- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575524703
作品紹介・あらすじ
夏目漱石、江戸川乱歩に続く、〈文豪怪奇コレクション〉の第三弾。漱石に学び、芥川龍之介と親交を結び、三島由紀夫らにより絶讃された、天性の文人・内田百鬼園。日本語の粋を極めたその文学世界は、幻想文学の一極北として、今もなお多くの読者を魅了してやまない。史上最恐の怪談作家が遺した、いちばん怖い話のアンソロジー。幽暗な魅力にあふれる百閒幻想文学の作品が満載の一冊。
感想・レビュー・書評
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夢幻、怪奇譚など15編集めた短編集。全編にわたって重く淀んだ不穏な霧に包まれているかのよう。序盤の「とおぼえ」「映像」「サラサーテの盤」からぞっとするような恐怖を味わいました。作中には坂道、雨、風、といったものが多く登場しており、雨や風は身近な気象現象でありながら、百間が書くと異様に不気味な現象に思われて、恐怖感を煽る。坂道というのも、上り坂は向こう側が上らなければ何があるか見通せない、という意味で不穏だ。どの作品も絶品だが1番怖かったのは夜な夜な自分の顔が覗きにくる「映像」。
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今までいろいろ怪談モノ読んできましたが、この本が一番読んでる最中にゾワゾワとしてくると言いますか、読者のメンタルが不安定になっていくような恐怖を感じさせてくれて、とても面白かった。
目が覚めた後に振り返ると理論の展開がおかしいことに気づく夢物語と言えばいいか……夢を見ている最中は変な展開になってもそれが「正常」として進んでいく奇妙さ。その世界の中に素面で放り込まれたような恐怖感――といった感じで。描かれてる世界が、現実なのか夢日記なのかわからない不穏さがたまらなくツボでした。 -
何とも説明のつかないような不思議、怖い話のアンソロジー。
芥川龍之介の話は、「怖い」ではないような…。
「哀愁」の方か?
「阿房列車」は不思議な話ではあるが、やっぱり「阿房列車らしさ」があって、なんだかくすっと笑える感じがある。 -
不穏で不安で悪夢のような短編が幾つもおさめられている。文章が端正でとても好き。天気の表現だけで不穏さを醸し出せるところが凄いと思う。とおぼえ、サラサーテの盤、昇天、枇杷の葉が特に好きだった。
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一番最初の「とおぼえ」を読んだときに、ぞくぞくと肌がひりつくような世界観に一気に引き込まれた。
特に好きだったのは「映像」。狂気が滲む不気味なラストは、いっそ美しいのかもしれない。 -
正直話の意味はわからんよ、全然。でも、うっかり仰向けで寝てしまってうなされて目が覚めて、目が覚めたことに気づくまでの不安定で重くてとらえきれない感覚が、理性働いてる端正な文章で立ち上ってくるところが、まともじゃなくて好き。映像とゆうべの雲は普通に怖いよ…