- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575521122
作品紹介・あらすじ
熾烈な労働争議が続く「本多銃砲火薬店」の工場に勤務する、花城佐紀子の姉・由記子が、遺書を遺して失踪した。社長の一人息子の本多昭一と心中するという。失踪から二日後、昭一の遺体は発見されたが、由記子の行方はわからない。殺人犯として指名手配を受けた姉を追い、由記子の同僚でもある恋人の豊島とともに佐紀子は必死の捜索を続けるが、工場でさらなる事件が起こる。第14回日本推理作家協会賞を受賞した傑作長編ミステリー。
感想・レビュー・書評
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笹沢左保『人喰い』双葉文庫。
第14回日本推理作家協会賞受賞作。1960年の作品というだけに流石に時代を感じるが、大昔のサスペンスドラマのような展開はなかなか面白い。だが、終盤の些か焦ったような結末への展開が勿体無いし、真犯人と対峙した主人公の花城佐紀子が真犯人をもっと徹底的に奈落の底に突き落とした方が面白かったかも知れない。
物語は姉の花城由記子が妹の佐紀子に宛てた遺書の内容から始まる。
ワンマン社長の遣りたい放題で熾烈な労働争議の渦中にある本多銃砲火薬店に勤務する花城由記子は、社長の一人息子の本多昭一と心中するという遺書を残して失踪する。由記子と昭一との結婚を快く思っていない本多社長の妻が二人の結婚を妨害していたのだ。
由記子の失踪から2日後、昭一の遺体は発見されたが、由記子の行方は判らず、殺人犯として指名手配を受ける。由記子の妹の佐紀子は同僚で恋人の豊島宗和と共に姉の捜索を続ける。
その後、本多銃砲火薬店の火薬庫で爆発事故が発生し、本多社長の妻が死亡。さらには本多社長自身も何者かに殺害され、花城由記子の立場はますます危うくなる。そもそも由記子は生きているのか、生き延びて本多家に復讐を行っているのか……
本体価格611円(古本100円)
★★★★詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久しぶりに懐かしいミステリー小説を読んだ気になった。普通に面白いと思う。解明のダメ出しの嵐に唸る!途中で犯人がわかったけど、どう主人公が解明して行くのか興味があって面白く読めた!
テレビでやってそうなミステリーでした! -
これから心中することを告白する手紙を残して蒸発した姉。しかし、遺体で見つかったのは相手の男性のみだった。その後、姉の影がちらつく連続殺人が起きる。割と王道なミステリも、昭和50年代ごろの時代風景が読み慣れたミステリと少し違う風合いになっています。
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内容も文体も時代を感じさせるものだった。7万円の金銭価値が不明でどう読み取っていいやら。ちょっと帯は大袈裟だったな。
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既に初出から60年近くが経つ、笹沢佐保氏の初期の傑作が復刊ということで、温故知新。
プロット的には当然、今のミステリーを読み慣れている人には物足りないだろうが、まさに高度経済成長期真っ只中、日本が元気だった昭和30年代の空気が存分に感じられる。
そして松本清張氏がこの少し前からその名を轟かせていたということも併せて考えるとより興味深い。 -
内容は面白かったけど、時代背景と話し言葉が合わなくて読むのに苦労した。
トリックは面白かったと思う。 -
予想外のとこもあってよいが、ちょっと読み難い部分もあったかな?
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2023/7/5
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辛い結末。2時間ドラマのような展開。