北の御番所 反骨日録【六】-冬の縁談 (双葉文庫 し 32-39)

著者 :
  • 双葉社
3.50
  • (1)
  • (5)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 38
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575671414

作品紹介・あらすじ

用部屋手附同心の裄沢広二郎の隣の屋敷に住む関谷家の娘・茜が拐かされた一件は、秘密裏に探索が進められていたが、その噂は奉行所内でも広まり始めていた。噂の流布に焦る茜の父は、強引に茜の縁談をとりまとめようと動き出すが、そこに浮気がもとで妻と離縁したばかりの四十男との縁談が持ち込まれーー。シリーズ第6弾。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 北町奉行所の用部屋手附同心・裄沢(ゆきさわ)広二郎の活躍の物語です。

    広二郎は、己の信念を貫くために、また、気に掛ける者を守るために頑固なまでに一徹を通しますが。そこには、先々までを見た温かい想いが潜んでいます。

    【年寄同心】
    奉行所内で重きをおく年寄同心の彦内に年寄同心詰所に呼び出された裄沢広二郎は、彦内を完膚なきまでに言い負かす。年寄同心といえども奉行所内で触ってはならないものがあることを知る。➡年寄同心を始めて知りました。

    【冬の縁談】
    拐された関谷茜は、拐されて悪評がたち家に閉じこもる日々を送っていた。その茜を心配して心を砕いていた裄沢の前に一人の若者が現れる。この若者、北町奉行所の吟味方与力である甲斐原家の嫡男・佑(たすく)が、茜に求婚した。➡茜の幸せは本当に良かった(^-^)

    【小日向心中】
    南町与力の三男坊・中屋小太郎15才と、元先手弓組の与力・村上白堂の妾・お菊16才が心中した。小太郎の父で南町奉行所の前の筆頭与力、中屋銑十郎が、小太郎の死に納得がいかず、その経緯を調べてほしいと甲斐原佑の父で北町与力・甲斐原之里を通じて裄沢に依頼してきた。➡裄沢が、白堂を謀にかけて聞きだします。これが凄いです(;´-`)

    【冬芽(とうが)】
    若手の見習同心四人が独自に盗人一味を捕縛しょうとした。その捕縛を助けるために定町廻り同心の来合轟次郎が活躍する。➡芽吹いたばかりの若者が頑張るのが清々しいです(^-^)

    【読後】
    字が大きくて、読みやすいです。やはり時代劇は、勧善懲悪でないと面白くないです。「小日向心中」では、村上白堂を罪に問えなかったことが心残りです。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    冬の縁談 ー 北の御番所 反骨日録シリーズ6作目《文庫本》
    2022.12発行。字の大きさは…中。2023.07.02~03読了。★★★★☆
    年寄同心、冬の縁談、小日向心中、冬芽、の短編4話。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    《北の御番所 反骨日録シリーズ一覧》
    06.冬の縁談  2023.07.03読了
    05.かどわかし 2023.03.20読了
    04.狐祝言   2022.12.13読了
    03.蝉時雨   2022.02.14読了
    02.雷鳴    2022.02.20読了
    01.春の雪   2021.06.28読了
    「参考」
    ※参考は、私のメモ書きです。本の感想ではありません。
    用部屋手附同心、内与力、年寄同心。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    「用部屋手附同心」御用部屋は、現代的な言い方をすれば町奉行所の執務室で、奉行の秘書官である内与力とその下僚である用部屋手附同心、合わせて10人以上が同じ部屋で仕事をしている。用部屋手附同心の主な仕事は、町奉行の仕事ほぼすべてに関わる内与力の補佐として、各種文書の草案作成や案件の下調べを行うことなどである。←シリーズ1作目感想より抜粋。
    「内与力」は、南町奉行・小田切土佐守に仕える家臣で、奉行所ではなく町奉行個人に所属する与力である。町奉行所は、役人である与力・同心が実質的に世襲で職を務めており、仕事に熟達した彼らが万端お膳立てをするため、新任の町奉行であっても問題なく業務を行なえた。しかし、役人たちは奉行所という「役所」の居付きの者であって、制度上の部下ではあるものの町奉行個人に附属しているわけではないため、奉行が業務から外れた仕事をさせようとしても「そのような前例は無い」として拒否された。そこで奉行の家臣を内与力として任命して使った。←シリーズ4作目感想より抜粋。
    「年寄同心」同心の階級は、年寄同心、物書同心、若(平)同心、見習同心の四つに分けることができます。同心もまた、勤務年数に応じて席順(序列)が定まっていました。年寄同心には本役以外に、増年寄、年寄助、年寄格などの階級も置かれることがありました。このように年寄同心は、同心の中で上位に位置づけらます。➡なお、年寄同心を初めて知りました。本の中では、定廻り同心、臨時廻り同心を経て功績があり隠居せずに残った者がなると。奉行所の御意見番。←シリーズ6作目感想より抜粋。
    「冬芽(とうが)」とは、樹木や多年草が冬に休眠するために形成する芽のことで、葉や花の蕾が小さく折りたたまれて入っている。冬芽は鱗片(りんぺん)でおおわれており、寒さや乾燥から保護される。冬芽は春になると伸びて葉や花になる。

  • 【収録作品】年寄同心/冬の縁談/小日向心中/冬芽

    シリーズ第6作。
    広二郎の反骨精神や筋を通す生きざまと、本質を見失わない融通のきかせかたが好もしい。

  • 拐かしにあった茜。危害は加えられなかったが噂が出ていた。茜は家から一歩も出されず、裄沢も心配していた。
    そんな茜に降って湧いたような縁談は、悪い噂の人物。

    裄沢の帰り道に現れたのは吟味型与力の嫡男、甲斐原佑であった。以前より茜をみそめていて、話を聞いてその勇気ある態度に感銘を受けてのことだった。
    とんとん拍子に進む縁談。

    あちこちで噂が絶えない裄沢。
    年寄り同心部屋に呼び出される。
    難癖をつけられるが筆頭内与力、唐家に救われる。

    南の与力の三男坊が、茶人の妾との心中騒ぎが起こる。
    それに納得がいかない父である中屋。
    粘り強い裄沢の調べで、心中ではあるもののその真相が抉り出される。

    裄沢を追い落とそうと画策した同心の一人が引退に追い込まれ、後を継いだ若い嫡男が奉行所ないで浮いている。
    親友轟次郎も心配している。
    裄沢も同じ宿直の時に少し話をする。

    若い新人四人が、手札をもらいたい元手先の男から、事件の捜査を依頼され、新人四人は危険にさらされるもどうにか先輩たちの助力で解決。横手新八もそれをきっかけに仲間ができたようだ。

  • 一件落着

  • 153

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

1961年、宮城県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。学生時代は映画サークルでシナリオ作成に熱中、二十数年のサラリーマン生活を経験した後、2011年『返り忠兵衛 江戸見聞 春嵐立つ』(双葉社)でデビュー。「半四郎百鬼夜行」シリーズが「この時代小説がすごい!」(宝島社)文庫書き下ろし部門二年連続ランクイン! 新シリーズ「御家人無頼」も好評。確かな筆力と個性的な人物造形で目利き絶賛の時代小説作家。

「2017年 『素浪人半四郎百鬼夜行(拾遺) 追憶の翰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

芝村凉也の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×