はぐれ又兵衛例繰控【二】鯖断ち (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575670271

作品紹介・あらすじ

金貸しの老婆殺しの濡れ衣を着せられた長元坊。孤立無援の又兵衛は友を救うべく江戸市中を駆けまわる。つれあいになった静香の機転も得て、殺しの真相に迫っていくものの、目の前には公正な裁きを阻む強固な壁がたちはだかる。小伝馬町の牢屋敷送りとなった友に待ち受けるのは土壇送りの運命。はたして、又兵衛は長元坊を救えるのか――。令和最強の新シリーズ、注目の第二弾!

感想・レビュー・書評

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  • 鯖断ち ― はぐれ又兵衛例繰控シリーズの2作目 
    2020.11発行。字の大きさは…中。
    赦免船、櫛侍の本懐、鯖断ちの3話。

    南町奉行所例繰方与力で香取神道流を極めた剣客・平手又兵衛の活躍を描いた物語です。

    【赦免船】
    人別調掛の与力に頼まれて柾木稲荷のそばにある桟橋に御赦免船を迎えに行った又兵衛は、恩赦になった罪人のなかに、亡き父が大切にしていた黒い井戸茶碗を焼き接ぎで見ごとに継いでくれた庄吉を見いだす。庄吉は、14年前に、弟・庄次郎の罪を被り遠島になり、此度、御赦免になって帰って来る。その庄次郎が、頭を殴られ殺されたと知った又兵衛は、悪事を暴くために動き出すと……。
    14年ぶりに会う庄吉の妻・おれんがいい味を出しています。別れていても心は、繋がっています(涙)

    【櫛侍の本懐】
    又兵衛は、内与力の沢尻玄蕃から櫛の囲い荷の疑いがある、櫛屋木曾屋与右衛門の探索を命じられる。木曾屋は、櫛の囲い荷で値を吊り上げ不当に儲けを得ており。又兵衛は、証拠となる隠し蔵を発見するが。動かない沢尻に業を煮やし……。そんなおり木曾屋と結託している岸和田藩勘定方重臣・小野寺左京を仇と狙う稲美徹之進が動き出す。稲美が、小野寺に襲い掛かったが……。
    稲美と小野寺の確執を聞いていると、あまりのひどさに憤りを覚えます(怒)

    【鯖断ち】
    又兵衛の幼馴染みで元破戒坊主の鍼医師長元坊が、金貸しの因業婆おとら殺しの疑いで北町奉行所隠密廻り同心真崎銑十郎に捕まった。それは、おとら婆さんの孫おはちが、きょうは、鍼治療の日だから長元坊しか来客はないと言ったのが決め手となった。南町の例繰方の又兵衛が探索していると、南町の中から妨害が入るが、幼馴染で無二の親友長元坊のために探索すると、意外な事実が……。
    読んでいると又兵衛の必死が伝わり、肩に力が入って来ます(頑張れ又兵衛!)

    【読後】
    又兵衛は、美しい静香を妻に娶ったと思ったら、まだらボケした三番叟の翁面をかぶった老爺のように笑っている静香の父・都築主税とその妻・亀が、静香と一緒についてきます。又兵衛は、大変な事になったと思ったが、追い出すわけにもいかず……困っています。
    こういうのは、大変困りますし、面白い設定ですが。
    私は、又兵衛と静香の二人の新婚生活を書いてほしかったです。

    【豆知識】
    「例繰方」とは、江戸時代、町奉行所の一分課。判例を整理し判決録の保存を主任務とし、また、必要な場合には先例の調査にも当たった。南北町奉行とも各与力二人、同心六人。←コトバンク

    【著者紹介】
    坂岡 真(さかおか しん、1961年 - )は、日本の作家。
    新潟県生まれ。早稲田大学卒業。デヴェロッパー企業で11年働き、退社後、作家となり、時代考証の詳しい時代小説を書く。「鬼役」「照れ降れ長屋風聞帖」「うぽっぽ同心」などのシリーズがある。 別名に矢矧 零士。←Wikipedia
    2021.03.28読了

    ※シリーズの感想と読了日
    駆込み女 ― はぐれ又兵衛例繰控シリーズの1作目 2021.02.18読了
    https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4575670200

  • シリーズ2作目。相変わらず問題が起きても動かない上司達。前作からお奉行になんとか認められるかと思ったが、お奉行からも勝手に動く事を諌められた。唯一の協力者の幼馴染が殺人の濡れ衣を着せられて、危ういところまでいってしまった。融通の利かないのは日本の警察やお役所と同じかも知れない。
    美人だけが取り柄と思われた妻の静香だが、小太刀や謎解きに優れていることが分かり、幼馴染の救出にも多少の手伝いができている。これからはこの力も借りられそう。

  • 2020年11月双葉文庫刊。書き下ろし。シリーズ2作目。赦免船、櫛侍の本懐、鯖断ち、の3つの連作短編。はぐれと揶揄される例繰方与力平手又兵衛の繰り出す香取神道流の正義の刃は、坂岡さんお得意の展開。幼なじみの鍼医者の長元坊等、登場人物も面白いが、2作目にしてすでに、マンネリ感あり。例繰方という設定が、まだ生きてない?。

  • こっそり事件を解決しても周囲にはバレないもの?

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著者プロフィール

坂岡真
一九六一年、新潟県生まれ。十一年の会社勤めを経て文筆の世界へ入る。江戸の情緒と人情の機微、そして花鳥風月を醸し出す筆致で、多くの読者を魅了している。主なシリーズに「鬼役」「鬼役伝」「帳尻屋始末」「帳尻屋仕置」「照れ降れ長屋風聞帖」「はぐれ又兵衛例繰控」「死ぬがよく候」「人情江戸飛脚」などがある。

「2023年 『うぽっぽ同心終活指南(一)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

坂岡真の作品

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