はぐれ又兵衛例繰控【四】-密命にあらず (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 72
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575670813

作品紹介・あらすじ

静香というよき伴侶とともに初めて迎えた正月、又兵衛の屋敷に鳥追の女が現れた。おつたと名乗るその女は無理心中の生き残りで、又兵衛の父又左衛門に命を救われたのだという。だが、それはすでに又左衛門が亡くなったあとの出来事で、困惑する又兵衛だが、この出会いをきっかけに、父の死の真相を知ることになる――。怒りに月代朱に染めて、許せぬ悪を影裁き。時代小説界の至宝、坂岡真が贈る、令和最強の時代シリーズ第四弾!

感想・レビュー・書評

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  • 南町奉行所例繰方与力で香取神道流を極めた剣客・平手又兵衛の活躍を描いた物語です。
    例繰方とは、江戸時代、町奉行所の一部課で。判例を整理し判決録の保存を主任務とし、また、必要な場合には先例の調査にも当たった。

    【釣り鐘小僧】
    旗本仕置掛奥祐筆・城崎大膳は、満光寺の住職で法印・浄雲と謀り寺の撞き鐘を盗み古銅吹所へ持ち込み溶かして銭貨に変える。そのため浄雲は、町奉行所の古銅吹所見廻り与力の渡辺半太夫と古銅吹所の役人と組む。その仕組みを調べた又兵衛が悪を成敗する。
    「仕置掛奥祐筆」とは、奉行代官等は専決できる刑罰の範囲が定まっており、これを超える事件や、決しがたい事件は支配系統に従って上司に御仕置伺を出す。伺は究極的には老中の裁断となり、老中が指図を下したが、これを実際に取り扱うのは仕置掛奥右筆であった。さらに老中は必要な場合には評定所一座に諮問して参考意見を求める等、刑罰決定の手続は重要な施政として慎重をきわめた。
    【密命にあらず】
    例繰方の又兵衛に対して評定所留役・和久田織之介から偽人参の探索を命じる密命が下される。調べて行くと香具師の「真砂の徹蔵」にぶつかる。そこには姿を変えた元首斬り役の牢屋同心・塚本彦松が用心棒として潜伏していた。塚本の助けを借りて日本橋本町三丁目の薬種問屋・能見屋藤右衛門が抜け荷をやっているのを見つけ、証拠の品を奉行所に出し捕り方の出役を要請するが。
    勘定奉行・守山豊後守と和久田が捕り方をださない。そのころ塚本の土座衛門が上がる。それを見た又兵衛が、真砂の徹蔵を捕縛すると能見屋の用心棒で唐人の刺客・龍舜が、徹蔵を千枚通しで串刺しのように殺す。能見屋を捕縛する方法を模索する又兵衛に……。
    【父の執念】
    能見屋の抜け荷には、対馬藩中老梶谷将監が係わっている事実を又兵衛の亡くなった父平手又左衛門の部下の吟味方同心櫛渕平九郎がつかみ、その証拠として能見屋の裏帳簿を入手する。幕府側の黒幕は、偽人参の探索を命じてきた評定所留役・和久田織之介の上司で勘定奉行・守山豊後守であった。全ての始末を終わらした又兵衛は……。

    【読後】
    展開が早く、最後は又兵衛の剣が全てを始末する。痛快です。

    密命にあらず ー はぐれ又兵衛例繰控シリーズの4作目
    2021.11発行。字の大きさは…中。2022.01.22~23読了。★★★☆☆
    釣り鐘小僧、密命にあらず、父の執念、の短編3話。
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    【バックナンバー】
    はぐれ又兵衛例繰控シリーズのバックナンバーは、私の本棚より「タグ」→「タグの一覧を絞り込む」に「坂岡真」と入力。または、その中から坂岡真を探してください。そうすると著者坂岡真さんの本が一覧表示されます。私は、本を登録するときには、著者名と登録した年(2022)で登録しています。冊数が多いシリーズ本については、シリーズ名でも登録もします。

  • シリーズ四作目となり、はぐれものながら徐々に奉行所内でも助ける人々が増えて来ている。1章は釣鐘泥棒となった兄弟を助ける人情話。2、3章は続き物で、11年前に切られて亡くなった父親の仇討ちもの。偽人参事件で評定所からの密命を受け、嫌々取り掛かるが、それが父親の死の真相に繋がってゆく。裏から操っていた大物にたどり着くが、それは父親を切った犯人では無く、更に大物の犯人がいた。仇討ちが成就したら、このシリーズは続くのだろうか?

  • 2021年11月双葉文庫刊。書き下ろし。シリーズ4作目。釣り鐘小僧、密命にあらず、父の執念、の3つの連作短編。父の死に隠された謎を解決する「密命にあらず」、「父の執念」の2篇が圧巻。この巻まで続いたワンパターンの話は、この2篇を盛上げるための布石だった!(にしては長すぎるが)…。香取神道流の又兵衛が和泉守兼定で悪を成敗するくだりが楽しい。

  • はぐれさんも、穏やかになってきたのですね。

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著者プロフィール

坂岡真
一九六一年、新潟県生まれ。十一年の会社勤めを経て文筆の世界へ入る。江戸の情緒と人情の機微、そして花鳥風月を醸し出す筆致で、多くの読者を魅了している。主なシリーズに「鬼役」「鬼役伝」「帳尻屋始末」「帳尻屋仕置」「照れ降れ長屋風聞帖」「はぐれ又兵衛例繰控」「死ぬがよく候」「人情江戸飛脚」などがある。

「2023年 『うぽっぽ同心終活指南(一)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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