北の御番所 反骨日録【五】-かどわかし (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575671254

作品紹介・あらすじ

北町奉行所用部屋手附同心の裄沢広二郎は、僅か半年ほどの間に敵対する与力を三人もお役から飛ばしたことで、同僚から気を遣われる存在となっていた。そんな中、日本橋本石町の呉服屋・鷲巣屋が裄沢の屋敷を訪れ、見世への出入りを求めてきた。裄沢はにべもなく断るも、鷲巣屋には何か思惑があり……。人気シリーズ第5弾。

感想・レビュー・書評

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  • 北町奉行所の用部屋手附同心・裄沢(ゆきさわ)広二郎の活躍の物語です。

    広二郎は、頑固ではあるが、真っ直ぐな気性である。広二郎は、怪我で休んでいた親友で定町廻り同心・来合轟次郎と南町奉行所の定橋掛与力・坂木勘之丞の娘・美也との祝言に、北町奉行が列席して祝言を行なうことに成功した。そして広二郎に敵対していた与力三人が僅か半年の間にお役から解任されたことで同僚から気遣われ、見知らぬ商人から付け届けが来る。

    【日々平穏】
    同僚から気遣われる広二郎の留守宅に日本橋本石町の呉服問屋・鷲巣屋が、小判入りの菓子折を置いていった。鷲巣屋金右衛門は、広二郎の評判を聞き近づいたが、菓子折を返され、取り付く島もなく拒絶された。あまりの事に怒りが湧いてきた金右衛門は、手代の梅吉に広二郎を・・・。

    【かどわかし】
    広二郎の隣の組屋敷の同心・関谷左京之進の娘・茜が拐されたが。広二郎の働きで無事に助け出した。広二郎は、拐しを仕組んだのは鷲巣屋だとにらんで隠密廻りの室町と協力して探索を開始すると。鷲巣屋の小僧など十人を除いて殺されていた。金右衛門は、首を吊っていた。この様子を見て広二郎は、鷲巣屋の背後には海賊がいて、町方に嗅ぎつかれたので始末したか・・・。

    【秋霜(しゅうそう)】
    新たに内与力になった唐家から広二郎は、来合の代わりに定町廻り方同心を拝命しいた時に使っていた小者・大松が行方不明になっている。広二郎に敵対していた定町廻り方同心の佐久間が関与しているかもしれないので探索を命じられる。佐久間が、土座衛門(溺死人)が江戸城の外堀の溜池に浮いているのを発見し、身元の確認もせずに無縁仏として処理した。広二郎は、土座衛門が大松ではないかと無縁仏を掘り起こすと。小者頭の善三が、大松であると強く言う様に不信を持った広二郎が、善三に問いただす。善三は、大松、佐久間への処罰がないことに焦り、己で大松を殺して佐久間に罪を着せようとした。その後、佐久間は役を引いた。

    【読後】
    裄沢広二郎が、来合の代わりに定廻り方同心として活躍ときに、悪辣な方法で邪魔をした与力三人と定町廻りから牢屋敷見廻りへ左遷された見延を含めて同心二人は処分されたが、町火消人足改与力の寺本はまだ残っている。テンポがよく、展開が早く、読むのが楽しい物語です。次回は、寺本が物語の中心になるのか、楽しみです。やはり時代劇は、勧善懲悪でないと面白くない。
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    かどわかし 北の御番所 反骨日録シリーズ5作目《文庫本》
    2022.08発行。字の大きさは…中。2023.03.19~20読了。★★★☆☆
    日々平穏、かどわかし、秋霜、の短編3話。
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    《北の御番所 反骨日録シリーズ一覧》
    06.冬の縁談
    05.かどわかし 2023.03.20読了
    04.狐祝言   2022.12.13読了
    03.蝉時雨   2022.02.14読了
    02.雷鳴    2022.02.20読了
    01.春の雪   2021.06.28読了
    「参考」
    ※参考は、私のメモ書きです。本の感想ではありません。
    用部屋手附同心、内与力。
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    「用部屋手附同心」御用部屋は、現代的な言い方をすれば町奉行所の執務室で、奉行の秘書官である内与力とその下僚である用部屋手附同心、合わせて10人以上が同じ部屋で仕事をしている。用部屋手附同心の主な仕事は、町奉行の仕事ほぼすべてに関わる内与力の補佐として、各種文書の草案作成や案件の下調べを行うことなどである。←北の御番所 反骨日録シリーズの1作目感想より抜粋。
    「内与力(うちよりき)」は、南町奉行・小田切土佐守に仕える家臣で、奉行所ではなく町奉行個人に所属する与力である。町奉行所は、役人である与力・同心が実質的に世襲で職を務めており、仕事に熟達した彼らが万端お膳立てをするため、新任の町奉行であっても問題なく業務を行なえた。しかし、役人たちは奉行所という「役所」の居付きの者であって、制度上の部下ではあるものの町奉行個人に附属しているわけではないため、奉行が業務から外れた仕事をさせようとしても「そのような前例は無い」として拒否された。そこで奉行の家臣を内与力として任命して使った。←北の御番所 反骨日録シリーズの4作目感想より抜粋。

  • 【収録作品】 日々平穏/かどわかし/秋霜

    荒事が苦手な広二郎の危機の切りぬけ方は知恵比べのよう。三下とはいえ聞く耳を持っていた相手でよかったね、ということではあるけれど。

  • ますますやさぐれが冴える第5巻!
    亡くなった娘といくらも違わない隣家のむすめ。

    やさぐれだけに、付き合いを避けられている気配がするが,その娘、茜。

    そんなおり、鷲巣屋という呉服屋から付き合いを願われる。
    初めから菓子折りに小判を隠し何やら裏が。
    胡散臭いのではねつけるが、禍根を持って茜をさらい、木津つけようと画策。

    後になって、どうも背後には海賊がいる大掛かりな組織ではないかと。

    騒ぎを大きくするわけにはいかない娘の事件だけに、細心の注意を払うのだが。

  • 何故いい人が割をくう

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著者プロフィール

1961年、宮城県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。学生時代は映画サークルでシナリオ作成に熱中、二十数年のサラリーマン生活を経験した後、2011年『返り忠兵衛 江戸見聞 春嵐立つ』(双葉社)でデビュー。「半四郎百鬼夜行」シリーズが「この時代小説がすごい!」(宝島社)文庫書き下ろし部門二年連続ランクイン! 新シリーズ「御家人無頼」も好評。確かな筆力と個性的な人物造形で目利き絶賛の時代小説作家。

「2017年 『素浪人半四郎百鬼夜行(拾遺) 追憶の翰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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