人間性やんー!

    上巻では家族とのやり取りが多かったからか?

    風紋の時より家族に言い返したり、意見を言えるようになっていて『お!人間らしくなってる!』と思ったのに。

    けど、真裕子の父親のクズっぷりは本当前回同様変化なし。
    そりゃこんな親なら娘も自己中になるわ。

    真裕子ターンには腹立つものの、他のターンが面白いので読みつづけられる。

  • 被害者遺族だった真裕子が少しずつ幸せへと向かう中、
    加害者の家族はどんどん不幸の方へと向かっていく。
    結果、主婦殺しの高校教師は、
    その息子の姿を持って己の罪深さを、心底悔いるのだが、
    それは何ともつらい結末でした。

    加害者家族も、被害者家族も、
    どちらの家族もある意味、事件の被害者であり、
    それはどこまでも、どこまでも、死ぬまで苦しめるという事を、
    改めて感じた作品でした。

    心の繊細な動きの描写は、
    さすが乃南アサさんと言う感じでした。

  • 何も期待しないこと。

    信じるから裏切られる。大切にしたいと思うと、消え去ってしまう。

  • Rさまオススメ本。上中下の中巻。
    超ネタバレ。スマホからはネタバレ注意機能が使えなくて困る。

    とにかく真裕子が不毛な不倫を精算してくれて良かった。
    けど、大輔はヤバい。あかんやつやってしまいましたね。
    やはり母親の元に行ってしまったことが悪かったのでしょうか。
    小学5年だと思うとまったく想像もつかないし、やりきれない。

    最終巻の下巻で少しでも希望は見いだせるのか?
    期待して読み進めてみたいと思います。

  • 真裕子の実家では、父は子連れの女性と再婚。その義母となる女性と父との間には、真裕子にとっては年の離れた妹がやどる。長姉は、すでに結婚し、2人目の子供が同じくお腹にやどった。一方、真裕子はといえば、母の殺害から立ち直れず、母が殺害された当時の父や長姉を許せず、しかし淋しさを埋めるだけの生活に身をやつしている。
    他方、殺人者の子供の大輔は、長崎を離れ、叔母と称する実母と東京で暮らし始めた。

  • 2016/10/1 読了。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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