俺はこのままひとりぼっちで、いつかおかしくなってしまうんだろうか (双葉文庫 み 31-05)

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  • 双葉社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575527469

感想・レビュー・書評

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  • このどん詰まり感。
    人生にはいわゆる「王道」があって、そこから逸れた人生って、不安すぎて、何か揺るぎないものにつかまりたくなるんだろう。
    同じ境遇にいるわけじゃなくても、この耐え難い焦燥はめちゃめちゃわかる…!

    人生に、ものすごい幸運が舞い込んで一発逆転!なんて、ほとんどない気がする。
    なのに、今まで通り暮らせなくなってしまうようなトラブルは、わりとある気がする。
    破滅に向かうのが人の定めなのか…?

    4人の主人公たち、愚痴りたくなる状況なのはわかるけど、みんな我が身かわいさが過ぎるなと思いつつ、でも誰にとっても自分が主人公なんだから当たり前かと思い直す。
    一発逆転が叶わなくても、自分を大事にして、少しでも幸せを見つけながら生きていけたら。
    自分を大切にすることと、人を大切にすることは、ほんとはほとんど同じなのかもしれない。
    小さな希望が灯ったような気がしました。

  • 非常に面白かったです!!
    私自身は登場人物の年齢になるまでまだちょっとあるけど、おそらく一瞬でその年齢に達するので、身につまされる思いでした。

    相対的に見れば恵まれた立場にいるのに(特に一番(?)の主人公であるコンビニ店長がそうかな)、どうしても他人と比べてしまって不幸を感じてしまう。
    羨んじゃいけないのについつい羨んでしまったり。

    この本ですごくよかったところは、それぞれの登場人物たちが、最終的には前を向くところ。
    前を向くまでに至る経緯がすごく人間臭くて、自分の醜さに目をそらしたくなるけど、いちいち同感してしまって。過去の出来事にひきづられて、「ああすればよかった」「こうすれば今はもっと違ったはず」と後ろ向きに考えちゃうあたりは首がもげそうになるほど頷きながら読みました。

    世間はGW。
    長期休みに、自分を見つめ直すような本を読めてよかったなと思います。明日から腰を据えて将来のこと色々考えようと思いました!

  • 中年独身者の悲哀を上手く描けていて、文章も読みやすくあっという間に読了。
    メインの男女4人の登場人物が同じくらいの年齢で、就職氷河期だったり、共感するポイントが沢山あり、ネトフリの『First Love 初恋』みたいにキラキラした感じではないけど、時代背景と共に生きてきた登場人物達と自分を重ねてしまった。

  • 4人の男女の視点で恋愛、結婚、子供、孤独、寂しさ、不器用さ…が描かれていました。
    「まだ若いから」「本気出せば…」って会話が増えてるのは事実。そんな「若さと時間」を盾にしても、孤独や寂しさを無視できない、そんな感情が身に迫る…
    登場する4人の男女は全員不器用だが、そんな人間の生きざまや、つながりを丁寧に描いた本で、30歳40歳…50歳になっても読みたいと思いました。
    最後の一文が『俺はこのままひとりぼっちで、いつかおかしくなってしまうんだろうか』に対する答えな気がして、その一文を2回読んだ…

  • 面白かった!今日、勉強したかったのに、つい最後まで読んでしまった。
    生涯、独身でいることは決して不幸じゃない。結婚している人だって、なんだかんや色々それぞれある。おじいちゃん、おばあちゃんになった時の不安は確かにあるけれど、寂しく思うときもあるとおもうけど、周りと助け合いながら自分を1番に考えて自分のために自分らしく生きていく。案外、理想の生き方かもしれない。

  • 登場人物たちと同年代で、私自身も独身で子供もいない。
    パートナーはいるけれど、一緒に生活してるわけじゃないので他人だし。
    ちゃんと生きて来たはずなのに、なんか思い描いていた人生と違って悩んだりイラついたりしながらもそれなりに楽しく暮らしている。
    でもふとした時に飲み込まれる恐怖とか不安とか、わかるなーと思いながら読んでた。
    装丁のコミカルさからは想像していなかったくらいズーンっと重く響く読後感。
    自分の姿のようでズキッとくる場面も多いけど、頑張って1人で生きていこうと、ちょっと勇気ももらえる本でした。

  • 独身に限らず既婚の人も起こり得る出来事がたくさん出てきます。
    面白いだけでなく少しリアルで、4人の登場人物の心情に共感する場面も多かったです。
    人に頼るのではなく、今から積極的に自分の人生を楽しむことが老後の備えかなと読みながら考えました。

  • 皆んな色々なものを抱えながら頑張って生きてるんだよね‥と、しみじみ。
    主な登場人物は4人。それぞれの人生の悲哀がほろ苦く、重くなりそうな内容ではあるものの、所々にユーモアがあり暗さはない。
    独り身の孤独や不安はあっても、こんな仲間がいるのはいいな。
    文章も読みやすくて面白かった。

  • 登場人物と年齢も離れてるし、共通点もあまりなかったけど、
    それが逆に普段話を聞く事ができない人達の心の中を少しのぞけてるみたいで勉強になった
    50代は少し先のことだけど、それまでにどんな自分になりたいか、どんな幸せを形を選びたいか、考えていけるようなきっかけになった気がする!

  • 昭和の終盤から平成の終わり頃までのなんとなくこういうものというのは夢まぼろしだった
    登場人物達が幼少期を過ごした期間はもろに幸せの形が定義されそうあるべきと全方向から刷り込まれた時期
    幸せは、そうなるもの、当たり前のもの、誰でもなっていいもの

    しかし令和の今
    どうやら当時の『幸せ』は実現不可能だし、誰かの不幸の元に成り立つものであったりしたようだ

    頭にこびりついている普通や常識は全て旧世代のもの
    ○○らしくは当時の要請で、個人に当てはめると無理が生じる。無理を無視し周囲の犠牲に関心のない人が社会的な成功をおさめ得るのは社会が旧世代のままだから

    生まれてからの40年に身につけたもの、学んだもの、それがほぼ全否定された中で、旧世代の後始末をしながらこの先数十年どうやって生きていけば良いのか。これまでの40年は全て無駄だったのか

    幸せの反対が不幸だなんて考えたら苦しい
    ただ人間の一生があるだけ

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