北の御番所 反骨日録【三】-蟬時雨 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
3.57
  • (2)
  • (5)
  • (6)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 52
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575670868

作品紹介・あらすじ

怪我で静養中の来合轟次郎に代わって、定町廻りのお役を勤めることになった裄沢広二郎。慣れない市中見廻りに足を棒にする日々が始まった。そんな折り、深川入船町でお上の御用を勤めていると言う亥太郎が、手札を頂戴したいと裄沢に声をかけてきた。強引で太々しい亥太郎に警戒心を抱いた裄沢は……。人気シリーズ第3弾。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 頑固ではあるが、真っ直ぐな気性の北町奉行所の用部屋手附同心・裄沢(ゆきさわ)広二郎が、友の怪我の間だけ代役として定町廻り同心として活躍する物語です。

    【着任挨拶】
    定町廻り同心の来合が、怪我で休んでいる間の代役として用部屋手附同心から定町廻り同心に抜擢になった裄沢であったが。その裄沢を脅して自分の意のままに動かそうと考える破落戸の亥太郎が、裄沢の前にあらわれる。
    ーーー 慣れない定廻りを拝命した裄沢が、亥太郎をどう捌くか……。
    【畑の死人】
    地主の息子・正治が畑で殺された。町廻りをしている裄沢の世話をしている老練な臨時廻りの室町が、探索するが見通しが立たない。そんな時に裄沢に恩を返したいと働く元小者頭をしていた三吉が手がかりをつかんでくる。裄沢は、初めて手札を三吉に渡す。
    ーーー もしかして裄沢は、このまま廻り方に留まるのかと思われるような展開になって行っています。さて正治殺しの犯人は……。
    【怪盗】
    深川の材木問屋「但馬屋」の金蔵が破られて千両箱が盗まれます。裄沢が犯人と目星をつけて、同僚の佐久間に知らせた3日後に、20人からの軽業一座のうち15人が姿を消した。その頭目と思える座頭が、今後の仕事の邪魔になる裄沢に大怪我をさせようと裄沢の前に現れます。
    ーーー 裄沢のものの見方が、他の同心と違い、的確に犯人に迫ります。それを恐れた盗賊一味の頭目が裄沢を襲おうとしますが……。
    【蝉時雨】
    錦堂の若旦那・治吉が亡くなった。奉公人の清二が好きな女・お初を守るために手を出した。現代でいう所の過失致死であるが。江戸時代では、奉公人が主家の親族に手を出したら斬首です。そこで裄沢が、独断で清二とお初を逃がし店から罪人を出さないようにはからうが。この動きを事前に利用して裄沢を陥れようと奉行所内で動く与力、同心がいる。
    ーーー 北町奉行所町火消人足改与力・寺本槐太(かいた)は、内与力の古藤、定町廻り同心・佐久間たちを味方につけて裄沢を失脚させようと謀りますが。どうなるか……。

    【読後】
    第2作目を読んでいなくて3作目が先に来たので、2作目を来るのを待っていたのですが、返却期限が近づいたのでやむなく読む事としました。そのため来合がなぜ怪我をしたのか、裄沢が前作でどのような動きをしたのかが分からず少し困っています。裄沢の爽やかさと潔さが、随所にあらわれています。次作が気になると同時に、前作が早く図書館から来ないかと思っています。

    蝉時雨 ー 北の御番所 反骨日録シリーズの3作目
    2021.12発行。字の大きさは…中。2022.02.12~14読了。★★★☆☆
    着任挨拶、畑の死人、怪盗、蝉時雨、の短編4話。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    【豆知識】
    「用部屋手附同心」御用部屋は、現代的な言い方をすれば町奉行所の執務室です。その御用部屋では、奉行の秘書官である内与力とその下僚である用部屋手附同心、合わせて10人以上が同じ部屋で仕事をしています。用部屋手附同心の主な仕事は、町奉行の仕事ほぼすべてに関わる内与力の補佐として、各種文書の草案作成や案件の下調べを行うことなどです。
    ※北の御番所 反骨日録シリーズの1作目より

  • 【収録作品】着任挨拶/畑の死人/ 怪盗/ 蟬時雨

    裄沢は、来合が怪我をしたため、復帰するまでの間のつもりで、不本意ながら一時的に定町廻りをする羽目になった。
    一時的とはいえ、手は抜かない広二郎。
    有能さを見せるが、そのために、逃げた犯罪者と捕り逃がした同心それぞれから逆恨みされるのは迷惑な話だ。

  • やさぐれといわれ、浮いた裄沢だったが、奉行が変わり、少しづつその才覚が表立ち、妬み嫉みの的になってゆく。

    裄沢に自らの地位を奪われると危惧した輩が企て、落とし込もうと画策する。
    どこの職場でもありがちな男の嫉妬。
    どう切り抜けるか?うまく読み応えのある展開にしている。

  • やりおるのぉ

  • 142

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

1961年、宮城県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。学生時代は映画サークルでシナリオ作成に熱中、二十数年のサラリーマン生活を経験した後、2011年『返り忠兵衛 江戸見聞 春嵐立つ』(双葉社)でデビュー。「半四郎百鬼夜行」シリーズが「この時代小説がすごい!」(宝島社)文庫書き下ろし部門二年連続ランクイン! 新シリーズ「御家人無頼」も好評。確かな筆力と個性的な人物造形で目利き絶賛の時代小説作家。

「2017年 『素浪人半四郎百鬼夜行(拾遺) 追憶の翰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

芝村凉也の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×